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米国株 キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement : CS)とは、企業の預金通帳のようなものです。

CSとは?

CSとは、会計期間の現金の増減の理由を表す財務諸表(financial statments : FS)です。
PLでは、発生主義会計(accrual basis)を導入しています。accrual basisとは、買い手からの代金が後払いであっても、商品を引き渡した時点で売上(sales)を計上することができるという会計方式です。一方、CSでは現金主義会計(cash basis)を導入しています。cash basisでは、実際に代金を受け取るまで、salesを計上することができません。accrual basisでは、掛け売りの代金がsalesとして認められるので、PLにおいて、利益を計上していても、手元に現金がなくて倒産するという、いわゆる黒字倒産(surplus bankruptcy)する企業が出てきます。salesがすべて現金で決済され、費用も現金でその都度支払うなら、利益計算と資金収支計算は一致するが、salesも費用も現金の受け・払いが後になる掛けや手形で取引されるために、計算上利益が出たと言っても現金があるとは限らないのです。株式(equity securities)や社債(corporate bonds)の売り出しによって、大量の現金が流入してきている企業や、逆に、大量の製品を掛けで売り、巨額の売掛金(Accounts receivable : AR)がまだ流入していなくても、利益をあげられる企業が存在します。そこで、企業は現金の実際の流れを記録するために、CSを作成します。CSから分かるのは、その企業の現金収入が現金支出を上回っているかということです。CSはPLと同様、特定期間内の企業の状況を報告するものです。通常、企業の会計部門は四半期ごとと年度末に、CSを作成します。

cash flow(CF)とは何でしょうか?似た用語にcash in flow(CIF)、cash out flow(COF)があります。 CIFは、会社に現金などが入ってくることを指します。例えば企業活動のequity securitiesの発行、corporate bondsの発行、売上債権(Accounts receivable : AR)の回収、金融機関からの借入(debt)、有価証券(marketable securities)や設備の売却などで現金が増加することです。厳密にいうと「cash」には現金や預金だけなく、換金性が高く、且つ換金できる金額がおおよそ把握できる資産も含みます。一方COFは現金などが出ていくことをいいます。例えば企業活動の商品の仕入れ、corporate bondsの償還、debtの返済、固定資産(Property, plant and equipment : PPE)の購入、設備投資、配当(dividend)などで現金が減少することです。このCIFとCOFの差(資産の増減、収支)をcash flow(CF)と呼びます。
CFは3つのセクションで構成されています。
営業CF (Operating Cash Flow : OCF)
投資CF (Investment Cash Flow)
財務CF (Cash Flow from Financing Activities : CFF)
これらの3つのCFを足し合わせたものが、最終的にBS内の現金増減幅になります。企業の経営状況やビジネスモデル、成長ステージによっては、このCFの大きさやプラス・マイナスも異なってきます。なお、あまり一般的ではないのですが、InvCFをInvestment Cash Flowの略として本ノートで用いることとします。

営業CF (Operating Cash Flow : OCF)

営業CF(Operating Cash Flow : OCF)は、本業の活動によるCashの動きを示します。原則、PLの純利益計算過程の項目に関するcash flowsはoperating activitiesに入ります。例えば、salesに関するcash in、売上原価(cost of goods sold : COGS)に対するcash outはoperating activitiesに分類されます。OCFを見る理由は、会計上、粉飾をしにくいからです。salesやincomeは粉飾できても、OCFは一番ごまかしくにいんです。

CSを見るときには、まずはOCFがプラスかマイナスかを確認しましょう。通常、企業が存続していく上でプラスになるのが基本です。プラスならば、本業で儲かっていてCashの支出よりも収入の方が多いということなので、経営状況は良いと判断することができるでしょう。理想の会社はOCFが年々着実に増えています。OCFが数期に渡ってマイナスであれば、事業がうまく行っていないと推測できます。OCFよりも純利益(Net Income : NI)のほうが大きくなっている場合、無理やり利益を計上をしているリスクがあるから、OCFがNIよりも大きい方がいいでしょう。企業の黒字倒産を避けるためにもOCFはよく確認しておきましょう。

営業CFマージン(Cash Flow Margin)

営業CFマージン(Cash Flow Margin)は企業がsalesをcashに転換することができる能力を測るものです。
営業CFマージン(Cash Flow Margin)
   =営業CF(Operating Cash Flow : OCF)/ 売上高(sales)

事業継続のためには、運転資本以上のcash flowを本業で稼ぎ出さねばなりません。つまり、OCFが毎年プラスである必要があります。ただcashがたくさんあればいいわけでもなく、salesが効率的に資金化されているかという点が重要です。Cash Flows Marginの数値が高いほどうまく資金化されているといえます。また、適用する減価償却方法の影響を受けないという点でも優れた指標です。Cash Flow Marginは15%以上あると理想的です。企業の黒字倒産を避けるためにも確認しておきたい指標です。

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