【訃報】現代の知の巨人 松岡正剛氏
本日、松岡正剛氏が永眠されたとの報道があった。
氏との出会いは比較的最近で、独立した2007年頃、Amazonでおすすめ商品を眺めていて目についた一冊の本からだった。
「知的」という言葉に弱く、しかもこれまでよく目にしていた「知的生産」でなく「編集」だと。ということで、軽くポチッとしていた。
類書も手に取ってみたが、正直なところそのアプローチにはしっくりこなかった。
一方で、松岡正剛という人の関心領域の広さには驚嘆するばかりだった。
彼が執筆した書籍を見るだけでも、幅広いカバー領域がわかるが、それ以上に凄みを感じるのは、サイト「千夜千冊」である。
最終的に1850夜で更新は終わってしまったが、個人レベルでこれだけ充実した読書アーカイブを残したものは(少なくとも国内では)ほとんどないだろう。
すごいのが、一人の作者は一度しか登場しない(はず)という点である。言い換えれば1850人の作者の書籍について触れていることになる。世の中読書家は多いだろうが、これだけの数の作者の作品に触れている人はそう多くないのではないだろうか。
中身もすごい。単なる感想文でないのは当然として、本書の中身でなく関連事項や関連書籍についての解説まで含まれて、博覧強記ぶりが伺える。一冊紹介するのに何冊の書籍を扱っているのかという感じである。当然ボリュームたっぷりで、一冊分を読み終えるのに5-10分くらいかかるのではないだろうか。
小市民は本文を読むような本格派ではなく、自分のこれまで読んだ本や作者のチェックリスト的な利用の仕方をしている。ちゃんと調べたことはないが、だいたい10%くらいしかカバーできてなさそう。もちろん、読むことはないだろうジャンルとか作者の本もあるので全てカバーするつもりはないが、少しでも近づきたいと思っている次第である。
と、話は少し変な方向に進んでしまったが、同世代で言えば関心領域の広範さで立花隆氏と並ぶ知の巨人であった。
謹んでご冥福を祈りたい。
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