見出し画像

令和6年6月議会一般質問【市における教育施策について/市業務のDX推進状況について】

 今回は、令和6年6月議会で行った一般質問でのやり取りをご紹介します。
取り上げたテーマは、
①市における教育施策について
②市業務のDX推進状況について
こちらの2項目です。

 一般質問とは、定例会において、議員が市の事務事業、施策や方針などについて質問することを一般質問といいます。安中市議会の一般質問では、制限時間40分です。構成とすると、最初に述べる導入部分があり、その後、担当部長とのやり取りになっています。

【導入】

 議席番号3番、新風新政会 宇佐美誠でございます。通告に基づきまして、市における教育施策について、市業務のDX推進状況についての2項目を質問いたします。
 
 1項目目の市における教育施策についてです。
 過日に、LINEを活用した市民へのアンケート調査を行ったところ、1,100名へ送付、そのうち547名がアンケートを開き、70名が回答していただきました。その中において、安中市の教育において求めるものを尋ねたところ、回答していただいた20~60代のすべての年代で「教員の質の向上」が上位3位以内に入っておりました。
 さらに、先般、報道等でも取り上げられているとおり、教員の働き方改革については、多くの課題があることが取りざたされております。実際に、国が行った教員勤務実態調査や教育の専門家などが行った調査では、若手教員や子供の数の多い担任などの勤務時間が前回の調査から減ってはいるものの、比較的長い傾向であることや、教員不足の実態が見られることがわかりました。
 一方、5月には、所属する総務文教常任委員会の行政視察で宮城県白石市を訪問し、教員に余裕が必要であることを拝聴し、教員の心のゆとりについて再認識したところです。
 そこで、教育の質の担保につながる教員不足の現状や、その対策としての教育現場での働き方改革についてお伺いします。
 また、前回定例会において、安中市立学校設置条例の一部改正により、後閑小学校と細野小学校の閉校が決定しました。今後は、後閑小学校は原市小学校へ、細野小学校は松井田小学校へ統合され、児童はスクールバスによる通学となることが見込まれます。
 これにより、スクールバス通学の利用者が増えること、今年度においてスクールバスの購入が予定されているから、スクールバスの運用について、現状や今後の予定について伺います。
 
 2項目目の市業務のDX推進状況についてであります。
 本年3月に安中市DX推進計画が策定され、令和6年度から9年度までが一つの期間と位置付けられています。DXについては、計画策定前からも取り組んでいることが複数ありましたが、全庁的に取り組んでいく新たなスタートに立ったわけであります。
 一方、群馬県では、今年3月に、目標としていた「日本最先端クラスのデジタル県」を実現したということで報告書をまとめ公表しました。その報告書の中では、新・群馬県総合計画において、2023年度末に目標を達成するとされており、実際に達成したということです。
 また、国においても、令和3年には日本が目指すべき未来社会の姿として、持続可能性と強靭性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会である「Society5.0」が示されました。
 そのような社会情勢の中、安中市においても、今後、加速度的にDX推進を行っていくためにこのDX推進計画は要となるものです。
 そこで、この計画の策定までの取り組みと、今後予定されている取り組みについて伺います。
 さらに、DXを推進することで、職員の働き方改革や、ペーパーレス化の取組みにつながるという観点から、タブレット端末の活用について伺います。
 
 以上、2項目、9点についてご答弁をよろしくお願いいたします。
 なお、質問は、質問席にて一問一答で行います。

①市における教育施策について

【問い】
 それでは、1項目目、市における教育施策についてですが、まず、教育の質の担保について伺ってまいります。教員不足の現状を報道等でも耳にします。実際には、文部科学白書や学校基本調査を見ますと、採用者は昨年度より増えているようですが、公立学校教職員の人事行政状況調査によると精神疾患による病休者が過去最多となっているようです。そういった面も含めて教員不足が叫ばれるわけですが、市内の小中学校において教員の定数が不足している学校はあるかお聞きします。

【答え】
 宇佐美議員のご質問に答弁申し上げます。
 各校の教員定数は、「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」に基づき、群馬県教育委員会で定められており、在籍する児童生徒数によって決められております。現在、市内小中学校では、決められた教員定数の全てを配置しており、教員数が不足している学校はございません。

