ACC NY滞在記 #16
なんやかんや遅くまで起きていて、若干寝不足気味。
November 23rd
2日間続いた雨からすっかり良いお天気。季節はぐいっと進んだようで、寒さが身に沁みます。
一期一会も悪くない
土曜の朝はEden's Expressで即興のクラス。
毎回どうやってプロアマ関係なく即興で動くための導入を作っていくかが興味深い。もちろんニューヨーカーの方々の思い切って飛び込んでいくマインドありきではあると思いますが、毎回即興で時間が立ち上がっていくのはすごいこと。
その後昼食を食べたり少しSOHOら辺をプラプラ。
UNIQLOを見つけたので入ってみる。値段の感覚がよくわからなくなる。円で比較すると明らかにNYの方が高いのだけど、賃金の感覚でいうと妥当、なのでしょうか?
程よく時間を潰してからEden's Expressにてレギュラーで開催されているJAMへ。最初から参加すると3時間の参加になるので、少し遅れて参加。
とはいえ人数はまだ2〜3人なのでまだ始まってすらいないダラダラタイム。ここからJAMを立ち上げる探り合いの時間がなんともいえない感じで良いです、まさにノンバーバルコミュニケーション、動物みたいな時間。
ゴリゴリにリフト仕掛けてくる上手い人とやると軽々持ち上げてもらえるので楽しいです。JAMでは普段それほど積極的にリフト狙っていくタイプではないので、ガンガン持ち上げられるとこちらも燃えてきてリフトを狙いがちに。
大体即興のクラスやCIのJAMに参加すると何人かといい感じの時間を紡げるので、話が盛り上がることもあれば言葉にならない、言葉にしたくないような感覚が流れることもあり、挨拶程度でさようならすることもしばしば。それはそれでなんとも一期一会な時間で良いです。運が良ければお会いしましょう、さよならだけが人生だ。
NYのペット観
なんだか眠気がすごかったこともあり、少し早めに切り上げて次の予定まで街を歩く。いい感じの古着屋を見つけたので入ってみる。フツーにネコがいる。
NYに来て結構驚きなのがスーパーとかお店に普通にペットと一緒に入ってくること。加工肉とかつまみ食いされちゃわないのかしら?と心配になる…一応サポートペット以外はお断りとなっているのですが、「ペットじゃなくて家族だから!」みたいなロジックが働いてそうな気がします笑
店側も注意喚起はしているけど、とくに注意はしないあたりがNYらしい。
「HERE NOW」
夜は観劇。開演が夜8時なのでそれまで時間を潰したい、しかしカフェは早めに閉まるところが多い!カフェ自体はたくさんあるのに夕方6時以降も空いているカフェはごく少数。GoogleMapを駆使して会場近くで遅くまでやっているカフェを見つけ、時間までまったり過ごす。
今夜観る作品は「HERE NOW」。
Lane Co ArtsとAbarukasという団体のダブルビルで、Abarukasの芸術監督は日本人の方、Yoshito Sakurabaさん。NYでカンパニーを主宰している日本人がいるのに日本ではなかなか知り得ない情報。
劇場はPeriDanceの1階にあるKnJ Theaterという劇場。キャパ100前後で、舞台面は4間四方くらい(一応書いておくと1間=1.8mです)客席の傾斜はそれなりにあるのですが、ここはアメリカ。前にめちゃデカい人が座っていると、とても観づらいです。
ダンススタジオに劇場設備が併設されているのっていいですね。ちょっとしたショウイングから本公演まで自前で賄える。運営もスタジオがやっているんでしょうか、スタッフも多くしっかりしてました。
作品自体はAbarukasは演劇にインスパイアされた作品で、マイム的な動きやセリフに合わせた振付やパートナリングでのユニゾンなどがありつつバリバリに動く。
ちなみにインスパイアされた作品は「ピローマン」だそうです。
Lane Co Artsの作品は2部構成。都市の中の自然が共存しうるか、みたいなことをダンサーをその象徴として言語での分かり合えなさなどで表現。背景に街中の木々や自然の様子を映写しながら、やはりバリバリに動く。2部構成の必要性はよくわからなかった。
なんとなくそうなんだろうと気がついたのですが、こちらの作品は基本的にバリバリ動く。ダンサーも身体が利くので観ていて気持ちはいいのですが、基本ずっとバリバリ動く。そしてずっとなにかしら音が鳴っている。まだまだリサーチの途中ではありますが、少しづつこちらのダンスの傾向が見えてきたように思います。
November 24th
日曜日。そう、曜日も気をつけないといけないのです。
メトロを無条件に信じるな
今日も昼からGinbneyでクラス。いつものように地元の駅からC Lineに乗る。
しばらくすると耳馴染みのない駅を通り始める。嫌な予感がしたのでGoogleMapを開いてみると、なぜかEastVillageのあたりに現在地マークが。どうやら土日はF Lineへの接続がある、らしい?今まで日曜日は3回経験してきているし、大体いつも同じ便に乗っているはずなのに、初の経験。いつの間に乗り入れた!?
