おとな

5歳の頃
幼稚園とお家と
両親が連れて行ってくれる場所が
世界の全てだった

そして
世界は自分の思い通りに変えられた

石ころはお金になったし
ジャングルジムはお家になった

だだっ広い園庭は巨大迷路になったし
家に帰って布団を被れば中は宇宙になった

何もないところから何かを想像しては消し
創造しては壊していた

クラスメイトとの些細な喧嘩も
先生や両親から叱られたことも
それが世界の全てで絶望だった

明日も友達と仲直りできない
明日からは1人で生きなきゃいけない
先行きの見えない絶望で
私の世界は真っ暗になった

大人になって振り返ってみれば
喧嘩しても仲直りできるし
叱られても捨てられはしない
幼かったと思える

26歳
もがき苦しむ私も
30歳の私から見れば幼く見えるのだろうか

同年代のあの子は
仕事をこなし
結婚し
子供もいる

それなのに私はまだ独り
仕事も失敗ばかりで
恋人もいない

学生時代から何も変わっていない

今の自分はあの頃よりも
大人になっているのだろうか


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