【問い】
 現状、市内においては不足していないということですが、不足した場合にはどのような対応をとられるのかお聞きします。

【答え】
 現在、不足校はございませんが、教員数が不足する場合には、過去に市内小中学校に勤務された教職員の方にお声をかけたり、西部教育事務所へ問い合わせをしたりして、臨時的任用職員を配置できるよう努めてまいります。

【問い】
 不足した場合の対応について、わかりました。定数は充足しているということではありますが、一方で、教員の働き方については、勤務時間の長さも指摘されています。教員勤務実態調査では、全国的に全ての職種において在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務の教師が多い状況であるとの結果が出されています。市内の状況についてお伺いしたいのですが、国の指針では、長時間勤務の上限が月45時間以内とされていますのでその割合と、いわゆる過労死ラインといわれる月80時間以上の割合をお聞きします。

【答え】
 市内小中学校に勤務する教員の勤務時間については、毎月報告を受けております。令和6年3月の勤務時間については、45時間以下の教員が、67.9%、80時間以上の教員が3.9%となっております。

【問い】
 約32%の教員の方が45時間を超える長時間勤務を行っていることになります。さらにそのうちの3.9%の方が過労死ラインを超えている現状です。やはり、教育の質の担保のためにも、長時間勤務の解消が必要であると考えられます。
 また、教員勤務実態調査では「働き方改革に関する取り組みが行われている学校ほど教諭の時間管理意識が高い」という分析結果がでています。そこで、市内の小中学校における働き方改革の研修実績についてお伺いします。

【答え】
 令和5年度には、市内小中学校長が参加する「働き方改革推進委員会」を年3回開催し、各校が取り組んでいる働き方改革に関する実践について情報交換してまいりました。また、市内小中学校では、職員会議や校内研修等を活用して、学校の業務について「廃止・縮小・ICT化」の視点で協議し、取り組んできております。 

【問い】
 各校の情報交換を行っているとのことですので、引き続き、学校ごとのばらつきが起こらないよう取り組みを共有していただければと思います。
 なお、働き方改革という点では、平成31年度の中央教育審議会において示された「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」のいわゆる「学校・教師が担う業務に係る3分類」があります。これにより、業務の明確化を行い、役割分担や業務の適正化推進につなげるものです。
 この分類をもとに、働き方改革を進めておられると思いますが、文部科学省が毎年度実施している「教育委員会における学校の働き方改革のための取組調査」の令和5年度版最新調査では、3分類のうちの「学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務」として「学校における調査・統計への回答等は、教育課程の編成・実施や生徒指導など教師の専門性に関わるもの以外の調査については、事務職員等が中心となって回答するよう各学校に促している」という項目について、安中市は取り組んでおりません。12市中、7市がすでに実施しているとのことですが、取り組みが進んでいない理由についてお伺いします。

【答え】
 学校における調査・統計については、児童生徒の個人情報に関する内容が多く、事務職員等が中心となって回答することが難しい場合がございます。  
 一方で、事務職員が教材費の支払いや校務分掌を分担するなど、事務職員の学校内での役割が広がってきております。今後は、調査・統計への回答についても検討していきたいと考えます。

【問い】
 自治体規模の似通った富岡市や藤岡市をはじめ県内市の半数以上が取り組み済みです。他市の状況を確認していただき、積極的な取組みの推進をお願いいたします。
 同じく、「学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務」の中には、部活動の指導員や外部人材の活用についても触れられています。本市におきましても、すでに実施していることと思いますが、これまでの実績についてお聞きします。

【答え】
 令和5年度は、11名の方に部活動の外部コーチとしてご協力いただきました。また、顧問の代わりに指導や大会への引率ができる部活動指導員を1名任用し、より専門的な技能指導が可能になっております。

【問い】
 大会への引率など、教員の休日における業務の改善につながる良い取り組みだと思います。
 さて、ここまでお聞きしてきた中で、安中市内における現状がある程度把握できました。ここからは、現状を踏まえたうえでの、対策についてお聞きします。
 「教育委員会における学校の働き方改革のための取組調査」では、地域人材との連絡調整についての項目もありますが、部活動以外の授業などでも、地域人材を活用していくことが地域で子どもを育てるという観点からも重要だと考えます。
 地域人材との連絡調整について、学校主体以外の主体が中心的に行うよう、必要な取組みを行っていく予定があるかお聞きします。

