【映画】ダイナソーJr./フリークシーン
今年観た映画の中でも印象深かったドキュメンタリー。
オルタナティブ・ロックという言葉が生まれる前に生まれたバンドの軌跡を観ることができる。それだけでも心躍る。
バンド内の関係性や取り巻く音楽シーンも含め、理解を深められたと共にダイナソーJr.がシーンの中でどういう位置にいたのか?どんな影響をもたらしたのか?を各人の小粋なトークと若干の緊張感でもって知ることができる良作。
誕生、黎明、瓦解からの変形、復活とドキュメンタリーで観られるものはほぼすべて詰まっている。
自分はダイナソーJr.結成時にまだ生まれておらず、前述のオルタナティブ・ロックが蔓延り出した頃に物心がついた世代で、気付いたら周りはポスト・ロックやらオルタナやら、そういった言葉だらけだった。
グランジすらニルヴァーナをギリギリ掠める程度でロクに通っていない。
あの辺のシーン(と言ったら怒られるのだろうか)だとSonic YouthとかMy Bloody Valentineとか…?くらいの知識しかない。
ソニックユースも轟音だしマイブラも轟音シューゲイザーだし、そういうバンドがちょうどいた時期なんだろうな、と。
ダイナソーJr.は大学時代に「なんか、聴いておかなきゃいけない気がする…」とGreen Mindを買ってそればかり聴いていた程度のけしからなさだが、それでも今作はかなり楽しめた。
インタビューで関わる他バンドがそれはもう豪華だったので、これだけでも観る価値があるのでは。
とにかくサーストン・ムーアの若々しさに驚いた。
また、キム・ゴードンの視点から見るダイナソーの在り方がとても興味深く、映像の流れにもいやにしっくりくるところも良い演出だった。
(ちなみに私はソロ名義のサーストン・ムーアをライブハウスで観たことがある。今、サーストン・ムーア本人を直で観ている!これは吹聴できるぞ…!と思った。もちろん音源も良い。)
ジャズマスターをいくつものアンプに繋いで轟音を鳴り響かせるJと、リッケンバッカーのベースをギターのようなストロークで弾くルー、タイトながらにパワフルなドラムで屋台骨を担うマーフの関係性。
音がでかければかっこいい訳ではない。
音がでかくてかっこいいのがダイナソーJr.なんだな。
歪でポップ。
ダイナソーJr.は今年のフジロックにも出ていた。作中と同じようにアンプの数が多すぎた。