ACC NY滞在記 #08
やっと時間軸が追いついてきました、これを書いているのが2024年11月10日(現地時間)。
November 8th, 2024
朝からGibneyでクラスを2本受ける。先週に引き続きKlein Techniqueとmore fish dance companyのパートナリング。パートナリングは正直クリエイションの時じゃ無いとやる機会がないので、基礎から改めて振り返れる良い時間になっています。
海外初観劇はLimon Dance Company
夜はNY初の、むしろ海外初の劇場での観劇。演目はLimón Dance Company、公演名もカンパニー名そのままという老舗中の老舗。ホセ・リモンはテクニックメソッドの名前にもなっている、モダンダンスの振付家。自分の動きのベースになっているリリーステクニックをさらに遡るとリモン・テクニックにたどり着くようなイメージがあるので、私のダンス的な祖先、とも言えます。
トリシャ・ブラウンにしてもホセ・リモンにしても、亡くなった後もその名前を冠したカンパニーが存続している、さらに新作を作っているというのは不思議で興味深い。
会場はThe Joyce Theater。外観からTHE☆劇場。テンションアガります。
海外の劇場はBar併設で開演前や終演後に飲んで感想を話し合ったりするんだよ、ていうのは散々聞かされてきた話ですが、それを直に体感。観客も老若男女幅広く、日本の劇場の雰囲気とは違います。もちろん演目が演目だけに層が広いのかも知れません、なんせ設立78年?のカンパニーですから。
劇場空間自体もめちゃくちゃ良い。サイズ感がとても良い。舞台は大ホールレベルあるのに客席は200席前後くらいの感じでとても観やすい。結構後ろの席でもしっかり観れます。個人的にハコのサイズは作品の内容にすごく影響すると思っているので、このぐらいのサイズだと小劇場レベルの細やかな表現もしっかり届きそうな感じがして良いです。
劇場ばかり褒めてますが、作品もとても良かったです。
作品の中身の話もします
1本目の「The Traitor」はリモンのwikiの項目にも載っているので、多分代表作の一つなのでしょう。舞踊史の授業で写真や映像(は殆ど無いか)でしか見たことないような、THE☆モダンダンス。身体のテンションやトンマナが明らかにコンテンポラリー・ダンスともバレエとも違う。勝手なイメージで言うと現在のマンガがコンテンポラリー・ダンスなら、劇画のマンガ、みたいな。音楽との親和性を強く感じさせながら、ベクトルとフォルムの強い、それでいて繋がっていくように動いていく踊り。音にハマりすぎててなんかちょっと笑っちゃうんですよね、個人的には。リモンテクニックに関しては正直ちゃんと詳しくはわかっていないのですが、テクニックがきちんと作品とともに継承されているのだな、というのが作品から伝わってきました。
2本目「SCHERZO」は太鼓ひとつと男性4名によるダンス。そこにドラムスの生演奏との掛け合わせ。1本目とは身体のテンションから違う、少し緩んだ身体。踊りじゃない身体をきちんと分けられていて、良い。1本目は録音、この作品は生演奏のドラムなのですが、どちらにせよ音との親和性が高い。そして踊りにユーモアがある、それでいてバリバリに身体が動くのは観ていてHappyになります。
3本目は新作「The Quake that Held Them All 」
上演前にMCが入り、作品の説明をする。ダンスって基本的には抽象表現だからある程度補助線として説明が入っても良いのにな、と思っている派なのですが、なるほどMCという手法は思いつかなかったです。複数の作品からなるプログラムだからこそできるのかも知れませんが、フルレングスの作品でもアリなのかもな、と思わされました。
作品自体はもうモダンダンスってなんだっけ?コンテンポラリー・ダンスってなんだっけ?みたいなジャンルとかよくわからなくなる感じ。音と共にめっちゃ動く。フロアもガンガン入るし、パートナリングも盛りだくさん。
休憩あけて4本目は「TWO ECSTATIC THEMES 」、ドリス・ハンフリー振付によるソロ。ピアノの生演奏とともに。THE☆モダンダンス、きっちりテクニックに則って踊られており、クラシカルというか古臭さすら感じさせる作風ながらそれはそれで良い。
5本目最後の作品は「MISSA BREVIS」物語性、メッセージ性を強く感じさせる群舞。最後はしっかりカンパニーが受け継ぎ大事にしているものをやります、みたいなことを感じて良かったです。映像記録技術なんて全然なくて、すでに振付家も亡くなっている中でレパートリーとして作品を再演する労力に感服します。それが熱量として作品に乗っているようにも感じました。
