米国株 損益計算書(PL)
企業が何をやって収益を得て、そのためにいくらの費用を使い、その結果、いくらの利益(損失)が出たかという収益性を表すのが損益計算書(PL)です。
損益計算書(PL)とは?
損益計算書(PL)は投資家に、一会計期間(通常1年間)における企業活動の結果(経営成績)を教えてくれる財務諸表です。この決算書から収益性を読み取ることができます。通常、上場企業であれば、4半期(3ヶ月)ごとに決算書(10-Q)、年度末に1回年次報告書(10-K)を開示します。それぞれの計算書には該当期間が明記されています。英語では、Profit and Loss Statement、Income Statement、Statement of Income、Statement of Earning、Statement of Operation等いろいろな呼び方があります。
PLは大きく分けると以下の3つの要素で構成されます。
・Revenue ビジネスの売上高(収益)
・Expense 会社の費用(経費)
・Profit or Loss 会社の利益(もしくは損失)
利益(Profit)=売上高(Revenue)-費用(Expense)となります。
米国株 PL フォーマット
3つの要素だけでは、RevenueやExpenseが本業で生じているのか、本業以外で生じているのかが分かりません。たまたま本業以外で利益がでただけで、本業が苦しい状況であれば、長期的な成長を望めるか分かりません。そこで以下のようなフォーマットで開示することが求められます。(海外企業の決算書は企業によって細かい違いがあります。そのため、英語表記はあくまで一例です。)
海外の決算書を日本の決算書と比べると、経常利益という概念がない等の多少の違いがあります。
売上高(Revenue または Sales)
PLの最上段には必ず売上高(Revenue または Sales)が記載されます。Revenueとは製品やサービスを売って企業が得たお金のことです。ここで、PLに多額のRevenueが記載されていても、必ずしも企業が利益をだしているとは限らないことに注意する必要があります。前の段落で述べたように、利益の有無を判断するには、売上高から費用(経費)を差し引く必要があります。
利益(Profit)=売上高(Revenue)-費用(Expense)
Revenueを分母に、PL内の各段階での利益を分子とすることで、利益率が計算でき、他社との比較や自社の期間比較が可能となり、企業分析に役立つ指標をえることができます。
四半期決算では、Revenueが事前のアナリスト・コンセンサスを上回ったかどうか、前年のRevenueを更新したのかということが注目されます。
売上原価(Cost of Revenue または COGS)
PLでRevenueの下に来るのが売上原価です。売上原価とは企業の主要な商品の製造に直接関わる費用のことです。売上原価は英語では、Cost of Revenue、Cost of Good Sold(略してCOGS)等といいます。含まれるものの内容が多少違っていますが基本的には同じものだと思って良いです。売上原価は利益に直接影響を及ぼす項目のため低く推移することが望ましいでしょう。
売上総利益(Gross Profit または Gross Margin)は、以下の式で計算されます。
売上総利益(Gross Profit)=売上高(Revenue)-売上原価(Cost of Revenue)
売上高から原価を引いて求めた大雑把な利益なので粗利益とも呼ばれます。ちなみに粗利益はそりえきではなく、あらりえきと読みます。売上総利益とは、生産に必要なコストを売上高からひいた時、企業にどのくらいの利益が残るかを示す数字です。販売コスト、管理コスト、減価償却費等は、Gross Profitからは差し引かれていません。Revenueを100として(各数値を%で)計算したGross Profitが高ければ、売上原価は低い(原価率が低い)ので、コストがかかっていないことが想像できます。Gross Profitは企業の効率の良さを示してます。Gross Profitが高ければ、売上と比較して原価がしっかり抑えられていることになります。企業同士のGross Profitを比較する場合は、必ず同業他社で比較するようにしましょう。例えば、銀行などのGross Profitはほぼ100%ですが、建築業などは約10%です。全く違う分野を比べても、ほとんど意味はありません。
売上高総利益率(粗利益率,Gross Profit Margin)
売上高総利益率(総利益率,Gross Profit Margin Ratio または Gross Profit Margin)を計算することで企業の経済的性質が見えてきます。ちなみにGrossとは総の意味です。Gross Profit Margin Ratioは以下の式で計算されます。
売上高総利益率(Gross Profit Margin)
=売上総利益(Gross Profit)/売上高(Revenue)
永続的競争優位性をもつ企業は、売上原価を遙かに上回る価格を設定できるため、永続的競争優位性を持たない企業と比べて、長年にわたり高いGross Profit Marginを保つことができます。反対に永続的競争優位性を持たない企業は値下げ競争に陥りやすく、収益性に悪影響が及ぶのでGross Profit Marginが低くなりやすいです。この数値が40%以上の企業は、永続的競争優位性を持っている可能性が高く、40%以下の企業は所属する業界の厳しい競争に巻き込まれている可能性があります。特に20%以下の企業は業界の激しい競争によって長いスパンで成長しにくい企業である可能性が高いです。Gross Profit Marginはできれば、30%以上ほしいですが、業界によって大きく異なるので、同業他社で比較することが重要です。過去10年間のGross Profit Marginが一貫して高いかを調べることは永続的競争優位性を持つ企業を探すときに役立ちます。
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