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小市民のFIFO的生活と超整理法

入社2年目、会計的な知識が要求される部署に異動になった。
文学部卒業で大学時代に会計のかの字も目にしたことのなかった小市民にとっては、全くわからないことだらけだった。とりあえず言葉だけ覚え、数字を入力するといったお手伝いさん的な仕事が続いた。

そんな中、アメリカ駐在から帰国、そして駐在中にMBAを取得した先輩(10歳以上年上)が、使えない2年目社員の姿に見かねて、時間をとって手取り足取り会計のいろはを教えてくれた。

いろいろなことを教えてもらい、「会計とはこういうものなのか」というさわりがなんとなくわかったような気がした中、今も残っているものの一つがFIFOとLIFOだ。
横文字で書くと馴染みのない人もいるかもしれないが、日本の会計用語に直せば先入先出法と後入先出法のことだ。先輩がアメリカのビジネススクールで学んだ内容をそのまま教えてくれたので、横文字になっているだけだ。

なるほどね。在庫もこんな見方の違いがあるのか、と素朴に感じ入ったものだった。こんな気づきを得ながら、小市民の人生があらぬ方向に進んでいったことはここでは省略する。
それとは別に、この時に指導していただいたりしたことが人生の最大のターニングポイントで、そのきっかけを与えてくださった先輩には本当に感謝している。

閑話休題。

ちょうどその頃、知的生産の分野で一世を風靡した本が世に出ることになる。「超」整理法だ。

中身は無視して、時系列で並べろ、という主張には最初反感を覚えたこともあった。でも、冷静になってみると、さまざまな分類の切り口がある中で、それらをうまく整理することなど不可能。時系列という切り口で統一するのが一番整理しやすい、ということは思い知らされるようになった。

このFIFOと「超」整理法。この二つの考え方は、小市民の生活スタイルに大きな影響を及ぼすことになった。

一番端的な例が、着る服についてだ。
例えば、部屋着はどのようにして選ぶだろうか?
目の前にあるものとか、洗濯が終わったものという基準で選んでいたら、ごく一部の部屋着しか使わないことになる。それは勿体無いのではないか。
そう考えると、部屋着を着た順に並べ、最も長い間来ていないものを着るようにすればいい。要はローテーションをきっちりしましょうという話なのだが、これってまさにFIFO的発想であり部屋着を「超」整理法的に整理した結果である。

もちろん部屋着みたいに何を着てもいい、というレベルで済まされない外出用の服はもう少し複雑になる。例えば、都心に出るのにいつも来ているユニクロのTシャツじゃね、とか逆に1日家にいるのにちょっと高めのポロシャツ着るのはもったいなくね、とか。もちろんその場合は手加減するが、基本は一番長い間着ていない服を着るというのがベースで、そこから調整を加えることになる。

こうして、小市民の衣服入れは綺麗にジャンル分けされ、部屋着や外出着だけでなく、パンツや靴下などが整然と着た順に整理されるのだった。

これはリアルなものなのでやりやすいと言えばやりやすい。ただ、他への応用が難しかった。しかし、ここ数年アプリの使い勝手改善によって、他の分野にも応用が効かせられるようになった。

音楽

例えば、家にいて音楽でも聴こうかなと思った時に何を聴くか。例えば通勤電車に乗っている時にどんな音楽を聴くか。

その時聴きたい音楽を聴く。

これが正解である。しかし、特定の曲ばかり聴くことになっていないか、しばらく聴いていない曲が何かあるのでは。こんな不安に駆られないだろうか?

しかし、Apple Music(PC版)の登場により、それがあっけなく解決した。
Apple Musicは(他もそうかもしれませんが)、最後に再生した日が表示される。だから、Apple Musicのライブラリを最後に再生した日(古い)順に表示すれば、一番聞いていない曲から聴くことができる。もちろん、その曲を聴きたい気分じゃなければ聴く必要はない。しかし、数年も放置していたら、その曲はやっぱり聴くべきか消去してしまっていいのかを考えて良いだろう。

また、小市民は電車移動の際に聴く音楽は、アルバムをそのまま聴くのではなく、なるべくランダムにしたいという思いがある。だから、ランダム再生できるようなプレイリストをいくつか作成するのだが、それも固定化されると「気がついてみると同じ曲を聴いている」状態となる恐れがある。そこで、プレイリストに入っている曲も適宜入れ替えて行く。その際に入れ替えの基準となるのが「最後に聞いた日」である。あまり聞いていない曲をプレイリストにいれ、よく聞いているなという曲を外す。もちろん、「やっぱりこの曲は残しておきたい」というのは無理に除外する必要はなくそのまま残す。

この辺りの手続きは説明するのが面倒(かつ誰も興味がない)ので割愛するが、そのようにプレイリストをリフレッシュすると、「聴きたい曲も入っていて、久しぶりじゃんという曲も流れる。そして次に何が出てくるか楽しみ🎵」というプレイリストが完成するのだ。

ここでも基本はFIFOかつ「超」整理法なのだった。

料理

在宅フリーランスの大切なお仕事の一つが調理である。
かくいう小市民も、平均週2日は夕食を調理する役目が回ってくる。

そうすると問題なのが「何を作るか」である。
ここも印象で作ると「2週間前も同じものだった」とクレームが発生したりする。なので、やはりある程度インターバルを空けてメニューを出したいところである。

しかし、世にあるレシピサイトでそこまでカバーしてくるものはない(あるのかもしれないが、そもそも一つのレシピサイトに頼っているわけでない)。
一時はEvernoteに良さげなレシピのサイトを貼り付けて管理していたが、いつ作ったのかがわからない。

これを解決したのが、以前紹介したNotionである。

Notionの優れている点は、ちゃんとパラメータでソートしてくれる点である(Evernoteはその点がダメ)。だから、「最後に作った日」というパラメータを作り、それぞれのレシピに最後に作った日を作って、作成日順に表示するようにすれば、最近作っていないのは(作る候補は)何かが一目瞭然になる。

もちろん、作った回数(「久しぶりだけど、いつも作ってるよね」と言われないように)とか食材(「また〇〇使った料理?飽きる」と言われないように)にも目を向けて総合的に判断するが、これでかなりシステマチックにメニュー選びができるようになった。


このように、いくつかのテーマではFIFO的生活を実現するようになった。

そして、残された最大のテーマが「読んだ本」である。
これもレシピみたいにNotionで一元化できればいいのだが、全くその目処が立っていない。多分自分があの世に行く方が早いだろう。
そもそも、FIFO的に読む本を選ぶのだろうか、というそもそもの話もある。

この辺り、つまり蔵書の持ち方と、残された人生でどんな本を読むかというテーマで何かいいものがあれば知りたいものだ。

以上

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