【答え】
 地域学習を進めていく上で、地域の歴史や施設、人材等について詳しい方にコーディネートしていただくことは、児童生徒の探究的な学習を進める上で効果的であると考えます。地域連携につきましては、現在、学校運営協議会におきまして、区長をはじめとする地域の方に委員を委嘱し、ご意見をいただきながら学校運営を行っております。同協議会で様々な視点から、ご協議いただき、地域と学校をつなぐ地域コーディネーターについて、研究して参ります。

【問い】
 学校と地域をつなぐ地域コーディネーターは、子どもたちが地域を知る、地域に興味を持つということにもつながると思いますので、ぜひ研究を進めていただければと思います。
 なお、部活動につきまして、先ほど令和5年度実績をお聞きしましたが、今後の外部人材の参画について予定がありましたらお教えください。

【答え】
 部活動の地域連携・地域移行については、令和5年度より陸上、剣道、バスケットボール部をモデル競技部として休日における合同練習の実施など取り組んでまいりました。陸上競技部では、新島アスリートクラブとの合同練習も行い、所属している高校生や指導者からより専門的な指導を受けることができました。
 また、剣道では、顧問の代わりに単独での指導や大会への引率も可能な部活動指導員を配置いたしました。今年度は、モデル競技部にソフトテニス部を加える予定であります。今後は、学校からの要望を考慮しながら、モデル競技部の拡充や部活動指導員の増員を進めるとともに、スポーツ協会との連携も検討していく予定であります。

【問い】
 教員の働き方はもとより、地域の人材との交流や連携という点からも、今後も積極的に取り組んでいただければと思います。
 次に、先ほど長時間勤務の状況について伺いましたが、「教育委員会における学校の働き方改革のための取組調査」では、年度当初に年間1,086単位時間を上回る教育課程を編成していた学校への指導・助言の項目があります。これは文部科学省や県教委からも提言されているものと認識しておりますが、本市では、検討中として回答されています。今後の予定についてお伺いいたします。

【答え】
 群馬県の教職員の多忙化解消に向けた協議会から発出された提言R6には、今後「廃止・縮小・ICT化」が期待される業務例の一つに年間の授業時数を計算し余剰となる時数の削減について挙げられています。これを受け、各校では学期末に事務処理日を設定するなど余剰時数の削減に向けた取り組みを進めております。

【問い】
 こちらの項目については、県内12市中9市が実施済みとのことであります。勤務時間の減少にもつながりますので、引き続き取り組みを進めていただきたいと思います。
 また、こういった取り組みを進めていくことで、教員一人一人の時間管理意識等にも変化がみられると考えられます。実際に、教員勤務実態調査では、時間管理意識が高い教員ほど、在校等の時間が短いとの分析結果もあります。教育委員会として、時間管理意識等の向上を図るために対策を講じていく予定はあるかお聞きします。

【答え】
 各校では、教職員一人一人の毎日の在校時間を記録しております。その中で、月の超過勤務が80時間を超える者には管理職から通知を配付し、勤務時間を見直すよう声かけをしております。また、100時間を超える者には、産業医面談を受診していただいております。また、在校時間記録ファイルには、教職員自身の時間外勤務状況が自動でグラフ化され、一目で確認できるシートもございますので、これらを活用して自身の勤務について振り返るよう呼びかけております。

【問い】
 ぜひ、超過勤務を行わざるをえない教員が増えないよう、対策を継続していただければと思います。
 「教育は人なり」という言葉がありますが、子どもたちと日常生活の中で多くの時間を共にするのが教員であります。行政視察で伺った宮城県白石市では、教育長自身が校長会の場で「少なく教えて豊かな学びを」という授業の転換と楽しい学校づくりをお願いしているとのことでした。働き方改革を行うことで、実際に白石市内の学校で働き続けたいという若手教員が多くいるとの話もありました。
 また、教員勤務実態調査の中でも「仮に今よりも業務時間が短縮された場合、空いた時間をどのように使いたいですか」との問に対しては、「更なる授業準備や教材研究等に充てたい」等、業務の質向上に関する回答が小学校において約48%、中学校において約41%存在しているという分析結果も出ています。こういった熱い想いを持つ教員に対し、やりがい搾取のようなことがあってはならないことです。国の提言では、教員の働き方を改善することは子どもたちに対してより良い教育を行うことにつながっていくと示されています。ぜひ教員の働き方を積極的に見直していただき、子どもたちが自分らしく心豊かに暮らせるまちを実現されることを期待します。

