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レア 囚われの身3🏰 (仮題) 1814文字

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第三章🌲🌲🌲


レアは立ち上がり、長い長い髪を左腕に緩く何重にも巻き、小塔の部屋に入っていきました。

レアの住んでる部屋は、中に長い梯子があって
(部屋の床の中央に丸い穴が空いている)
暖炉にベッド、机に椅子、床の丸い穴に下に行き来する梯子段があり、レアは部屋から1階の台所の階に、梯子で降りて行きました。

1階下の2階は、ぐるっと円形の書棚に本と平積みの本が無数にある部屋。
本のある部屋の下の一階は、釜戸のある台所に浴室がある階で、台所の横に扉がありました。
お城に繋がっている扉でしたが、いつも鍵がかかっていて、レアが小塔から他の部屋に行けれることはありませんでした。
レアは、扉をチラッと見て、浴室入って行きました。


お風呂に入りたい時は、部屋の棚横の飾り紐を引っ張ると、台所の鐘が鳴り台所の続き部屋の鐘も鳴る仕組みです。
叩いてから1時間後に、浴室にいく決まりになっていました。
レアはバルコニーで髪を垂らす前に、棚の側の飾り紐を引っぱっていました。


浴室の桶には湯が張ってあり、お風呂に入れます。浴室には小さな小窓が上にあって青空が見えます。レアは青空を見上げ

「神は、赦しを与えるのか」
と本で読んだ物語の台詞を次々に口にします。湯船のお湯に朧げに自分の顔が映ります。
レアは、綺麗なお人形のような顔と思います。
レアが、そう思うのは今までに沢山読んだ本の挿し絵や肖像画の絵を見ていましたし、浴室にも鏡はありますし、3階の部屋にも姿見があります。レアは自分の顔がどんな顔か知っていました。

「うん、綺麗な顔。綺麗な顔だと思うわ。美少女って顔してるって思う。自分で言うのもなんだけど、私って綺麗と思うな。ナルシスの真似だけでも、やってみたい。川を見つめるの」
と言い、さっきバルコニーから見下ろしていた川を思いだし、大地に手をついて、本で読んだお話と同じように、大地に手をついて川の水に自分の顔を映し、泉の水に映った自分の姿に見惚れるナルシスの真似をしてみたいと思います。バルコニーの高さからでは、今の所叶う願いではありません。

見上げる高さの小窓は、明るい空で。
レアは明るい顔をして、空を見ています。

レアはチャポっと湯船に頭のてっぺん迄浸かり、暫くして顔を出し、湯船の外に置いてある桶に長い髪の先を入れ、長い髪は自分1人で洗うことにため息をつき言います。

「髪の毛洗うの手伝ってくれてもいいのに、なんで私と顔合わせるのダメなの?ンー」

石けん頭を洗い、湯船に入ったまま、天井からら下がっている紐を引っ張ると、湯船の高い位置からの木の配管から出てくるお湯で髪を洗い、何回も引っ張るレア
お湯は、少し冷めていたり、熱かったり、温かったりで
「隣の部屋でお湯沸かしてくれてるなら、手伝って欲しい髪洗うの」
と言い、長い髪を頭にターバンのように巻き、タオルを巻き、置いてある新しい服に着替え小塔のバルコニーに出て、敷物の上で髪の毛を丁寧に櫛でとき、いつものように、下に垂らして乾かし、後で髪を三つ編みにします。
長い長い三つ編みです。

レアは立ち上がり、敷物の上にに垂れている三つ編みを見て、本で見た蠍の尻尾みたいと思ったり、バルコニーから見える山々の風景に向かって

「ロミオ、あなたはなぜロミオなの」
と昨日読んだ物語のジュリエットの台詞を言い、一人遊びをします。
相手はいないけれど、バルコニーだし舞台はあっているとレアは気持ちよく続けます。
山に向かって大きな声を出すのは楽しく気持ちよくて、自分が知る事のないお話の中の人物の心を演じるのもまた楽しありました。
誰も見ては、いませんけれど。
でも、レアは読んだお話の、気になる場面の台詞を次々口にし、一人遊びをしていきます。
木の影に隠れ(部屋の扉を見たて)好きな人に勇気を持って手紙を渡す少女や、つんとすました女性、ふんと無礼な紳士、ライフルを持ち恋人を奪った友人を狙う男や、レアは感情豊か一人芝居をしていき、手足を思いっきり使います。

冬は部屋の中ばかりで過ごすレア、山の頭頂部より高い場所にある小塔、秋冬は風が強く寒く窓や扉を閉めて暖炉の前で本を読んだり、一人チェスやトランプをして過ごしていました。

毎年それの繰り返しの小塔での生活なのに、レアはなぜか退屈しないでいました。
寒くなるとバルコニーに出ることは少なくなりますが、それでもバルコニーから見る山の四季が変わる風景を、見ていて飽きる事がなかったレアは、長い長い冬を楽しく過ごしていました。

続き→
レア 囚われの身4 🏰 (仮題)

文字数は、始まり以降の文字数です🌿


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