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うそをはく(122)
「ちょっと待って」と通行人を引き止め続けてヘトヘトになったのを記念して、モニュメントが建造された。不思議な触り心地で、通りがかる皆に揉みしだかれたモニュメントは、バズーカ砲を展開して、パーティー用のクラッカーを盛大に鳴らした。
高台から皆を見ていた看守は、余っていたメヒカリの南蛮漬けを食べながら、唯一神の存在を祈る。不良少女を新人看守としてスカウトしては更生に努めていた看守だけれど、不良文化のバロック化が著しくて、後進の育成に手間取っている。
一人の不良少女は、ハードボイルド作家に憧れていた。ポエトリーラップの世界に足を踏み入れ、カリスマとして祀り上げられたけれど、川の静かなせせらぎに魅了されて、鮒釣りに転身した。
また、他の不良少女は枯れ専で、ソテツを育てている居酒屋の老店主に入れあげて、非行に走ったことを叱責されては、スプレー塗料の匂いに逃げた。
看守もギャルだった頃があるので、彼女らの気持ちを最大限汲もうと必死だった。webのネットワークの海に潜っては番号を集めて、少女たちに配る。看守はピュアな彼女たちがメキシコに亡命しないよう、引き止め続けている。
人間、ちょっとくらいワルっぽいところがあるくらいが可愛かったりするんだよな。