 続いて、スクールバスの運用について、お聞きしたいのですが、現在まで、この数年間で小中学校の統廃合が進んでいます。その中で、スクールバスを利用して登下校している学校数をお聞きします。

【答え】
 第一中学校、第二中学校、松井田中学校、松井田小学校の4校でございます。

【問い】
 4校とのことですが、本市におけるスクールバスの乗車対象となる基準などがあればお伺いします。

【答え】
 自宅から学校までの距離をもとに、スクールバスの定員数を考慮しながら決定しております。

【問い】
 では、このスクールバスの対象者のうち、利用申請している児童・生徒の割合をお聞きします。

【答え】
 令和6年度のスクールバス利用の対象者は、232名でございますが、そのうち利用申請書を提出している者は、225名でございます。利用申請率は、約97%になりますが、児童生徒によっては申請していても利用しない者もございます。

【問い】
 対象者のほとんどが利用していることがわかりました。
 一方で、本市では「安中市遠距離児童生徒通学費補助等に関する規則」に基づき、スクールバスを利用しない遠隔地の児童生徒について、通学費の補助を行っています。この補助制度の利用者数についてお伺いします。

【答え】
 令和5年度に安中市遠距離児童生徒通学費補助金を支給している児童生徒は、小学生2名、中学生42名でございます。

【問い】
 こちらの補助利用者とスクールバス利用者はどの程度の割合となっているでしょうか。

【答え】
 令和5年度の遠距離児童生徒通学費補助の対象者は、市内小中学校で44名でございます。また、スクールバスの利用者は、239名でございます。補助利用者とスクールバスの利用者の割合は、補助者が約15%(15.5%)、スクールバス利用者が約85%(84.5%)となります。

【問い】
 令和5年度実績として、遠隔地の通学としては、スクールバス利用が約85%ということがわかりました。学校の統廃合により、これまで以上に遠隔地の児童生徒が増えていることから、スクールバスは重要な通学手段であるということであります。
 次に、今後の購入予定についてお伺いしたいのですが、実施計画にも搭載されていたと思いますが、今年度の購入予定についてお聞きします。

【答え】
 令和7年度(4月1日)に後閑小学校が原市小学校へ、細野小学校が松井田小学校へ統合するため、遠距離通学となる児童に対し、スクールバス2台を購入する予定となっております。バスの購入にあたっては、対象児童数とスクールバスの定員数を勘案し、28人定員のマイクロバスと32人定員のバスを今年度に購入する予定であります。

【問い】
 少子化が社会問題となって久しいわけですが、以前、上後閑地区から後閑小に通っていた児童はタクシーを使っていたこともありました。今回、購入にあたっては、車種などバス以外でも検討を行ったかお聞きします。

【答え】
 今年度に購入するバスについては、1台は、今後利用者数28人以下で推移予定の松井田小学校の既存バス(44人定員)を原市小学校へ転用し、その代替として28人定員のマイクロバスを購入する予定です。さらに、32人定員バスを1台購入する予定です。スクールバス以外の方法としては、路線バスの利用も考えられますが、児童の安全面を考えるとスクールバスがより適していると考えております。

【問い】
 効率の良い運用のために、検討を重ねられたことがわかりました。
 では、導入予定地区の保護者との調整につきまして、説明会などがありましたらその予定をお伺いします。

【答え】
 後閑小学校、細野小学校の保護者・地域説明会を7月に予定しており、スクールバスの乗降場所や出発時刻、乗り方等について説明し、保護者、地域の方々からのご意見を伺いながら調整していきたいと考えております。

【問い】
 実際に利用する子どもたちも含め、しっかりとした情報提供など、スムーズな運用開始、子どもたち自身が安心して利用できるよう、よろしくお願い申し上げます。
 なお、このスクールバス通学ですが、下仁田町や茨城県常陸太田市などは、路線バスと統合する取り組みを実施しています。先ほどのご答弁の中でも児童の安全面に触れられていましたが、需要を集約することで公費の二重投資の回避や持続的な公共交通の構築、さらには児童生徒の交通教育にもつながると考えられます。公共交通機関の活用につきまして教育委員会としてのお考えをお聞かせください。

