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捕虜

・得体の知れないものは怖い。全ての感情に名前を付けたら楽なんだろうけどただそこにあるだけの感情も大切に抱えたくてそうもいかない。

・急にガツンと精神が不調になったなと思ってカレンダーを確認すると排卵日、ということが数え切れないくらいある。不調は3~10日前から始まると一般的には言われるけれど、そんな短い訳あるかよと毎度頭を抱えている。排卵後1週間くらいの期間に「まったり期」と名付けた誰かの首を絞めてしまいたくなってしまう

・こういう時に受験期に聴いていたメドレーを聴き直してしまって余計にダメージをくらうのもお約束で、当時の方が余程死にたかったのを思い出してなんであの時死んでいなかったんだろうなあと延々と考えていると日を跨いでいたりする。頑張りきれなかった過去への執着も姉への嫌悪も早く捨てて何も悩むことのない世界になってほしいけれど、それをその時の苦しさのまま抱えることが私の勝手な役割だとも思っていて、一生この時間と付き合うのか、と軽く絶望する。ことが、最近また増えてきた。

・ピルへの課金は馬鹿馬鹿しいけれど飲むと本当に楽だったんだなと休薬3ヶ月目にして思い始めた。服薬中は感情のベクトルが他者に向くことが増えて自分が自分じゃない感覚に苦しんだけれど休薬したらしたで全部自分に向くようになって、これが自分だと素直に抱きしめられる反面やっぱり毎日こんな生活か、とも思うし、人間として生きるの難しいなあと思います。

・土曜日に調子を崩して足がもつれたと思ったらずっとそこから起き上がれずにいる。カレンダーを見たらやはり排卵周辺だった。性に関して考えることを止めたいけれど夜に電気を消すとズカズカと頭に侵入してきて自分の存在価値という余りにもありふれた気色の悪い悩みを抱えてしまう。性で貢献できない女の、相手を満足させられない女の、相手の邪魔すらしてしまう女の、やれそうでやれない女のつまらなさを知っているから、私は悪くない悪くない悪くないと思ってもやっぱり自分が悪くて、その環境に適応できなかった自分が惨めで仕方がなくなってしまった。

・性的虐待を受けたわけでもないのにこんなにも過去に囚われて、それがおかしいと歪んでいると気づいているのにそこから抜け出せないのがおかしいのかとも思う。人生を踏み外した瞬間を鮮明に覚えているからそこさえ間違わなければと泣くことしかできない。いつまで泣けば許されるのか分からない。その過ちがこんなに苦しまないといけないくらいの過誤だったのかとか一生抜け出せないかもとか考えると人生お先真っ暗です。

・何もない毎日の中でわりとずっとこのことを考えていて、常に性が頭の中にあるのが多分めちゃくちゃ気持ち悪いことなのは分かっていて、そんなに考えなくてもいいことだと言われたら納得もする。でもどうしてもどの瞬間にも頭をよぎる。世の中のカップルを見たとき、結婚指輪を付けている人を見たとき、子供を抱く幸せそうな大人を見たとき、私はこれからどうやって生きていけばいいんだ?と思う。

・もう夜に泣きたくない、明日になるのが怖いとか寝るのが嫌だとかになりたくない、親にも知られていない気持ちの悪い感覚たちを抱えて声を押し殺して泣くのをやめたい、なんで私ばっかり会う人すべてに性の足枷を付けられたのか分からない、世の中のどこかに私の何かが流れていることに怯えながら、生きている地域に小さな嫌な記憶が植え付けられているのを感じながら生きたくなんかない。

・こんな下らないことでずっと頭をかかえるような人間が心理職になんてなれるのか?

・「お前みたいなのが教員にならない方がいい」と言われなかったらもう教員になってたんだろうか、教員にならない方がいいと客観的に見て思われるような部分があるなら子どもと関わったら逆に不幸にしてしまうんじゃないか、言った本人はそんなこともあったね〜という認識しか持っておらず、それをずっと引きずるわたしもかなり悪いのかも、こんなのが、私みたいなのが子どもに関わったら幸せになんかしてあげられないかもしれない

・そんなのを言い訳に教職から逃げたのだとしたら逃げた私が最も醜く弱い人間なので、結局は自分が悪いことに収束する、将来への不安と性への嫌悪感は日に日に強く大きくなっていくばかりでしたとさ、ちゃんちゃんっ

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