【小説】待つ(Ⅲ)
布団ががばっとひっぺ返された。カオリはびっくりして目を覚ます。意地悪そうに口元をゆがめたシズエが上から見下ろしていた。
「いつまで寝ているんだい?うちは旅館じゃないんだよ。年寄りは朝も早いんだから。気を遣ってちょうだい」
シズエはそそくさと布団を押入れにしまう。カオリはゆっくりと体を起こし、シズエに向け中指を立てる。
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