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跳ねる跳ねないについて語ります〜その7〜

「ジャズは基本、跳ねない」
と言われて、混乱した僕を見かねて師である石山経麻朗氏はその場でパット・マルティーノの名盤、エル・オンブレを録音したカセットテープを聴かせてくれたものです。
巻き戻していないテープを適当に再生した様な気がします。今だったら何曲目のどの辺りってすぐに呼び出せるけど当時の事です。いやあ本当に時代は変わった。確かに便利になったけれど、適当に再生してそれでも説得力があったと言うエピソードは、便利になってしまった現代にはむしろ高度な芸当になってしまいました。

とにかくパット・マルティーノのアドリブソロはピョンコピョンコしていませんでした。

その後、ウエス・モンゴメリーとジミー・スミスのデュオだったり、ソニー・ロリンズのサキソフォン・コロッサスだったり、全部録音したテープで「ほら、この辺とか、ベタの8分音符が」と聴かせてもらった時が何回かありました。

でも、頭では分かっていても、ピョンコピョンコ跳ねるクセはそれから10年以上続いたと思います。

なぜなら。

僕がジャズに憧れる前はどう言うギターを弾いていたかと言うと、ロックギターだったし、ブルースギターでした。
ジョン・リー・フッカーと言うブルースギタリストがいます。ずーっとワンコードでズッカズッカズッカズッカと、だだっ広いアメリカならではのギターを弾きます。よく跳ねています。
ディープ・パープルの名盤、マシンヘッドにレイジーと言う曲が収録されています。バッチリ跳ねる曲です。これまった軽快にズッカズッカ跳ねます。そんな跳ねる曲がむしろ当時の僕にとってジャズでした。
僕がギターを手に入れて最初にコピーした曲が当時流行っていたKUWATA BANDのスキップビートでした。憧れの河内淳一氏のギターソロを夢中でコピーしたものです。このギターソロも曲の跳ね具合にそった、跳ねる演奏でした。
ジェフベックの「ギター殺人者の凱旋」って言うすごい邦題のアルバムに入っていたフリーウェイジャムと言う曲も気持ちよく跳ねていましたねえ。
そうそう。ヴァン・ヘイレン「1984」のB面1曲目、「ホット・フォー・ザ・ティーチャー」なんてドッコドッコドッコドッコドッコドッコ…っと跳ね続けます。

まあ言い出したらキリがないですが、つまり、僕は跳ねる音楽が大好きなんです。今でも。大好き過ぎてもっと跳ねたくて、思う存分跳ねていい世界があるならそこで遊び続けたいと思って、ジャズの世界に恐る恐る入ってみたらなんと。

「ジャズは基本跳ねない」

だそうです。

また明日。


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