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UVERworld TAKUYA∞生誕祭〜特別な2020年の特別な1日〜

こんなに複雑な気持ちでUVERworldのライブに参戦するのは初めてだった。
去年12月の東京ドーム以来、実に1年ぶりだというのに。

「こんなご時世に参戦して本当に良いのか・・・?」という気持ちと「なんだかわからないモヤモヤ」が心の中を渦巻き、いつもは期待に胸躍る開始直前のカウントダウンの瞬間まで気持ちが上がらなかった。

それが、出だしのドラムとSAXの音を浴びた瞬間、脳味噌にダイレクトに響く音圧に一気に気持ちが高揚し、「あ、来て良かった」と確信してしまったものだから、やはりライブは凄い。生音は凄い。

そこから先はもういつものように夢中で。ただひたすら音とTAKUYA∞が放つ言葉に心と身体を委ねた。

そう今は肩書も捨てて感じる全音
知れば逃れられはしないダンジョン
日常を抜け出すための一歩
(stay on / UVERworld)

求める事さえ忘れたフリして抑えていた自分の気持ちが、音と共に溶け出すように解放されていくのがわかった。
あらゆることが思うように進まず、制限だらけの窮屈な毎日。
日常を抜け出すような機会もなく、いつしか心のゆとりも失っていた。
案外平気だと思ってやり過ごしていたけれど、気づかないうちにじわりじわりと心が塞ぎ込んでいたのだと思う。
多分モヤモヤの正体はこれだった。

そういえばあの時もそうだった。
予定していたライブが次々と中止になる中で、UVERworld結成20周年の日に行われた初めての配信ライブ。
その時にTAKUYA∞が放ったひとこと。

「俺たちの音楽は不要不急なんかじゃネェ!!!!」

この言葉に、何ヶ月も胸につかえていた想いをすくい上げてもらったような気がした。
我慢だったり、悔しさだったり。
そっと蓋をして鍵をかけ、自分の中に押し込めてきた想いをこじ開けてくれる。
TAKUYA∞はいつだってそう。UVERworldというバンドはいつだってそう。
やれやれだぜ。

つまらなければつまるようにすればいい

UVERworldのライブの1番の魅力は何ですか?と問われれば、私は真っ先に「一体感」と答える。
メンバー内の一体感。
メンバーとスタッフ間(チームUVERworld)の一体感。
そして何よりメンバーと観客との一体感。

あまりの音圧に会場全体が震えるほどのシンガロング。
TAKUYA∞が「証明完了!!」というキーワードを放てば、それに呼応して会場全体が一斉に「Q!E!D!」とタイトル名を叫ぶ。

はたから見たら「え・・・宗教??」みたいな、ある種異様とも言える一体感。
ステージと客席が一体となって空間を作り上げていく。
これこそがUVERworldのライブの醍醐味。

だからこそ、ライブを再開すると知った時は心配だった。
緊急事態宣言が解除されて、ミュージシャンたちが少しずつ「無観客ライブ」「声出し禁止のライブ」を始める流れを見て、正直言ってUVERworldは一番ダメージを喰らうタイプのバンドだな、と思っていたから。
座って聴くバラードが中心のミュージシャンとは訳が違うな。厳しいな・・・と。

多分、モヤモヤのもうひとつの正体はこれだった。
あの会場全体の一体感を無くして、どうライブを成立させるの?空白をどうやって埋めるの?大丈夫なの?と。

観客が声を出せない今年のライブでは、観客のシンガロングが鍵となるライブの定番曲は難しいだろうと勝手に思っていた。
ところが、UVERworldはそれらの曲を敬遠するどころか、むしろ積極的にセットリストに組み込んできた。

TAKUYA∞は
「普段みんなが歌うところはTAKUYA∞くんが歌うから!」
と茶目っ気混じりに何度も繰り返した。

そしてその言葉を後押しするように、メンバーのコーラスもいつも以上に熱がこもっている。
「Don’t Think.Feel」「PRAYING RUN」「Touch Off」など、いつもの若い男女の声が入り混じったエネルギッシュなシンガロングとは明らかに違う、メンバー5人の野太い声から「皆の分は俺たちが歌うから」という気概がこれでもかと伝わってきて胸が熱くなった。
観客の声に消されて普段ここまでしっかりと聴くことができないから、ある意味貴重。これはこれで全然アリ。

サビのほとんどがオーディエンスの「wow wow〜♪」で成り立つ「IMPACT」に至っては、事前にファンから募集した歌声の録音を流す演出を試みていたが、これが想像の何倍も素晴らしかった。いつもと変わらぬ一体感、高揚感に、こんな方法があったのかと鳥肌が立った。

