おめでとう、そしてありがとうゼノブレイド。ゼノブレイド3 クリアレビュー
お久しぶりです。ムービーです。
前回の投稿からかなりの時間を空けてしまいました。
今回はニンテンドースイッチ用ソフト「ゼノブレイド3」のクリアレビューをしたいと思います。
本レビューでは、(追記以外は)極力ストーリーのネタバレは避けながら書いていきますが、ストーリーを見終えての個人的な感想が書かれるため、先入観なしで楽しみたい人はここでブラウザバックすることをお勧めします。
また、本レビューは筆者自身の超個人的な感想になりますので、頭の片隅に入れる程度に見ていただければ幸いです。
それではスタート。
???「待たせたなぁ、オイッ!?」
全体的な評価について
単刀直入に言うと、本作の個人的な評価は・・・
通常のRPGとして遊ぶと「87点」
ゼノブレイドとして遊ぶと「75点」
という感想でした。
因みに筆者がプレイした過去作を単純な点数で表すと、
ゼノブレイド(DE含む)は「96点」、
ゼノブレイド2は「78点」、
ゼノブレイド2黄金の国イーラは「88点」です。
(ゼノブレイドクロスは未プレイです…スイマセン。)
フィールドや世界の作り込み、クエストなどのボリューム、ムービーシーンの出来、そしてキャラクターの背景描写は過去一の出来ですが、戦闘とストーリーに関しては、ゼノブレイドのナンバリングタイトルとしては少し残念に感じてしまいました。(特にストーリーはシリーズの中で一番賛否の分かれるところだと思われます。)
昨今のRPGとしては化け物かというレベルの出来栄えで、2022のThe Game Awardsにノミネートされたこともうなずけますが、ゼノブレイドシリーズが好きな自分としては、(もっとできるはずなのに・・・)と感じる場面が散りばめられていました。特に本作はシリーズの集大成ですので、その気持ちがより一層強く感じています。
全体的な評価はこの位にして、次は上記の評価を軸に良い点、気に入らなかった点を順番にレビューしていきます。
ここが凄いよ、面白いよゼノブレイド3
マップの作り込み
やはりまず評価すべき点はこれでしょう。本作はJRPG史上最高峰の出来なのではと思います。
前作のゼノブレイド2の5倍以上の広さで、各地にコロニー(街などの拠点)が多く存在し、洞窟や砂漠、広大な大地が一つの地方に収められていて且つシームレスに移動できる・・・ここまでマップに凝ったRPGは中々ないと思います。とにかく移動が楽しい。
アイテムの配置や通常の敵と強敵(ユニークモンスターなど)の配置、敵同士の争いや、ステージギミック、そして秘境など、冒険と探索を楽しくする要素がこれでもかと詰め込まれ、且つレベルデザインが洗礼されています。
流石のマップデザインのノウハウ。
また、メインクエストやサブクエストの場所まで誘導してくれるライン表示も非常に便利で、オープンワールドRPG初心者にもサクサク遊ばせてくれるユーザーフレンドリーな作りだと思います。
ゼノブレイド1と2の世界が融合されている世界なため、シリーズファンの方だと新鮮さが感じられなかったり、過去作にあったような神聖な生き物の体を駆け巡るロマンなどは少し薄まっているかもしれませんが、シリーズを遊んだ人だからこそ、「二ヤリ」とさせてくれるようなファンサービスなロケーションもきちんと用意されていたのが嬉しかったですね。
活き活きしている世界、人
ゼノブレイド3の住人たちはどのキャラにも行動ルーティーンがあり、それぞれできちんとした生活を描かれていていたり、会話可能な住人すべてに名前があり、住人間の考え方や人間関係などをキズナグラムを通してダイレクトに伝えてくるなど、過去作と比べてより世界にリアリティーが増しています。本当にその世界に居るような感覚。
特に住人の行動ルーティーンに関してはゼノブレイド2で(一部)削除されていた部分だったので、この仕様が復活してくれたことは感謝しています。ありがたい・・・。
キャラクターの背景描写
今作はキャラクター一人一人への描写が今までで一番上手いと感じました。6人の主人公全員に過去のトラウマ的な回想からそれを乗り越えての成長をきちんと描き切り、それだけでなく7人目の仲間であるヒーローに対してもヒーロークエストと覚醒クエストを経て主人公達と出会ってからの変化を描いてくれるという贅沢な作りでした。
お陰でキャラクターへの愛情はシリーズの中でもトップクラスに入るのではと思います。
マシロとナギリ…良いよね…。
音楽の美しさ
「おくりびと」達が吹く調といった笛を中心とした音楽がとにかく美しいです。なんとこの作品のために受注して劇中オリジナルの笛を作って演奏したらしいですね。しゅごい…。
また、戦闘曲や「命を背負って」などの劇中の処刑用bgm、挿入歌、エンディングなどを含めて全体的にシリーズの中で一番の出来だと思います。
ここがアカンよゼノブレイド3
ここまでシリーズ一番の出来の要素を並べていきましたが、ここからは(物によっては)シリーズで一番合わなかったかもという要素を並べていきたいと思います。
戦闘
具体的に何がダメなのかと言いますと、
・クラスを固定化しないことによる、1キャラ分のキャラの個性、面白さの鈍化
・ブレイク→ダウン→スタンorライジング→バーストorスマッシュと言ったコンボを中心とした戦闘になり、コンボを狙えないキャラが戦闘で(火力面以外だと)役に立ちにくい。