デジタルパンフレットも公開されているのがすごい。振付家のノートも載っているので、ぜひ読んでみてください。寄付のあり方とか色々日本との違いも垣間見れて面白いです。
日本も色々頑張ってほしい
ちょっとした転換休憩には次の作品につながる生演奏で繋いでいったり、MCが入ったりプログラムの組み方が面白かったです。総じて、とても面白かったです。
なんか日本の人たちにこうゆう作品こそ見てほしいと思いました。ヨーロッパのNDTとかコンテンポラリー・サーカスとか最先端の作品がどうしても招聘されがちですが、コンテンポラリー・ダンスへの系譜がたどれる感じがして。ダンス好きな人なら十分楽しめると思う。素舞台で衣装と照明、音楽と共にダンスで勝負してます!ていうのもカッコいいし。舞台装置の輸送もないから呼びやすいような気もするんですよね。
まぁモダンダンスって日本だと、ちょっと詳しくはアレですが、なんか、ね…みたいなイメージがついちゃっている気がするのですが…
あと劇場のホスピタリティがすごい。
前日にリマインドメールもくれるし、終演後には良かったら次も来てね!メールも。寄付や助成金で成り立っているとはいえ、基本経営は民営、のはず。寄付してくれた方々が誇れるような劇場であろうと作品の選定や観客へのホスピタリティがしっかりしているのでしょう。日本の劇場も見習って、単なる貸し小屋になるんじゃなくて独自のセレクション上演などをやっていけば小屋それぞれの色が出てもっと面白くなったりする気がします。
海外初観劇でいい作品に当たったので、長めに語っちゃいました。
November 9th, 2024
2度目の週末。日本でもフルタイムで働いているわけでは無いけど、やはり週末はどこか特別。NYではメトロの運行がかなり変わるので油断すると遅刻しそうになります。けどみんな結構遅刻してくるので、そんなこと気にしちゃう時点でまだまだニューヨーカー、ニューヨークシティボーイには程遠いです。
即興はコミュニケーション、だからこそ…
2回目の即興クラスThe Athletics of Intimacy。先週と似たような流れながら、今回は少しボディコンディショニング的な側面が強め。それでも最終的には即興で時間を過ごしたな、という満足感が得られます。即興というのはやはりそれ自体がコミュニケーションなので、クラス終わりに話が弾みやすい。とくにこのクラスはダンサーが少数で色々な人が来ているので、いわゆる「フツーの人」と話せるのが良い。まだこちらの英語力が追いついていたのでなかなか聞きたいこと、「なぜここに来ているの?」をうまいこと聞けて無いのが課題です。
そのあとは同じEden's ExpresswayにてCIのJAMがあるというので参加。やはりJAM毎にカラーがあり、ここは結構アグレッシブな感じ。集まる人にカラーがあるのか、なんとなくコミュニティとしてカラーが生まれてくるのか、興味深い。でも色々なJAMがあればいいし、その中で自分に合うJAMを選んで参加できるのが良いですね。マサチューセッツから参加している人もいたりして面白い。
その人曰く、NYでもCIコミュニティとダンス界隈はやはり離れているらしい。
私はどちらかというとテクニック的にもCI側からダンスに入ってきた人間なのでCIの良さをダンスに流入したいと最近考えていて、それがひょっとしたら自分の作風と繋がってくるのかもな、とうっすら思っています。
ついでなので、その彼がやっている団体を紹介しておきますね。
結構CIからの派生って多いですよね、瞑想の面も強いし。その辺は好みで、それぞれのコミュニティを理解するのが大事な気がしています。
いずれにせよ、CIのコミュニティは世界中どこにでもあるから、ある程度できるようになっておくと色々楽しいです。
ちなみに創始者のスティーブ・パクストンはスピリチュアル的な解釈は俗流としていたみたい。
今更ですけど、今回のNY滞在記、備忘録やあらためて調べることを積極的にしているので、色々用語の説明などをリンクで貼っています。もし興味があるモノはどんどん飛んでってください。別に私にお金は入りませんが笑
何か設定すれば広告費とか入ったりするのかしら…と浅ましい考えがよぎったところで、おしまい。
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