まちなみ

ワンルームでの記録

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誰かから聞いた言葉

どこかに行きたいとどこにも行けないを行き来してるうちに減ってく命 みんなそれぞれ柔らかい部分を持っていて、ふとした瞬間にそれを私に見せるからちゃんと憎むことができない せめて憎ませてくれと思うけれど、全部が自分に向いていた方が感情も理解も処理がしやすいのは自明だ インターネットにはたまに本当なんじゃないかって言葉が書いてある 『「ここではないどこか」「今ではないいつか」「自分ではない誰か」を考えてしまう。その究極的な解答が「神」で、ここに信仰の問題が芽生える。』 この

    • 起点と終点にまつわる

      花粉でぐちゃぐちゃでも、おわりや始まりが苦手でも、どうしようもなく春が好きだから、寒いなと思いながら着こんだ春用のコートに温い日差しを浴びながら大丈夫、大丈夫と何度も唱える。 いつかの自動販売機から転がりでてきたのは私がぶつけた好意への返答で、自分が選んでいるにも関わらず求めたものがでてくることに安心していた。 ここはホーム 春は私のことが好きなのだろうか? (私はもう随分春を起点にに生活をしているというのに) 「私もいつか、風呂とトイレが別の部屋に住みたいな」 ホ

      • 曖昧

        春みたいな日差しの終わらない夏休み 秋休みってわたしの頃はなかったな 冬休みの記憶はいつも曖昧 金木犀のにおいがするのはどの季節だったかいつも答えることができない

        • 羨望

          あの人生もこの人生もいいなぁいいなぁと思っているうちに人生が閉じてしまえば全てが憧れのままで保存されるはずだ 仮定を事実にするために必要なのは一心に信じること、信じる強さだけがこの世に平等に与えられた権利でしょう 同じ電車に乗っている数百のすべての人生に憧れている、今朝は何時に起きて、何を食べてどんな気持ちで服を着替えたのですか 人の全てが理解できないことに気づいてから、私の将来の夢は神様になりました 冷蔵庫にいれた食べ物は永遠に腐らないと信じる 誕生日だからと母が

          2020.1.22

          生活が詩だったら最高だなといつも思っていた。 タイムラインに流れてくる知らない女の子の自撮りも友達とお揃いのポーチもオールでカラオケしたあとの帰り道も少しだけ中身が残ったままで置き去りのリプトンのミルクティーも思えば全部詩だった。 なんともなかった日々が振り返ったときに詩になる。 それは、生活の中にある本当に一瞬のきらめきで、出来たらなにもかも覚えておいて、形のよい缶にでもしまっておきたい、すぐに取り出せる位置においておきたいけれども、私はどうしても忘れてしまうから、書

          砂の城

          画面のひびが指に当たって、ざりざりと、触れたところが、小さく欠けて気づけば手の中にあるものは小さな石になった。 石をなぞれば、固さに親指は耐えかねて、割れたところから砂がこぼれた。 繰り返す日々が石を磨く。 指からは砂がこぼれる。 こぼれた砂で作った砂場に誰か呼べたらよかったのだろうか。一緒に遊ぼうと声をかけることを思い付きもしなかった。 気づけば部屋は夕暮れの公園を模した、私しかいない。 石は失くしてしまったというのに、指からはまだ砂がこぼれている。 ブランコは

          ユニットバスの詩

          赤色の水栓の寂しい音を合図に、シャワーノズルの温水は止まる。 水浸しの床に浮かぶ月はへらへらと揺れていました。 繰り返す日々の隙間に容赦なく月は割り込んで私を照らした。 現在地が割れたら、到達地点までの距離に気づかなくてはいけない。私を現在地としたときに月までの距離をジョルダンで測る。 どこまでも追ってきてくれ、その距離を保ったままで。 湿った硝子に写るものだけが本物だと教えられることもなく気づくことができた子供だけが、到達地点に行ける。

          ユニットバスの詩

          生活

          どうか明日が来ませんように そう祈ってから眠る日々の断片に染みる生活のにおい 明日が来ませんようにと祈った私が買ったティッシュペーパーや洗剤の類い 矛盾していると思う そんなことをしているから、私の祈りは神様には届かず、明日がまた来る 新品のティッシュのふたを開ける