不動産開発プロセス その8
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は「初級編ケーススタディのまとめ」を行いたいと思います。
昨日・一昨日と記事を更新できず、失礼しました。
大学院の課題に手を付けたら止まれなくなり、記事作成の時間を作れませんでした(汗)。
この記事では、「ケーススタディで何をしたのか?」を取り上げます。
人口動態調査
これがファーストステップです。
もちろん、「区画を見つけてくる」という前提のもとですが。
人口動態調査では、区画が位置する地域の特徴をつかみます。
人口・年齢構成・家族構成・収入・居住状況・雇用状況・・・
特徴をつかむことで、区画に適した物件のイメージを描きます。
例えば、今回のケーススタディは「若い複数人世帯が多く収入が大きくない地域」ということから「複数部屋の居室がメインの複合ビル」を導きました。
この人口動態調査を間違えるとすべての前提が崩れることになるため、分析能力がある人が実施するか、自身の分析力を高められるようにしましょう。
街を歩いているときに、ビルやマンションの特徴をさらっと確認しつつ、その特徴を持つ理由を考えてみると面白いかもしれません。
建物プラン検討
次は、建物のプランを考えます。
プランと言っても細かい部屋の作りや外観などを考えるわけではありません。
建物の位置や形状、居室タイプごとの割合を考えます。
このパートは簡単なブループリントを作ることだけです。
細かく考えすぎるよりも、簡単な案を複数用意して比較検討する方がよいでしょう。
家賃・価格設定
居室タイプが決まったら、家賃と価格を設定します。
近隣の同レベルの物件から情報を集めるほか、地域の平均値も考慮事項として考えます。
ざっくりと地域の家賃・価格レベルがわかったら、ターゲットとする入居者層にとって受け入れられる額であるかを考えます。
今回のケーススタディでは、少々低めの設定になりましたが、地域住民の収入を考えると、今後その地域に入ってくる新住民の層も同程度であろうと考えられるため、よしとしました。
また、家賃から価格を設定する流れで今回は考えましたが、逆もできます。
価格から始める場合も、周辺情報をもとに試算して、市場の期待利回りをかけることで年間家賃を計算することができます。
開発コスト算出
開発コストもざっくりと試算しましょう。
ビルやマンションの建築コストはネット上に大量に出回っています。
それらをもとにプランのコストを算出します。
重要なことは、コスト試算の時点で、物件価格よりもコストの方が小さいということです。
試算して得られるコストは建築費用だけであり、土地取得費用やそのほかの経費は含まれていません。
そのため、物件価格ぎりぎりのコストは注意が必要です。
目安としては、売り出し総額の何%を利益として得たいかというものになります。
今回は10%でした。
そのため、開発総コスト(経費含む)が物件総額の9割を占めても、開発投資はGOサインが出せます。
例えば、個人デベロッパーが売り出し価格1億円の開発をした場合、9000万円までが開発費用として許容されます。
現在の融資状況を考えると10%~20%の頭金が必要になりますから、借入は7000万円~8000万円程度。
詳しく正確な計算は省いて、売却後に2000万~3000万円が手元に来ることになります。
この数字がOKかどうかは皆さんの判断基準次第です。
まとめ
すべて売却する場合でも、全て賃貸する場合でも、1㎡当たりの売り出し価格・家賃が高いプランの居室を多くすることが利益額を大きくすることになります。
しかし、試算における利益額の大きさは実態を把握・反映できていません。
そのため、人口動態調査でどの層が入居してくれるのか、どの層をターゲットとすべきなのかを導き出すことで健全な財務運営が可能になります。
不動産開発は起業です。
消費者の需要を把握し、ニーズを的確に押さえることで、売れる・貸せる物件を開発することができます。
そして、一度開発プロセスが定まれば、区画が異なったとしても、市況が変化しても、対応することができるのです。
今回はこれまで。
今後もケーススタディを扱う記事を何本か用意したいと思います。
ではまた次回お会いしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。