入室と退室(6)

 ともあれ、退室は、1週間後の土曜日と決まりました。週が明けて水曜日(金、土あたりが退室予定なんだけど、本当に大丈夫かなぁ……と、不安になってくるものです。このときも、入室してからはや5日。もうそろそろ連絡が来るはずなのに、音沙汰がなく……という状態でした)、スタッフの藤尾さんという方がいらっしゃって、「結論から言うと、今週の土曜日に退室が決まったから」とおっしゃったのです。「やったー、退室だー!」というのが率直な感想でした。実は、退院予定というのはトラウマがあって、脳梗塞を患って入った虎の門病院梶ヶ谷分室は、期限の6か月ギリギリまでお世話になっていました。1月20日頃に入院して、7月20日には退院しなければなりません。要はリハビリが目的で、PTとかSTを日に3度トレーニングしていくのです。少しずつリハビリしながら、ちょっとずつ改善していけばそれでよし。改善の見込みがないとわかったら、断念して退院する、ということです。私の場合、「いつ」という期日は誰にも明かされないまま。「どこに行く」ことも不明なままです。実家のある神戸市垂水区は、祖父母から「それは勘弁してくれ。大阪でも奈良でも、自分たちで生活してくれ」という始末。まぁ、他人が一緒に暮らしていると、肩身が狭く息が詰まってしまうので、なんとなく気持ちはわかりますが……。退院後にそこでどういう生活を営めばよいのか、妻が思案しているというのですから、こちらとしては不安以外の何物でもありません。だから、期限が決まっているといってもそれが守られず、ずるずる引き延ばされたまま、ということを一度経験しているだけに、疑心暗鬼の塊になっているのです。

 幸い、妻と娘(娘が車を運転)が土曜日の夕方に遊楽に迎えにやってまいしました。車であっという間です。妻は元気そうなので安心いたしました。振り返ってみると、1週間ちょいというのは、ちょうどいい長さの入院だったのかな、という気がします。皆様、大変お世話になりました!

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