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【短編小説】ものにこころ。


僕は物が嫌いだ。
物には依存性があって、物に操られている気がしてならない。

例えばスマホ、例えば電車、例えば時計。

必要なのはわかっているけれども、僕は嫌いだ。

僕は所謂ミニマリストだ。

物に依存せずに生きることができれば、精神的にも経済的にもコストパフォーマンスが最高だ。

物に投資せず、概念的なものに投資する。

例えば音楽、例えば空気、例えば時間

その考えが世界に広まれば、エコで優しい世界になると信じてる。

私は、所謂依存性というものらしい。

なんだか、イメージが悪いけれども、私は物を愛しているから、どんな言われ様をされても、私の愛は変わらない。

捨てなければいい。

整理整頓すればいい。

大切に、大切に、物にこころがあると思って大切にしている。

僕はミニマリストとして、その価値観を広めたい。

だから、イベントを開催して、多くの人に伝えたい。
この生き方で僕の生活は一変したことだったり、人間関係もちゃんと精査して、ミニマリズムを突き通した。

この価値観で僕は幸せだ。

私のお仕事は、いろいろなイベントをお手伝いすること。

特にものを作っている人のイベントは大好きで、お仕事としてお手伝いをしているのに、私にとっては、お仕事というよりかは、もう、人生の一部になっている。

次のイベントはミニマリストって人のイベントらしい。

どんな人かしら。

初めまして、ミニマリストの納戸です。

あ、はじまして、藍川です。
ミニマリストって何ですか?

ものに執着せず、ものに支配されない生き方です。
他にも色々と考えはあるのですが、端的にそんな生き方のことです。

え、じゃあ、私って真逆ですね、、、

え、じゃあ、もしかして、ミニマリストになるために、ものをたくさん捨てたんですか?

ええ、もちろんたくさん捨てましたよ。

どんなものを捨てましたか?

ええっと、本とか、CDとか、フィギアとか、テレビとか、机とか、洋服とか、色々。

え、その捨てたものに愛着はなかったんですか?

いやいや、そういった愛着って、執着とも言えて、ミニマリストにとっては邪魔な存在なんですよ。

なんだか、可哀想に思わないですか?

いや、全く思わないですね、だって、ただのモノですから、生きてませんし。

え?もしかして、あなたって、ものに心があるとでも思っちゃってます?

モノにこころがある訳じゃなくて、作った人がいるじゃないですか

わかりませんか?

それを蔑ろにする人間は苦手です。

仕事だから、仕方なくお手伝いはしますが、ココロのない人ですね。

ミニマリストだかなんだか知りませんが、そんな括りは必要ないと思いますが、ミニマリストになりたくないです

分かり合えませんか、作った人ですか、そんなことまで考えているなんて、大変じゃあありませんか?

そういった大変に思う気持ちを消し去った時に、僕は変われたって思えたんですけど、間違ってますか?

いいえ、正しいとか、間違っているだとか、そんなのはどうでもいいんです。

私は、ものを嫌うなら、街のど真ん中で、裸におなりなさい。と思うのですが、あなたにはできますか?
ミニマリストですよね?

さあ、やってごらんなさい。

あなたの反物質主義を証明してみてごらん。

どう?あなたにはできる?
生きているということは、裸で生きるってことではないの?

僕はそんな極端なことを言っているわけでないのですよ。
わかってくださいよ。

ごめんなさい。
ミニマリストだなんて名乗ってしまって。

今回の講演はキャンセルさせてください。
僕はそんなつもりでミニマリストになったつもりはありませんが、そういうふうに思われても構いません。


続く。

よろぴく!