【答え】
 児童生徒が路線バスなど公共交通を利用することは、公共交通の利用方法を学ぶだけでなく、交通安全や社会的なマナーを身につける上でも意義あることです。現在、バス会社が企画している路線バスの乗り方教室に参加している小学校もございます。ただ、毎日の通学に関しては、児童生徒の安全面や学校行事や災害等による運行時刻の変更に柔軟に対応できるスクールバスでの通学が適切であると考えております。

【問い】
 現在、本市では地域公共交通計画が策定されています。先日も公共交通ワークショップに参加させていただきましたが、新たなデマンド交通の導入など、抜本的な公共交通の見直しが行われているわけです。そのような中、今後、公共交通機関の活用など、検討していく余地があるかお聞きします。

【答え】
 公共交通の機能を充実させることは、地域住民の利便性が向上し、地域の活性化につながることと考えております。先ほど申し上げましたとおり児童生徒の安全面を確保し、運行時刻の変更に柔軟に対応できるスクールバスでの通学が適切であると考えますが、(公共交通機関の活用などについては、)計画策定の関係部署と整備内容を確認しながら、検討して参りたいと考えております。

【①まとめ】
 スクールバスの購入については、予算書を見ますと国の「へき地児童生徒援助費等補助金」が活用されていることもわかりますが、半分は市単費であり、購入後も維持費はかかってくるわけであります。
 今年3月のことではありますけれども、県と渋川市では「子ども専用のデマンドタクシー」の実証実験が夕方の時間のみですが行われていました。こういった新しい取り組みも行われている中で、本市では公共交通の抜本的見直しが行われています。これは一つのチャンスであると考えられます。教育行政、公共交通行政という枠でとらえずに、ぜひ横のつながりで一度検討していただければと思います。

②市業務のDX推進状況について

【問い】
 それでは、2項目目、市業務のDX推進状況についてお伺いしていきます。本年3月に策定したDX推進計画ですが、計画の必要性という項目では、全庁的な調査の結果、見えてきた課題があげられています。この調査で主にどのような課題があがったのかお伺いします。

【答え】
 職員への調査につきましては、DXに関する取組状況や課題等を把握するため、昨年8月に全庁的な調査を実施いたしました。この中で、職員の知識の不足、専門家によるサポート、支援体制の必要性などの意見が寄せられたため、改めて課題として捉え、これらの解消がDXの推進には不可欠であると確認したところでございます。

【問い】
 実際に業務を行う職員の意見を踏まえて、このように課題を抽出するのは、いわゆる計画ありきではなく、より実践的な計画になると思われるのでとても良い取り組みだと感じてました。
 また、DX推進に係る意思決定機関として「DX推進本部」が示されていますが、この本部は計画策定に伴い新たに設置されるものかどうか、そして、この計画はどのような体制で策定したのかお聞きします。

【答え】
 DX推進本部につきましては、「安中市DX推進本部設置要綱」に基づき、本年6月1日に新たに設置いたしました。体制といたしましては、市長を本部長とし、副市長、教育長、すべての部長職から構成されるものでございます。
 また、DX推進計画につきましては、外部専門人材の支援をいただきながら政策・デジタル推進課において策定したところでございます。

【問い】
 この6月からの新設ということで、必要に応じてワーキンググループも設置されるとのことですが、積極的なDX推進につなげられますよう期待します。
 なお、計画策定にあたり、外部専門人材の支援があったということがわかりました。計画中の今までの取り組みの中でも「その他DX」という欄で外部人材の活用があげられています。他にどのような取組みで活用されたのかお伺いします。

【答え】
 外部専門人材につきましては、NTT東日本と業務委託契約を締結しており、活用の内容といたしましては、先ほど申し上げましたDX推進計画の策定に関する助言のほか、DX推進に係る中長期的なロードマップの作成支援、庁内におけるDXの認識共有や機運醸成のための職員研修の実施などでございます。今後もDXの推進に向け積極的に活用してまいりたいと考えております。

【問い】
 過日の行政視察で宮城県岩沼市にも伺いましたが、内閣府の地方創生人材支援制度を活用し、外部アドバイザーをデジタル化推進室長として招聘しているとのことでした。今後のDX推進の流れの中で、本市においてもそのような取組みも検討してみてはと感じました。
 一方で、DXの推進を加速させることはもちろんですが、デジタル機器を扱うことになれていない方々を取り残さないことも欠かしてはいけません。計画中、同様に今までの取り組みの中で「デジタル機器利用促進講座の開催」がありますが、受講者における年齢層はどのようになっているかお聞きします。

