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お茶好きの隠居のカーヴィング作品とエッセイ-昔ばなし

6.ハチドリ


Carving of Ruby-throated Hummingbird
Carving of Rufous Hummingbird

おい、ハチドリ、お前はホントに鳥なのか?
嘘だ。そんな小さい鳥が居るものか。
花の蜜のみで生きるお前は虫だ。ホントは熊蜂の仲間だろ?
お前は熊蜂のように、ブンブン飛んで、熊蜂のように、気が荒い。
誰が、お前を鳥だと信じるか?
お前の嘴は刺し針だ。 俺の側に来ないでくれ。
危険な美しい虫よ! 俺の側に来ないでくれ。

Hey, hummingbird! Are you really a bird?

Hummingbird, you are too small for a bird.
Regarding you as a bird is absurd.
You travel about, living on nectar alone,
From the frigid zone to torrid zone.
That is quite alike a monarch butterfly.
Buzzing busy, around flowers you swiftly fly.
That is quite alike a fractious bumble bee.
For sure, you must be a species of bee.
Your sharp long bill is a sting, isn’t it?
Stay away from me.
The fearful beauty, that may throw a fit!
Stay away from me.

ハチドリの仲間を日本で見ることが出来るのは動物園だけです。 それも、東京の多摩動物公園等、極めて限られた動物園のみで、展示種類も多くはありません。 飼育が極めて難しく、私が子供の頃の大昔にも上野動物園で飼育を試みた筈ですが、すぐに死んでしまったと聞いています。 今でも日本の動物園で累代飼育に成功した話は聞いていません。

米大陸では当たり前ですが、時と場所を選べば、野生のハチドリにお目に掛かるのはそんなに難しくはありません。 南北両大陸合計では320種類も居ますが、北米ではその内の14種しか見られません。 一番目の作品のハチドリは Ruby-throated Hummingbird [Latin name: Archilochus colubris] で北米東側のカナダ南部からメキシコ湾岸まで広く観察され、メタリックグリーンの背中を持つとても美しい種類です。 雄の喉部はその名のとおり、やはりメタリックの赤色ですが、雌のその部分は腹部同様に白色です。 普通には、私の作品のように花瓶に挿したバラには飛んで来ないでしょう。 例によって私の生態無視アートです。(理由は、エッセイ-5、スズメとセミを参照願います。) 二番目の作品は Rufous Hummingbird [Latin name: Selasphorus rufus] で、これは大体、茶色の体色で西海岸に居る種類です。 やはり、北はアラスカ東南部、カナダのブリティシュ・コロンビアからカリフォルニア北部までに広く生息し、冬には暖かいメキシコまで渡って行きます。

ハチドリは極小の身体をしているくせに、とっても気の強い鳥です。 餌場や縄張りをめぐって、雄同士はどっちかが死ぬまで戦うことも珍しくないそうです。 自分よりはるかに大きい他種の鳥にも、必要とあれば躊躇なく向かっていきます。 蜂のようにブンブンと音を出して飛び、空中で一か所に留まるホバーリングもしますし、後ろ向きに飛ぶこともできます。 大概の人はこのちっぽけな鳥を怖いと思わないでしょう。 むしろ、愛らしい存在と思うようですが、嘴は針のように細く鋭く、すばしこいのでスズメバチかクマバチのようで、側に来たら突つかれそうで私は怖く感じます。

「日本にもハチドリは居る。 私は見た」などという人が時々居ますが、そういう人はオオスカシバやホウジャクという大型の蛾の仲間と見誤っているのでしょう。 これらの虫はもちろん、良く見れば鳥でないことはすぐわかる筈ですが、ハチドリと同じようにホバーリングしながら長い嘴で蜜を吸って、すばしこく飛ぶので一寸見では見間違うこともあるようです。 下記URLからこれらの蛾の情報は得られます。

https://ja.wikipedia.org/wiki/オオスカシバ

https://ja.wikipedia.org/wiki/スズメガ科

https://www.youtube.com/watch?v=faHLm5YMnko


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