「陽炎」2 二次小説 仮面の忍者赤影 2139文字
その日の夕刻近く、母と姉陽炎が帰ってきた
珍しい薬草を分けて頂いた事に、母は満足気に父と使用人の土蜘蛛師源兵に薬草を渡し、明日薬師の所に持って行くように伝える
青影と陽炎は懐かしく再開し、青影の「姉ちゃん」と元気な声に二人手を取り合う
陽炎は、青影の背が伸びた事に驚いていた
夕食は、家族4人と使用人の土蜘蛛師も加わっての食事となった
土蜘蛛師は、元は影の里の忍びであり呪詛が担当ではあったが、体を壊してからは青影の家の使用人に。姉陽炎が十才の頃から身の回りの事もしており、久々な賑やかな食卓であった
翌朝、朝食を終え、青影は父に憎まれ口を聞けど陽炎と共に元気に父と母、源蔵に気持ちの良い空の庭先で二人手をふり、影の里を出立する
二人の姿は遠く見えなくなっていくのに、ここにいるのかと思う位、青影の声が聞こえ三人、顔が苦笑気味
「青影は、本当に賑やかですね。ころころと小煩いくらいに」母が言う
その青影の母よりも、頭二つ分低い土蜘蛛師源蔵は言う
「元気もよく、どこも怪我をされておらず喜ばしい事です」と
「赤影殿、白影殿が大層面倒を見ておられるのだろう」ちょっと困り顔で言う父平造、
「お爺さまも、2、3日位で帰ってくるとの事です。今朝、鳩が参りました」土蜘蛛師が言う
「そう、ありがとう。湯治を兼ねてのお役目、疲れも取れてよいですね」
物思うのを顔にださないでいる三人、朝の風のように爽やかだ
「さぁ、私達も家に入りましょう」と母が、平造と源蔵に振り向いて、続ける
「今回のお役目で、陽炎は正体を出す事になりましょうか?」口真似無音で言う母
「我々が付いて居らぬからな、出てきても制する者はおらん。あれが出てきおったら、お役目自体は成功するであろうが、その後だな。ヘタをしたら影の里は、壊滅するやもな。あれは、何を考えているのか分からん。今回は断り切れず、受けるしかなかったが。知られぬ事を望むが... 」同じく、父平造も口真似無音、以下3人ずっと無音
「あれも、青影には手心を加える所はありますから...」母は悩み悩み言う
「魔物であるのか、性であるのか、本当はなんであるのでしょう」源蔵は、陽炎の事もあって平造に頼まれ、使用人になった。実際、お役目中の怪我でビッコになり、第一線を退いた。渡りに船の話であった。また平造、母二人の影舞に次いで、陽炎を抑えるのに適任であった
「あれは超常なのか、冥府からの魔物か、陽炎自身なのか考えた所でわからぬからな」平造が自分に問うように言う
「青影が、影舞ができればよいのだが、できない物は仕方あるまい。覚悟を決めねば」
昨日も、ざっと影舞を修練させた時の事を思い出す。何回みても才がないと思う...
「何度か影の里が危うくなりましたが。巨大な力を抑えるのは、容易ではない、まことに」と源蔵が添うようにいう
二人頷くも
「あれは、一代限りの物なのでしょうか?」
「ん...」
「ん?」
男二人、不思議がる
「陽炎と青影、共に仲がよく。二人の子供となれば。陽炎と同じ力を持ったものがもしや」
怖い、怖い、怖い、怖い、怖いっっっっっっっっっっっっ、この女、何考えてるっっっっっw
「わしと、そち二人の子供は影舞からっきしだが」顔には出さずに言う、平造
「そうですね、残念ですよね」
「・・・」
(姉と弟の子供って凄い事考えますなぁ。またあの魔物のようなのがもう一人欲しいと、まあいたら世界を手に入れるようなものでしょうが…
この方、そう言う所あるなぁ。平造様だから付き合えてると言うか…)
「怖い考えを持った女の腹からは、怖い物が生まれるのかな」なんか言わんとなーの雰囲気に押されて言う平造
「いやですわ、子種はあなた様ではないですか?私の責任のように仰るのは」笑いながら言う妻から、渦を撒いてるようなどす黒い空気が見えるも
「いや、怖い考えを言うからだが」平造は、冗談を言うなの顔で言う
「子種の責任を、怖い考えを言ってと押し付けるのですか」ふざけんなよ、ばーろーの目が平造に向けられ、どす黒い空気が百鬼夜行でも現れそうな雰囲気になり
「・・・」
源蔵は、(お二人の子供だからと言う気もするが共に影の里の一、ニの影舞の使い手。お子がどちらも継いでる事がないようなのは残念であるが)と、うーんと思う
妻に逆らって勝とうと思わないのが、平造であり、はい、はい、はい、はい私が悪うございましたと軽く頭を下げる
「夫婦を長続きさせるのに、良いですね」
平造、源蔵共に、妻しずの雰囲気がどうもどうしてもどす黒く思え、実際目が光っている訳ではないが、目が光っているように思えるのが、怖い怖いと思い、シーンとしていた
「・・・」
「・・・」
平造の苦虫噛んだような顔に
空の色ばかりが、明るいなと思う源蔵
「魔物ような力で、大きな禍いを起こす陽炎。あの力は本当に何処から来てるのか、お腹にいる十月十日変な夢を見る事も何事もなかった。生まれて赤子の時に何かが入ったのか、幼子の時にとも考えましたが」
平造は、妻の肩を軽く叩く
源蔵は、(平造様、よくあの雰囲気の奥様によって肩が叩ける。さすがご夫婦)と思う
「陽炎を制する者が、忍びの世界を制するだろう」我々がいなくなった後、陽炎を止める者がいる事を願う言葉であった
続く
→「陽炎」3
二次小説 仮面の忍者赤影
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