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【小説】胡蝶の夢(Ⅰ)

 来るんじゃなかった……。
 大きなお腹を抱え、真っ黒な喪服に身を包んだカオリは、小さな無人駅に着くと、後悔で胸がいっぱいになった。
 ズリ山が広がる荒涼とした風景。生粋の道産子のカオリだが、本物のズリ山を見るのは初めてだった。お昼に食べたプリンを思い出す間もなく、二両編成の鈍行列車は一人ぽつねんと立ち尽くすカオリを残して発車する。遠い異星に置いてきぼりでもくらったような心細さに、カオリはつんつんに逆立ったパンクヘアーをかきむしった。
 マジ、来るんじゃなかった!

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1,316字

青春の光と影、愛と孤独、そして死――北海道の札幌郊外や空知地方の美しい自然を背景に、ティーンエイジャーである2人のカオルと1人のカオリが織…

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