【答え】
 市民向けの講座といたしまして、昨年度はスマートフォン教室を初級・中級に分け、それぞれ2回ずつ開催し、延べ約60人の方に受講していただきました。
 受講者の年齢層につきましては、初級・中級ともに、70歳代が最も多く、次いで60歳代、80歳以上でございました。

【問い】
 令和5年の情報通信白書では、個人のインターネット利用率が84.9%となっており、端末別ではスマートフォンが71.2%となっているようです。
 また、個人の年齢階層別にインターネット利用率をみてみると、13歳から59歳までの各階層で9割を超えている一方、60歳以降年齢階層が上がるにつれて利用率が低下する傾向にあるとのことであります。
 利用促進講座等については継続的な実施が必要と考えます。公民館事業などで幅広く展開することも効果的ではないでしょうか。ぜひ、引き続き実施することで、情報格差を埋めるいわゆるデジタルデバイド対策につなげていただきたいと思います。
 続いて、計画中に掲載されている今後予定されている取り組みについていくつかお伺いします。
 まず、各種相談窓口のオンライン化についてであります。すでにオンライン化されている移住に関する窓口もあるようですが、今後考えているほかの相談窓口がありましたらお聞きします。

【答え】
 オンラインでの相談窓口といたしましては、現在のところ移住希望者向けの相談業務を行っております。
 ほかの相談窓口のオンライン化につきましては、今後、必要性や要望等に応じて導入に向けた検討を開始してまいりたいと考えております。

【問い】
 今後の必要性や要望等の中で、例えば、公民館や定住センターなどでのオンラインによる相談窓口の体制構築などについても検討可能性があるかお伺いします。

【答え】
 本庁から離れた施設からのオンライン相談につきましては、実施する場合は、まずは松井田庁舎から始めることが想定されます。その後、オンライン相談の有用性が確認されれば、公民館など順次施設を拡大することも考えられるところでございます。

【問い】
 本庁支所間はもちろんですが、高齢者なども足を運びやすい公民館や定住センターなでどのオンライン化された相談窓口も利便性は高いと感じられます。需要を見極めながら、ぜひ進めていただければと思います。
 続いて、各種施設のオンライン予約についてですが、他市でもオンライン予約が一般的になってきています。その中で、公共施設のうち、斎場の予約については、私が職員時代、宿日直者が行わなければならない業務の一つでありましたが、こちらについてもオンライン化できると非常に有用であると考えるのですが、検討可能かお聞きします。

【答え】
 各種施設のオンライン予約につきましては、電子申請システムや公式LINEで対応が可能であるため、今後、導入できる施設を検討してまいりたいと考えております。併せて、斎場の予約につきましても検討してまいります。

【問い】
 体育館や公民館などの予約の点では、茨城県小美玉市では、まちかぎリモートというシステムを導入し、公共施設のオンライン予約後、暗証番号が発行され現地で暗証番号を押すと鍵が開くというわかりやすい仕組みで利便性が向上したとのことであります。市民や予約管理を行う職員のいずれもが使いやすいシステムの検討をお願いしたいと思います。
 また、斎場の予約につきましても、最近では太田市や前橋市も行うなど、県内他市でもオンライン予約を行っていますので、検討を進めていただければと思います。
 次に、LINEやWEBを活用して各種手続きなどをスマートフォンで利用できる「スマホ市役所」などのアプリが最近は登場していますが、市民の利便性向上やサービス自体を職員が内製できるといったメリットがあります。本市でもLINE公式アカウントが積極的に活用されていますが、こういったアプリの導入可能性についてお伺いします。

【答え】
 「スマホ市役所」は、LINEを活用して様々な行政サービスを行うものでございますが、本市では昨年度、市公式LINEアカウントの機能を大幅に拡充させたことにより、「スマホ市役所」と類似のサービスも行うことが可能となっております。
 今後、どのようなサービスが提供可能か検討を進め、さらなる利便性の向上に努めてまいります。

【問い】
 確かに、現在の本市LINE公式アカウントでは、複数のタブもあり、多様なメニューが用意されています。先ほどのオンライン予約など、ここからさらに充実されることを期待します。
 それでは、続いてタブレット端末の活用についてお伺いします。これまで、導入した部署や台数など活用状況についてお教えください。

