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むぅにぃ
2020年11月9日 14:24
小鳥のさえずりと次第に大きくなるセミ達の前奏曲にうながされて、ゼルジーはそっと目を開けた。 差し込む朝日に顔をしかめながら、焦点を合わせようと努める。見慣れない天井が浮かび上がってくる。しばらくの間、自分がどこにいるのか思い出せずに不安になった。たっぷり10秒ほどのちに、ようやく記憶が蘇る。 そうだ、わたしはソームウッド・タウンに来ていたんだっけ。ここはリシアンの子ども部屋で、夕べは遅くまで
2021年2月15日 07:15
ゼルジー達は、ニレの木の下に集まって座っていた。セミの鳴き声が次第にやかましくなり、じわじわと暑さが増していく、そんな午前だった。「わたし達、どうして勝てなかったんだろう?」ゼルジーがぽつりと洩らす。「ロファニー兄さん、言ったよね。魔王ロードンは、1度にすべての種類の魔法なんか、防げないって。でも、ぼくらは、同時に魔法を放ったのにさ」パルナンはロファニーを見た。 黙ったままのロファニーに代