【短編小説】朝日。
私は、朝、活発なタイプで、なんでも朝済ましてしまって、昼と夜は正直、流される。
流されるっていうのは、何にでも流される。
偶然かも知れない、運命かも知れない。
私は流されることを厭に思ったことはない。
だってそれが運命なのだから。
昨日の昼、流された。
あ、また私は流されていると気づいた頃には流されていて、私の身体は誰かの体と一緒になっている。
あ、また流されているけれども、なんだか心地よい。
濁流に流されてしまって苦しいことがあるけれども、昨日は緩やかな、ほんの少し生ぬるい川。
私は朝日が好き。
朝日だけは裏切らない。
いっつも同じ時間に現れて、おはようって挨拶してくれる。
私には人間の友達はいないけれども、人間以外ならたくさんいる。
朝日もそのうちの一つだ。
こんなことを言うと他人はいつも変な顔をする。
「お前、頭おかしいな」
そんなことを言われるのは慣れっこだ。
あなたの意見ですよね?
そういうセリフを言うヒーローがいたことを思い出す。
私だってヒーローになりたい。
そう、今日の朝日みたいな。
完。
よろぴく!