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むぅにぃ
2021年8月30日 12:32
このところ、とんと魔法昆虫の情報がなかった。それこそ、噂話すら聞かない。何か手がかりはないかと、タンポポ団は博物館へと行ってみることにした。 中に入ると、来館客の中心で展示物の説明をしている館長を見つける。「あれはステゴサウルス、そしてこっちがトリケラトプス。ステゴサウルスは1億5千万年前のジュラ紀に生息した恐竜で、互い違いに並んだ骨版が、まるで背びれのようにあるのが特徴なんですな。いっぽう
2021年8月23日 13:03
午後から降り始めた雪は夜になってもやむ気配がなく、ますます勢いを増していた。 大人達は憂鬱そうに顔を曇らせ、子供達は大はしゃぎ。「こりゃあ積もるぞっ」浩が歓声を上げる。「明日は雪合戦ね」いつになく美奈子もそわそわ興奮していた。「一応、手袋はしてくるように。しもやけはあとが大変ですからね」合理的な元之は注意を忘れない。「この白い粉みたいなのが雪?」緑は空を見上げながら言った。長い睫毛に、
2021年8月16日 12:51
ラブタームーラにも木枯らしが吹き始めるようになってきた。 そんなある日、緑が耳に手を当てながら言う。「お姉ちゃん、セミが鳴いているよ」「まさか。だって、もう12月なのよ。とっくのとうに土の下で、今頃はぐっすり眠ってるわ」 けれど、言われてみれば、かすかにミーンミーンと聞こえていた。「あれってセミじゃないの?」緑は小首を傾げながら美奈子の顔を仰ぐ。「そうねえ、セミの声よね。誰かがテレビ
2021年8月9日 12:33
元之には妹がいた。生後8ヶ月で、江美利という名である。元之は江美利が可愛くてたまらず、よく抱っこしては「あぶぶぶぅ」とあやした。 江美利のほうも元之が大好きで、抱かれるとうれしそうにキャッキャとうれしそうに笑う。 元之は面倒もよく見た。母親の代わりにオムツを交換したり、ミルクを飲ませたりするのも億劫がらずにする。 もし浩や美奈子がそんな様子を見たら、元之の意外な一面にびっくり仰天するに違い
2021年8月2日 11:00
そもそも魔法昆虫を捕まえるために結成したタンポポ団だった。このところ、そのことも忘れかけ、半ば探検隊として活動することが多い。「今日は『岩神様の洞窟に入ってみようか」浩が言い出した。「えー、バチが当たるよう」そう弱音を吐くのは和久である。タンポポ団の中で一番の臆病者で、いつもしんがりを務めていた。「ばかね、神様なんいるわけないじゃん」美奈子はばかにしたようにいい下す。「そうですよ、和久