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【小説】待つ(Ⅰ)

 カオリは厄介者である。
 ぼろぼろのTシャツとブラックジーンズにぼさぼさのパンクヘアー。反抗的な眼つきと大人もやり込める辛辣な毒舌。家に帰りたがらず放浪癖もある。娘を女の子らしく育てたいときびしくしつける母だが、カオリは反発するばかりだ。父は娘の手に負えない素行にも何を言うでもなく、いつも静かに見守っていた。

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2,606字

青春の光と影、愛と孤独、そして死――北海道の札幌郊外や空知地方の美しい自然を背景に、ティーンエイジャーである2人のカオルと1人のカオリが織…

公開中の「林檎の味」を含む「カオルとカオリ」という連作小説をセルフ出版(ペーパーバック、電子書籍)しました。心に適うようでしたら、購入をご検討いただけますと幸いです。