主にこの2つです。
ヒーローを含めた全クラスを主人公達全員が使えるようになってしまうことで、1キャラ(1クラス)で出来る事の振り幅が非常に少なく、1つの戦闘が終わったら別のキャラに切り替えないと飽きてしまう…という場面が多かったです。黄金の国イーラのようにキャラ毎にロール固定して、コンボを決めつつもキャラ毎のタレントアーツを駆使して様々な効果を駆使していく…という方が個人的には嬉しかったのですが、2本編のブレイドシステムのようにキャラ毎の個性が引き出しにくいシステム戻ってしまい、キャラ毎の個性が乏しくなってしまったのが残念に感じました。
また、コンボ重視の戦闘なったことで、ゼノブレイド1のように様々なバフやデバフを擦りまくるリキや熱暴走を管理しながら回復していくカルナ、カードゲームのようにアーツでエレメントを召喚して、タレントアーツで召喚したエレメントを打って攻撃、バフ、デバフを発動するメリアといった個性が尖ったキャラ(クラス)がなく、ロール毎にやることがほぼ変わらないように感じました。
(とはいえ、ゴンドウとマシロ、覚醒ノアはかなり楽しめましたが。)
また、3のコンボを持っていないキャラは火力面に振り切るか、チェインアタックでしか主に活躍できる場面がなかったことが勿体ないと感じました。
そしてチェインアタックも、2の属性玉のような爽快感のあるものがないため、火力面以外で爽快感のあるものがあまり無かったなぁと。
とはいえ、融合アーツやウロボロスシステムは個人的にかなり楽しめました。特に融合アーツはケヴェス(ゼノブレイド1勢)とアグヌス(ゼノブレイド2勢)のアーツを混ぜて色々悪さできるところが面白かったです。
…ここまで書いて改めてゼノブレイド1がどれだけ完成された戦闘システムかを実感しました…。
未来視とテンションシステムとメリアを考えた人は天才ッス…。
全人類DEをやろう。
やろう。
やっぱり微妙なUI
今までよりはマシですが、やはりUIが少し使いづらかったなぁと感じます。
特に味方も敵も多くてターゲット先の敵が分かりづらかったり、ショートカットでのマップで全マップに行けなかったり、ブレイクなどのコンボ表示が見辛かったり、お金の使い道があまりなかったり(その分ナギリのクエストで色々助かりましたが)…などはどかなり挙げられます。
ターゲット先のマーカーに関しては、矢印で表すのではなく、時のオカリナのように敵全体にマーカーを当てる方式の方が分かりやすかったかも知れません…。
ストーリーの結末について(微ネタバレ注意!!)
恐らく一番評価が分かれるポイントです。
なんとゼノブレイド、またはゼノシリーズでは珍しく、お話の伏線が完全に回収されないまま完結となります。(クロスもそうだったらしいですが)
ゼノシリーズと言えば、終盤で世界全体の種明かしがされて、今までの見ていた世界への見方がガラリと変わるどんでん返しがあったのですが…ヒーロークエストにリソースを割いてしまったからかどんでん返しを期待していた自分にとってはちょっと期待外れに感じてしまいました。
また、終盤で重要なボスを倒した後でもムービーが挿入されないなど、ストーリーや演出面ではやりたかったことが100%できなかったのでは…と勝手に思っています。
今作は3部作の完結編ということなので、特にストーリーに期待していたのですが、珍しく世界観が理詰めに構築されていなかったなぁと思います。
ですが、(ちょっとエヴァ味があって)メタ的なメッセージがある最後の展開は時間を置けばこれはこれで好きと言う評価になるのかもしれません。
また、やはり語りたいけど語らなかった伏線が多くあるのはイベントのカットシーンやとあるフィールドのイベントなどで多く見られるので、とにかく追加ストーリーに期待したいです。
どんでん返し…お願いします…。
まとめ
今作は集大成にして相応しいボリュームが一番の売りなのではないかと思います。
・若干の音飛びなどの最適化不足はあるけど、それでも広大でシームレスなフィールドと圧倒的物量の街、イベントをスイッチで実現したこと。
・グラフィックに対して大幅にリソースが割かれがちな現代RPGで世界を股にかけた冒険を体験できるRPGに仕上げたこと
これらを実現できるRPGはやはりゼノブレイドしかないのだなぁと改めて感じました。
流石"接触者"ならぬ、"接触社"モノリスソフトだなぁと…。
色々不満はありましたが、映画の「スタンドバイミー」を彷彿とさせる(ヒーロー以外)大人の居ない6人旅を半年間非常に楽しませて頂きました。
ポケモンSVの不具合問題が昨年話題になっていましたが、膨大なデータ量を使うタイトルでオープンワールドを作るとなると、普通に考えてあのような感じになってもおかしくないと思います…むしろモノリスソフト様と高橋哲哉先生がどこかおかしいだけです…。
改めてモノリスソフト様、高橋哲哉先生、
超大作RPG「ゼノブレイド3」を作って頂き、本当にありがとうございました。
そして本当にお疲れ様でした。
昨今は大量消費が主流となり、比較的軽めなコンテンツが乱立されますが、たまにはこのような中身コテコテな作品も欲しい所ですね。
追記(ラストシーンのネタバレ注意!)
ゼノブレイド3の3って"3股"の3だったのか…
○ックス君よ…。
〜完〜