うそをはく(105)
オーダーメイドの稜線が工場から出荷されたらしい。待ち遠しくてたまらない。
飛騨の山々にも負けないその稜線は、ワイシャツのシワも綺麗に伸ばしてしまうほどの高温スチームを発し、ほんとうに稜線の部分だけが細ーく光っている。
茶碗蒸しを噛み締めながら恩師への思いを高ぶらせると、超新星爆発を観測できる。短足な軍曹は無知を振るっては執事の鹿を眼医者に掛けて、合わないコンタクトレンズを作るものだ。濁りゆく意識の中で、銀杏だけがはっきりと舌に主張してきた。
雀が枝に留めていったバッタは、なぎ倒してきた巻藁を想って文を送る。岩の塊に書かれたポエティックな文章は、倫理に触れていて読むものをドギマギさせてしまう。欄干には「襞」とだけ書かれていて、飛脚が思わず岩を落とすと、真っ二つに割れてそこに出来たのが、今回発注した稜線なのだという。
工場長は何故、その稜線が私に合うと思ったのだろう。外はまだ寒い。待ち人は来ない。
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