また春がくる一年がたっている

お久しぶりです、mtrikaです。

ふだん楽曲解説というやつをあまりしないのですが、instなら多少語ってもまあいいかなという気がしたのでつらつらと。

https://x.com/mtrika5/status/1776203130104930624

本来はアルバムのinst曲になるはずの曲です。が、ちょっと部分的に変えたい衝動に駆られ、衝動のままに録音したままにTwitterにあげました。正式なタイトルもありますが、まだ修正が入る可能性があったので、適当な仮題をつけておきました。何せ衝動が生んだものなので。ちなみに仮題は十七音です。特に意味はないですが好きなやつです。

自分では、この曲はまったく個性的ではなく、とてもmtrika的だと思っています。よく芸術は個性の追求だとか、意地悪な言いかたをすればいかに「変」なことをするかが大事だと信じている作り手や受け手が結構います。それはひとつのありかたであると思うとともに、本当に個の性質が表れるときというのは少し別のときなのではないかなと思ったりもします。
「なにか他の人にできない変わったことをしてください」と言われて頭をひねるのと、「みんなと同じようにしてください」と言われたときにしたくないこと、できないこと、譲れないところがあること。個人的には、後者で表れる違和感や譲れなさこそが、個性の在処に近いのではないかと思います。だから曲を作るときもよく考えているのが、できるだけ没個性的に書こう、没個性的に生きようとしたときにそこからはみ出るもの、溢れるものを原寸大の小ささで表現することです。

今回のinst曲は歌詞もなく、ありふれたコードの繰り返し、ありふれたモチーフの繰り返しでできた非常にありふれた曲です。ありふれているけれど、その繰り返しのふとしたタイミング、フレージング、ありふれた曲調からありふれた終わりかたへの繋ぎかた、そんなところから、これはmtrikaだな、これがmtrikaだなと感じる説明可能な部分が自分のなかで確かにあります。
聴いた人がただ綺麗だな、という感想だけで流れていってしまっても、つまらないと思っても、無個性だと思っても、別にどうだって構いません。
ありふれたものとありふれたものの集合体が、ほんの少しの違和感によってありふれていないものに聴こえる、そんな瞬間がこの世で少しは美しいもののひとつなのではないかと思っています。

mtrika

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