∞「スゲー奴は、決められた範囲の中でちゃんと自分の世界を作る」

というTAKUYA∞の言葉。私も仕事をしているとつくづくこれを感じる。

「つまらなければ、つまるようにすればいい」
10代の頃からの私の信条。
UVERworldはまさにこれをやってのけていた。
素直にカッコイイ。

いつもは「歌え!!!」「声聞かせろ!!」と煽るTAKUYA∞がひたすら
「心で歌えーーー!!!!」
「心で来い!!心で来い!!俺がお前らの分も歌ってやる!!」
と呼びかけ続ける。

そこには確かに言葉以上の心のやりとりがあった。
言葉だけが、声を出すだけがコミュニケーションではない。

∞「本当に大切なものは奪われてない」

と言ったTAKUYA∞の言葉は本当だった。

UVERworldというバンドの真の強さを見た気がした。

2020年の終わりに放つ渾身のメッセージソング「EN」

セットリストに関して言うと、新旧曲のバランスが非常に良く、近年見たライブの中では一番の満足度だった。(※個人の感想)
「ちょっと懐かしい曲」「ラブソング」など、コンセプトで分けて章立てしたような流れも面白かった。

2020/12/21
UVERworld LIVE at 横浜アリーナ「TAKUYA∞生誕祭」セットリスト


1. Making it Drive
2. stay on
3. ODD FUTURE
4. ROB THE FRONTIER
5. HOURGLASS(新曲)
6. Forever Young feat. AK-69
7. 来鳥江 feat. 愛笑む(新曲)
8. GO-ON
9. Don’t Think.Feel
10. PRAYING RUN
11. Teenage Love(新曲)
12. ConneQt
13. THE OVER
14. spreadown
15. Touch Off
16. IMPACT
17. AFTER LIFE
18. EN(新曲)

中でも、やはり心震えたのが、最終章の「AFTER LIFE〜MC〜EN」の流れ。

またすぐに会えると思っていた人に会えなくなる。
当たり前だった事が当たり前でなくなる。
どうしようもない落胆や絶望。
そんなものたちと嫌というほど向き合った2020年に、産み出された新曲「EN」。

「これが人生最後の一曲」かのように、全てを込めて絶唱するTAKUYA∞。

「伝えたい事は 今日伝える」

というメッセージを体現する魂の叫びに涙が止まらなかった。

2020年の終わりにとんでもないメッセージを受け取ってしまった。
まだ聴いていないファンもたくさんいるだろうから、詳細は控えるけれども、これから先、私の人生の指針となってくれるような大切な言葉がたくさん詰まっていた。

曲の途中、TAKUYA∞が
「いつかこの曲、一緒に歌おうな!!!絶対来るぞ、そんな日が!!!」
と見せてくれた最高の笑顔は、まだ出口の見えない不安な日々の中に灯る大きな希望となった。

「最高」だった時間はどうか「最高」のままで

ソーシャルディスタンスを保つために座席数を半分にしながら、一人でも多くのファンが参加できるようにと、UVERworldは1日2公演開催するという方法を選んでくれた。
TAKUYA∞は連日の1日2回公演「できるかな?いや、できる」と、何度も自問自答を繰り返したという。
まさに、喉の寿命を削る覚悟で。
身体を酷使するドラムの真太郎をはじめ、他メンバーもそう。
大袈裟な!と言われるかもしれないけれど、UVERworldのライブに参戦した人ならわかると思う。
本当に身を削るようにして全身全霊でライブをする人たちだから。

そんなメンバーの想い。
まだまだ世間では否定的な意見が目立つ中で、開催を決定したスタッフの想い。
「行きたくても行けない」「行きたいけど行かない」と判断したファンたちの想い。

そういう様々な背景に想いを馳せ、感染症対策に最善の努力を尽くすことがライブに参加する私たちの最低限のマナーなのだと思う。
万が一の事があったら、誰よりも傷つくのは私たちの大切なUVERworldだから。
そして、下手をすると私たちが愛してやまない音楽業界全体にも影響を及ぼしかねないから。

「最高!!」と笑ったメンバーの笑顔や想いがどうかそのままで。いつまでも「最高」のままであるように。
今日を悔やんだり、悲しんだりする結果にだけはなって欲しくない。
心の底からそう願いながら会場を後にした。

ありがとう。大好きUVERworld。
そして今日も全力で愛してるTAKUYA∞!!!!!!

——

明日のマリンメッセに参加するみなさんもどうかお気をつけて。
2020年の締めくくりライブ。全力で楽しんでください!

追記:
歌詞って、その時の自分の精神状態、環境、年齢etc、さまざまな要素を反映する分、聴くときによって全然違って聴こえるのだけど、今回1曲目だった「Making it Drive」はいろんな想いがこみ上げる中で噛み締めるように聴いたし、なんだか今こういう状況で聴くと刺さるフレーズが多かったなぁ。

信じ合うみたいに 愛し合ってたい
望むその世界も きっと俺次第
記憶よりも心に残る日々を
今見てくれてる君 照らしていきたいよ
ロウソクのように 灯り放つたびに
この身は少し削られてくとしても

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