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レア 囚われの身 2🏰 (仮題) 1220文字
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第ニ章🌲🌲🌲
青い空に緑の山々に囲まれた、この場所は昼の明るさの中では、気持ちが明るく清しくなりますが、日が沈み夜のとばりが落ちてきますと、山々の素敵な緑はかき消え、混沌のような闇の暗さの中では、小塔の暖炉の炎の明るさは、バルコニーの外まで届きませんでした。
それでも、日ごと月の明るさが増すごとに、夜空の星々がたくさん見えるにつれ、満天の星空が見える場所でもあり、レアが夜空の星を見上げる時、レアの朝日の中で光輝く金色の髪は、風が吹く銀の星空の下では、光輝く流星の長く引く尾のように見えていました。
回りの山々に囲まれるバルコニーは、季節の移り変わる様が美しい世界で、お城を外から見上げる村人達には、見晴らしの良い展望台のように見えていました。
風が心地よく吹けば、山の木々のそよぐ音、聞こえてくる鳥や動物達の鳴き声に、川のせせらぎの音、レアは耳に届く音に合わせて踊ります。
ステップに回転、爪先立ちしてアラベスク、踊りながらバルコニーを一周したり、時には手に止まりにくる小鳥に動きを合わせ、回転し、小鳥と視線を交わし、
「あっちから来たの?」
と小鳥の来た方向に顔を向けるレアの目に、
晴れわたる大空、山々の夏木立の青さが映り、物語のさし絵で知った、大海に浮かぶ小舟のようにこの小塔をバルコニーを思います。
また、風が荒れ狂い、
「ザァッ」
と雨が強く降り、
壁や窓を激しく叩きつける雨や
「ガタガタ」
と窓や扉を風が叩き、
川の流れる音も
「ゴウゴウ」
と激しく流れる音のように響き、
「ピカッ、ゴロゴロ」
と激しくなる雷に
「バーン! バリバリッ」
と雷の落ちる音に山の動物達の吠え声も聞こえない夜に、小塔に1人でいることに慣れているレアでも
「大丈夫⁉︎」
と怖く思うくらいに、大海に漂う小舟や木の葉ではなく、お城の小塔だけが、荒れ狂う風に吹き飛ばされると思うほどでした。
春夏は、扉や窓は開けっぱなしの小塔の部屋。
(風が強くない限り、雨が降らない限り)
明るく暖かい陽射しにバルコニーに出てくるレアは、待ちきれない様子で髪の毛を久々に崖下に垂らします。
「まだ、下迄届かない」
と呟きます
1ヶ月で、身長の2倍伸びる髪
身長の2倍の髪の長さになると、さすがに重くダンスやスキップがしにくく、レアは髪をハサミで肩迄切ってしまいます。
けれど、今回は前に髪を切ってから3ヶ月、レアの美しい金色の髪の毛は身長の6倍の長さになりましたが、川には、まだまだ届きません。
髪の先が川に届いても、川に降りる事はできません。
髪の先をバルコニーの柱に縛って、少しづつ降り川面の近くに来たら、髪を切って川に飛び込む方法もありますが、レアは小塔から一度も出たことがなく、そっと呟きます。
「私、泳げるかしら。浅かったらいいけど、足がつかなかったら」
と思いますし、自信がありません。
それに髪の先と川面には、まだまだかなり高さがあるのもわかります。
難しい顔をするレアは、ため息をつきます。
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レア 囚われの身3 🏰 (仮題)
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