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第14話 Hotel Maman

グレさんは、毎日お腹に向かって話しかけてくれるのだけれど、グレさんの声に反応してぐり〜んと動くことが多くなった。私の声はもはやアンビエントなのか、声が小さくて聞こえないのか何の反応もないが、パパの声には反応するので、私はただの宿ーHotel Maman(ホテル マモ)なのかいと言った気持ちである。

先日、グレさんと散歩をしていて2人の影が映ったときに、「ココにもうすぐもう1人、人間の影が加わるのか〜」と、柄にもなくニヤけたのだった。その影は我々の間に入るのか、私側に来るのか、彼側に来るのか、まだわからない。彼女とも手を繋いで行くだろうが、私はいつまで経ってもグレさんとも手を繋ぎたいと思う。

妊娠がわかって病院に行った時は、ノミちゃんは11.7mm程であった。その小ささで既に心臓をトクトクと動かしていたノミちゃんも、現在のところで推定3kgとなって、お腹の中でボコボコ動き、「めちゃ元気ね〜」とよく言われている。

よくこんなに育ったなぁ…と振り返ることが最近では多くなった。よくぞ階段から転けることなく、道端でも転けることなく、うつ伏せにもならず、風邪も引かず、食中毒にもならず、幸いにも元気に妊婦生活を過ごすことができた自分にありがとうと言いたい。そして、ノミちゃんも元気にマモの肋骨やみぞおちをボコボコ蹴るほどに大きく成長してくれた。結構痛いけど、ありがとう。

先日グレさんと話していて、「妊娠生活はどうだった?マミならどんな風に表現する?」と聞かれた。
難しい質問だなと思った。「Bonne question (良い質問)だね。」と再び考え「そうだなぁ… 自分の中の動物的な部分や本能を感じる時間だった。」と答えた。自分の中で子どもが育ってるんだなぁという神秘性とか、喜びとか、だんだんとお腹が大きくなっていって感動するとかあるんだけれど、淡々としていたようにも思う。
身体が全部してくれていたような感じだった。

東京に来る前にお友達だった猫親子。ママちゃん(左)は私のママ先輩である。

今日は予定日だが生まれる気配はなく、私は計画分娩の為、あと数日で入院をする予定である。
友達、家族、みんながノミちゃんの誕生を待ってくれていて嬉しい。私たち夫婦も彼女に会うことを心待ちしているし、ぬくぬくとお腹の居心地が良いのはわかるが、外界も面白いのだよと教えてあげたい。

ノミちゃんの最初のお友達も待っとるよ。

お客さま、Hotel Maman チェックアウトの時が近づいてますよ。

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