【答え】
 本市では、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、国や県とのWEB会議に対応するため、令和2年度にタブレット端末を導入いたしました。
 これまでに本庁舎に5台、松井田庁舎に2台、合わせて7台導入しておりますが、必要な時に必要な部署へ貸し出し、WEB会議システムによる説明会への参加や業者との打合せなどに活用しております。

【問い】
 現状、7台が導入され、それぞれ活用されていることがわかりました。今年度については、実施計画に搭載されているものとして、監督員業務と介護認定審査会においてタブレットが活用されるとのことですが、その概要とメリットについてお聞きします。

【答え】
 タブレット端末の活用でございますが、監督員業務では、これまで現場へ持参していた大量の紙の資料を、電子データとして持ち運べるようになります。このため、ペーパーレス化が図られ、経費の節減と業務の効率化が実現します。
 また、介護認定審査会におきましても、用紙代や印刷トナー代の削減による経費の節減、資料の配付や製本等に係る業務の大幅な軽減による効率化のほか、介護認定審査会委員の負担の軽減にもつながるものと考えております。

【問い】
 介護認定審査会など、大量の紙資料を用いているとの話を聞いていましたので、大きな業務の効率化だと感じます。議会においても、議会改革推進特別委員会の中で、タブレット端末の活用については検討を現在行っているところでもあります。
 このペーパーレス化ですが、DX推進計画の取組み予定にも掲げられておりますが、今後のタブレット端末の導入予定があればお伺いします。

【答え】
 タブレット端末につきましては、現時点で具体的な整備計画はございませんが、情報系のパソコン約700台につきましては、来年度更新を予定しており、現在のデスクトップ型からノート型への移行を検討しております。ノート型にすることで持ち運びが可能となり、会議や打合せの際のペーパーレス化や業務の効率化を図ることが可能となります。
 また、建設予定の新庁舎では無線LAN環境の整備も検討しておりますので、新庁舎では自席以外での通信も可能となり、業務の効率化が図られるものと考えております。


以下、時間切れで聞けなかった部分になります。

【問い】
 私自身が在職時最後に所属していた生活保護業務の職場では、訪問業務がほとんどを占めていました。業務内容によっては、ノート型よりもタブレット端末が有用な部署もあるかもしれません。ぜひ職員の意見をくみ取り、反映していただければと思います。
 なお、モバイルワーク勤務について、DX推進計画では、今年度、来年度が試験運用期間となっております。こちらもタブレット端末が活用できると思いますが、どのような部署、あるいは業務が想定されるかお聞きします。

【答え】
 モバイルワーク勤務につきましては、出張先や移動中などでもモバイル端末を用いて業務ができる勤務形態でございます。
 現在、導入している7台のタブレット端末にはモバイル機能がございますので、出張先などで活用することは技術的には可能ですが、セキュリティー面などクリアしなければならない課題もございます。これらの状況を踏まえながら、今後どのような部署や業務で活用できるか、研究・検討を進めてまいりたいと考えております。

【②まとめ】
 先ほども触れましたが、行政視察で伺った宮城県岩沼市では、地方公共団体情報システム機構J-LISが提供する自治体テレワークシステムforLGWANを活用して、自宅でのテレワークを可能としているとのことでした。
 なお、岩沼市では、20数年前から財務会計システムを電子決裁できるようにしているようで、それらの処理をテレワーク業務として行っている職員もいるとのことです。この財務会計の電子決裁化もかなりのペーパーレスにつながりますので、併せて検討していただけたらと思います。
 現代は、物事の不確実性が高く、将来の予想が困難な状況であるVUCAと呼ばれる時代であります。そのような時代を生き抜くためには、情報収集と分析の効率化・高度化が肝要であり、それらを実現するためのIT基盤づくりであるDX推進が重要です。
 一方で、行政として、DX推進計画にも掲げているとおり「誰一人取り残されない 人にやさしいデジタル化」も忘れてはなりません。時代に対応していくためのDX推進の加速化と同時に、きめ細やかなデジタルデバイド対策を講じていただけることを期待して、一般質問を終わります。ありがとうございました。

#議員 #市議会議員 #一般質問 #市議会 #安中市 #若い力 #うさみ誠 #あなたの一歩がつながるまちづくり #教育施策 #DX推進状況  #安中に新しい風を #6月議会 

いいなと思ったら応援しよう!