名作ホラー映画ってコメディ映画なのかもしれない【無駄話#1】
変化の激しい時代を生き抜くためのビジネス本に書いてあるようなありがたい話じゃなくて、ちょっと思いついただけの酒のつまみにもならない無駄話からなにかを無理やりひねり出していこう、をコンセプトに、ほぼ自分のために書いていきます。
継続を最大の目的にするので、質や量は問わない、と勝手に決めました。
今回の無駄話のテーマは「ホラー映画」です。
というのも、何のことはない、昨晩、スプラッターホラー映画の伝説的な名作「悪魔のいけにえ」を深夜に見てなかなか面白かったからです。
この映画、トビー・フーパーが仲間とこだわりにこだわってつくった若さと才能が大爆発な作品なのだけど
・そこらへんに落ちてた動物の死体を回収して美術に
・主演女優が2階の窓からスタントなしで飛び降りてまじで足くじいちゃうんだけどカメラ止めずにそのまま続行
・真夏のテキサスで何十時間も不潔な環境でぶっ通し撮影した結果あらゆるモノから悪臭が漂ってスタッフが次々嘔吐
・完成後も、もう誰も公開されると思っていなかった
・当初配給先がみつからずマフィアに売ってしまいヒットしたのにクソ儲からなかった
・結果チェンソーおじさん役のガンナー・ハンセンのギャラは約1万円
・今はMoMAにも収蔵されてるアメリカンドリーム
みたいなエピソードにことかかなくて、もうとにかくひっちゃかめっちゃかでホントこの制作過程を一本の映画にしても面白い映画になりそうなくらいわけわからない名作なんです。
そんな名作スプラッタホラー「悪魔のいけにえ」を、心に闇を抱えた北欧メタルバンドマンしか見ないだろと思って敬遠してたのですが、ネフリでたまたま見かけた&ちょっと名作映画が個人ブームだったので、そう、昨晩みてしまったのです。それも深夜に。
で、思ったのが、名作ホラーってコメディ映画かもしれない、ということなのです。
そもそも悪魔のいけにえ、これ以上怖い映画はないってことでMoMAに収蔵されたみたいな噂もあるくらいなので怖いはずなんだけど、めちゃくちゃ笑える。
いや、ホント邪推ですが、たぶん監督も最終的に笑える映画を作ろうとしてたんじゃないかな、と思ったくらい。
殺人シーンも、(なかなかグロいシーンも一部あるんだけど)けっこうさくっといやそれはやられるよね、ほらあ、あ、うりゃ、ああああぁぁぁやられたぁああみたいな、それはそれはあっけなく殺されるし。
主演女優のマリリンは捕まった時はまぁしょうがないけど、暗闇の中逃げてる時もずっともう絶叫しっぱなしでその声をめがけてチェンソーおじさんが追いかけていくみたいな、茶番が繰り広げられるわけです。
いや、音楽もすくなくてリアリティもあるし、もし自分が同じ状況に遭遇したらそれはそれは怖いだろうなと思うんですけど、そういういわゆる評価以上に殺人一家のキャラもたっててほんとアダムスファミリーで、(とくに死んでると思ってたじいちゃんが実は生きてて、出血したマリリンの指をいきなりしゃぶりだすのとか意味分からなすぎてやばい)なんか怖いを超えた笑いを感じてしまったのです。
特に、マリリンが決死の脱走を図った後にチェンソーおじさんが朝日の中で大好きなチェンソーをぶんぶん振り回しながら舞う名シーンがあるのですが
そのシーンなんかもう急に美しい印象派の画みたいで一種の陶酔感というか爽快感を感じる画になっているんです。
しかもラストシーンで脱走完了したマリリンがめっちゃ声をあげて笑うという。(このシーンの表情はすごかった!)
捉えられた主人公の目も、どアップでバシバシうつって(それも怖いっちゃ怖いんだけど)もうこんな目ん玉のシーンでてくんのは時計じかけのオレンジとアンダルシアの犬を観たトビー・フーパーが絶対やりたいって言って撮ったやつやんとか、そんな「フフフ」みたいな心境にもなれます。
で、言いたかったのはですね。
やっぱ怖いを通り越すと笑いがある、とかそういうことではなくて(戦争の前線で隣のやつが屁をこいた瞬間が一番笑えるとかそういうことでもでもなくて)そもそも愛する映画に死にものぐるいで取り組んでるやつが観客を本気で怖がらせたい訳がないということなんです。
映画におけるホラーってそもそも意味分からなくて誰もほんとは怖い思いしたい人なんていないはずなのにエンターテイメントのジャンルとしてホラーが存在するという。
だからホラーをつくる映画監督って、その矛盾とどう向き合うかってのが問われてるんだなと。
で、トビー・フーパーはジャンクフードみたいに安いし体にわるし油ギトギトなんだけど、だからこそ、なんか食べたくなっちゃうよね、みたいな
そんな笑えるコメディ映画をつくったのかなと思ったのでした。
名作ホラーだけが、コメディになって、矛盾を乗り越えて人を笑わせることができるのだなと。
初回の無駄話のとしては満足しました、では。
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