富山市から考えた、これからの官民連携とは
こんにちは! EMCで地方創生などに取り組む1期生の清水涼太です。
人間誰しも、自分が住んでいる「まち」とは密接な関係が生まれます。そして「まち」は行政だけでなく、住民や関係人口など、当事者である私たちによってつくられています。「まちづくり」によって、私たちの暮らしは大きく左右されると言っても過言ではありません。
これから様々な変化がある日本において、どのようにまちづくりに取り組めばいいのか。今回は、そのヒントを探しに富山県富山市に行ってきました!
富山市は約41万人の都市です。全体面積の7割は森林で、市内からは立山連峰を臨むことができます。とにかく海鮮が美味しい! 富山市に来るまでは、「きっとのどかな場所なのだろう」と思っていたのですが、駅前はとても栄えていて、高層ビルが何個もある都市でかなり驚きました。
なぜ富山なのかというと、話は2022年に遡ります。EMCには実践を重視した「プロジェクト」という授業があるのですが、あるとき、この授業のゲストとして富山駅前にある未来共創拠点施設「Sketch Lab(スケッチラボ)」のみなさんにお越しいただきました。スケッチラボは、富山の若手起業家・経営者と富山市による官民連携組織「とやま未来共創チーム」が運営していて、授業では地方創生について話し合いました。そこから「現地ツアーを開催しよう!」となり、今回のフィールドワークが生まれました。
フィールドワークをするにあたって、1日目は「行政主導のまちづくり」、2日目は「民間主導のまちづくり」に分けて、何が違うのかを考えながら地域を見てきました。
■行政が仕掛けるコンパクトシティ戦略とスマートシティ化
まずは1日目。富山市が行っている取り組みについて伺いました。
富山市は、コンパクトシティ戦略を掲げており、その取組は内外から注目されています。
コンパクトシティとは都市の機能を中心市街地に集結させる(コンパクトにする)というまちづくりの手法です。街には路面電車が走っていて、綺麗な美術館や行政の施設、商店街、”世界一綺麗なスタバ”にも選ばれたことのある「スターバックス富山環水公園店」など、路面電車と徒歩で回ることができます。
そこで、これらのまちづくりについて、行政の手がどのように加わっているのかを教えてもらいました。
また、富山市はスマートシティ化を推進しています。スマートシティを実現するために、DX推進に関する課題や、郊外の人をどう助けていくかについて学びました。
街をコンパクトシティで進化させ、スマートシティで深化させる。富山市の行政の主導力はものすごかったです!!
夜には懇談会ということで、このツアーの目玉、待ちに待った(?)寒ぶりをいただきました。とてもおいしかったです!
会の途中で、オープンイノベーションを推進する「Sketch Lab(スケッチラボ)」のみなさんによるロケットピッチも開催! それぞれがやりたいことを発表してくれました。みなさん本当に熱くて、素晴らしかったです。
■民間が進める”良きもの”を活かしたまちづくり
2日目は桝田酒造さんという酒造会社の方が行っている民間が行うまちづくりを学びました。
向かったのは富山県富山市の北部にある岩瀬という地域。江戸時代にタイムスリップしたかのような町でした!
このまちづくりを主導したのは「桝田酒造店」の5代目社長で「岩瀬まちづくり会社」の社長も務める桝田隆一郎さんです。
桝田さんが行う取り組みの特徴は大きく分けて2つあります。
1つ目は「自分のためにまちづくりを行う」というところ。
多くの地域のまちづくりでよく聞くのは、「観光客を集めるため」とか、「住む人の居心地を良くするため」というキーワード。
しかし桝田さんは「自分と自分の周りの人の幸せのため」にまちづくりをしていると言います。
本当にこれでまちづくりがうまく行くか?と疑問を持っていましたが、町にはミシュランのお店があったり、世界に名を馳せる芸術家が移住してくるなど、活気があります。まちづくりで大事な要素は数多くありますが、まずは自分や周りの人たちが幸せになるまちづくりができないようでは何も始まらないのかもしれません。
2つ目は「”伝統”ではなく”良いもの”を残す姿勢」について。
岩瀬の町の特徴として古き良き街並みがあります。よく「伝統を守る」と言いますが、実際には守る必要がないものまで守ってしまうもの。「伝統」に縛られることなく、桝田さんは現代に通用するものだけを見抜き、現代と掛け合わせています。
桝田さんは世界を飛び回った経験から、世界から考えた日本の本当の美についても考えてらっしゃっていて、「今の日本人は本当に日本の美を理解することができていない」と言います。まちづくりに従事する者は、伝統や日本の美について一度学ぶ必要がとてもあるなと思いました。
■官民が手を取り合ったまちづくりの実現
行政主導のまちづくりと、民間主導のまちづくりを見た後、2日間の学びと気づきを深めることを目的に、グループに分かれ発表を行いました。
あるグループではEMCができる可能性、例えばアントレプレナーシップを富山に植え付ける!という意見など、さまざまな気づきが飛び交いました。
私たちのグループでは「色々やってるのはわかったけど富山が目指している方向がわからない!」ということや、「官民連携をもっとすべきだ!」という意見が出ました。行政も、民間もとっても面白い取り組みをしているのですが、どちらも独立してしまっている、協力できていないのではないかと思いました。お互いのカバーとリスペクトを持ってまちづくりを行えば、富山市は最強になれるのではないかと思いました。
今回私は1泊2日の旅を通じて「理想のまちづくりとは何か」が少しわかった気がします。民間だけがやっても行政だけがやってもダメで、それぞれの強みをうまく補填していく、または迷走していたら止めてあげる。そのような関係性があるとそれぞれの強みを活かしながらまちづくりができるのではないかと思いました。