東京の地下鉄もかなり入り組んだ乗り入れしてますが、NYもそうなんですね。ていうか急行、各停だけならまだしも曜日で違うのが紛らわしい。土日は下り電車が地元の駅に停まらないんすよ。なので土日の帰りは徒歩5分ぐらい足されます。
クラスには遅刻するも、欠席扱いにはならない時間帯に到着。
Martha Graham Studio
クラス終了後、足早に次の観劇のために移動。
今日の劇場はMartha Graham Studio。
よくよく考えると振付家の名前を冠しているスタジオがあるってすごい。あ、日本でもモダンダンスだと名前を冠した研究所、結構ありますね。モダンダンスの慣例、なのかな。
スタジオは先日行ったThe Kitchenの近く、Westbethの一角。
Westbeth、今回初めて知ったのですがアーティスト向けのレジデンスみたいです。調べてみたらアメリカ初の工業ビルをアート関連の施設に転用した事例とのこと。ここも掘りがいのありそうな場所ですね。どんどん面白そうな場所が出てくるので目が回りそうになります。
「ACQUA」
本日観る公演は「ACQUA」
DancesWeDanceという団体の公演。「水」をテーマにしたモダンダンスの振付家の作品数作と、女性のエンパワメントをテーマにした近年の数作の2部構成。
前半はイサドラ・ダンカンやドリス・ハンフリーの振付した作品と20年くらい前の作品、新作2本とどれも「水」をテーマにした作品。時代ごとの作品の変化みたいなものが見られて興味深い。
後半は日替わりのソロと新作。モダンダンスのテクニックにこだわっているから、どこかコンテンポラリー・ダンスとは違う雰囲気が出るのが面白い。
やはり日本ではモダンダンスは現代舞踊と名前を変えてしまっているのだな、と改めて。で、そこにはちょっとしたイメージが添えられてしまっているのだと思います。現舞走りはNYでも現舞走りで、なんだか感慨深かったです。
モダンダンスとコンテンポラリー・ダンス 伝統と革新
なんか研究書のタイトルみたいな見出しつけちゃいましたが…笑
別にジャンルなんてどうでもいいじゃん、とは思う派なのですが、やはりそこには何か差があると感じたので思うままに。
クラスを受けていても明らかにコンテンポラリー・ダンス(=Contemporary Dance)と銘打っているものと、モダンダンス(=Modern)と銘打っているものに分かれている。それはバレエやストリートと同じくらいの枠で分けられています。
とくにNYではモダンダンスが大事にされていると感じており、ここからは勝手な推測ですが、歴史の浅いアメリカにおいてモダンダンスを伝統芸能的な立ち位置へ持っていこうとしているのではないかな、と思いました。
時間軸的には同じ線上にある2つだと思うのですが、さまざまなテクニックと配合されて枝分かれ刷新されていくコンテンポラリーに対して、モダンダンスはしっかり確立されたテクニック/メソッドとして伝わり残っている印象。スタジオごとにも力を入れているジャンルがあるように感じます。
ちなみに主観ですがGibneyはコンテ寄り、PeriDanceはジャズダンスやタップにも力を入れていて、MarkMorrisはモダン、バレエ寄り。
先日Altenに聞いた話だとManhattanでHarlemがあるアップタウンはストリート、ブロードウェイがあるミッドタウンはエンタメというかexpressiveな踊り(ジャズやタップ)、ダウンタウンはコンテンポラリーや実験系、みたいな区画ごとの色があるらしく、確かにスタジオの位置もそれに準じている。面白いですね。
インタビューなどお話しを聞く機会が増えてきた中で、肌感覚で感じていたものと聞く内容が合わさっていくのが面白いです。滞在期間も折り返し、引き続き温かく見守ってください。