【オリジナル怪談】真夜中のカラオケ店 – 開かずの間の謎
大学生の頃、地元の友達AとBと飲んでたんだよ。俺らの地元のK市ってカラオケがやたら多いから、キャッチの兄ちゃんたちも必死でさ。空いてる店なら値引き率も結構エグい額まで下がることが多かったんだけど、その日はどこも混んでて通常料金だし、待ち時間まで発生してたんだよね。
「どこか空いてる店ねぇかなー」って言いながら駅の方へ戻ってると、一軒だけめちゃくちゃ安くしてくれる店があったんだ。そこは普段めっちゃ綺麗で人気の店だから、中々入れないんだけど、その日は空いてたから「ラッキー!」ってことで、俺らはそこに決めたんだよ。
部屋に入ってみんなで歌い始めて、夜中1時か2時くらいかな。
Bが歌って、次にAが歌う番になったとき――
「…ぅぅ…ぅぅ…」
なんか、ボソボソと聞こえる。
最初は「混線かな?」って思った。
昔のカラオケってよく違う部屋の音が入ってくることがあったし、気にせず続けてたんだ。でも、Aがマイクを持つたびに、その声は少しずつ大きくなっていったんだよ。
「ううううう…」
女の泣き声みたいな声がはっきりと聞こえ始めて、さすがに俺も気持ち悪くなってきた。
それでつい「うるせえ!」って声に向かって怒鳴ったんだ。
その瞬間――
「おおおおおおおおおお…」
男の唸り声みたいな声が、部屋中に響き渡った。俺とBは真っ先に逃げ出したんだけど、俺はなぜか魔が差して、Aを閉じ込めてやろうと思ったんだよね。
部屋の外から10秒くらいドアを押さえてたら、Aが必死の形相で「開けろ!」ってドアを叩いてきた。
あまりにも必死だったから10秒で開けたんだけど――その瞬間、Aに殴られた(笑)。
あの時、Aが、買ったばかりの原付を別の友達に貸して、ウィリーされて擦られた時すら怒らなかったのに、この時だけはAにマジで殴られたよな。
それで、さらに後日その店に行ったら、俺らが入ったあの部屋はドアノブが外されて「開かずの間」になってたんだよ。そしてその後も、**「開かずの間」**が増えてたらしい。
きっと何か出るんだろうな。