見出し画像

ON THE ROAD 2021 第3試合

ON THE ROAD 2021 第1試合
ON THE ROAD 2021 第2試合

自主興行やプロデュース興行で全対戦カードを考える時、私の場合は自分のマッチメイクが一番悩みます。

ですが、自分以外のマッチメイクとなるとどんどんアイデアが浮かびます。
今回紹介するカードは、この大会を開催することが決定した時、真っ先に頭に浮かびました。


▼第3試合
シングルマッチ20分一本勝負
矢野啓太 vs 阿部史典


9/4TTT新木場大会で全対戦カードを発表させてもらったんですが、やはりこのカードを発表した時はどよめきが起こりましたね。



バトラーツに憧れたものの、デビュー前にバトラーツは解散。自分なりの"バチバチ"を探し続ける男。

バトラーツでデビューしたが、バトラーツに認められなかった男。



その2人の初シングル。
そりゃめちゃくちゃ見たいですよね。

ただ、たまたま共通項がバトラーツと言うだけで、私的にはあまり関係なくて。


6年くらい前に名古屋のスポルティーバアリーナで佐野さんの興行がありましてね。

その日のメインが勇者アモンvsMITSUMOTOのシングルマッチという、悪ふざけの極みみたいな興行だったんですけど。

当時スポルの練習生だった阿部が雑用で会場に来てたらしくて。

いろいろ思い悩んで「もう辞めよう」と腹を括っていた頃に、このどうしようもない大会を見て「プロレスって素晴らしい!」と思い直したらしいです。頭おかしいですね。

この時は練習生だったので全然偉そうじゃなかったです。

その後、デビューした阿部とガッツワールドで出会ってタッグを組み、GWC認定タッグ王者になりました。
阿部はプロレス人生初のタイトル。自分も東京で初めて手にしたタイトルだったので心底嬉しかったのを覚えてます。


けど、あいつはタイトルマッチ以外では一度もベルトを手に入場することはなく、いつだったか新幹線の中で読んだに阿部が取り上げられてたんですが、そのプロフィールの獲得タイトル歴に"GWC認定タッグ"が無かったのは悲しかったですね。

まぁでもその時はまだ偉そうではありませんでした。


阿部に対する見方が少し変わった瞬間を覚えてます。

ガッツワールドが解散して阿部とあまり組む機会がなくなり、自分は大阪で三原一晃選手と組んでダブプロレスのタッグ王者に。

しかし、その直後に三原さんが膝の負傷で長期欠場。タイトルも返上となり、決定していた"brother"YASSHI&ティーダヒート(現TiiiDA)組との防衛戦も白紙に。

そこでダブプロレス側から「年末の広島大会で王者決定戦を行うので誰かパートナーを指名してくれ」と言われたので私は迷わず阿部を指名。
久しぶりのタッグで王者決定戦に臨むことになりました。

当日朝。
広島駅で阿部と待ち合わせ。

すると、突然荷物をパンパンに詰め込んだリュックの肩紐が千切れました。

「最悪や…。」

そこへ阿部が登場して私を発見するなり一言。

「TORUさん、最悪です…。」

前日、酔っ払ってクソ高いBluetoothイヤホンを便所に流してしまったとのこと。

2人肩を落として広島駅近くのイオンモールへ向かい、リュックとBluetoothイヤホンを購入。

広島まで来て戦う前からギャラの倍額を失った2人。
そんな精神状態で試合に勝てるはずもなく。

ただ、その試合に臨む前に阿部が私に出したとあるアイデアが妙に印象に残っています。

本人は覚えてないでしょうが。

それを聞いた時に阿部に対する印象がガラッと変わりました。そんな考え持ってるんや的な。

いい選手やとはもちろん思ってたけど、「凄いやつやな」と思いましたね。

いつしか同じ大会に出る時の阿部の試合は必ずチェックするようになりました。

こいつなにしよんねやろな…っていうワクワク感がありますよね。

今年1月には私の復帰戦の相手も務めてもらった。

その後の活躍は皆さんも知る通り。
あの時思った通り"凄いやつ"になりました。


そして遂に阿部は偉そうになってしまわれました。


ある日の控室で「お前はいつからそんな偉そうになったんや」と聞いたら…


「ほんとですよね!!!(満面の笑み)」



と返ってきました。



自覚あるんかよ。


冗談です。

出てくれてありがとう!



対するは矢野啓太。

時期は違えど、お互いデビュー前に同じ格闘技道場に通っていました。

『石倉道場』というとこなんですけどね。

その共通点もあり、デビュー直後から今に至るまでずっと良くしていただいています。

大阪から東京に試合に来て、仲間もおらず会場の隅っこで肩身狭そうに佇んでいる私を「練習しよう!」と誘ってくれ、チェーンレスリングの技術をいくつも教えてくれました。

その技術は10年ほど経った今でも大切に使っています。

矢野さんが尖りまくっていた時も、僕への優しさは何ひとつ変わることはなかったです。


2014年2月23日。
当時、私が所属していた道頓堀プロレスが初の東京大会を新木場1stRINGで行いました。

超満員の観衆を集めて大成功に終わった大会終了後、私は翌日も東京で新宿二丁目プロレスへ参戦するため、宿泊する御徒町のホテルに向かおうとしておりました。
そこに一通のメールが。

「東京大会お疲れ様。高田馬場でしゃぶしゃぶ食べてるけどよかったら来ない?ティグレ・バキさんも一緒です。ご馳走するよ☆」


矢野さんからでした。

試合直後で疲れてたし、今いる場所から1時間かかるし、ティグレ・バキさんって誰?って感じで断ろうかな〜と一瞬考えたんですが、それよりも久しぶりに矢野さんから連絡いただいたことが嬉しかったので、気付けば高田馬場へ向かっていました。

指定されたしゃぶしゃぶ店に向かうと、店頭の看板に『食べ放題 90分』の文字が。この時点でメールを受信してから1時間以上経過していました。

「待ってたよ⭐︎」

そう言って出迎えてくれたのは眉なし金髪オールバックの矢野さん。そして多分ティグレ・バキさんの中身の普通のおじさん。

テーブルの上にはアクだらけの出汁に、千切れたうどんが浮いた鍋。その横には空いた皿が山のように積み上げられていました。


「ごめん!食べ終わっちゃったよぉ〜。」


でしょうね。

まぁでも私的にはしゃぶしゃぶはどうでもよかったんです。矢野さんと久しぶりにお話しができれば。
とか思っていたら…。


「もうそろそろ出なきゃなんだよね。」


そりゃ90分コースやからもう出なあかんか。
しかも場所移してお茶する気配とかもないし。

なんの為にこの人は私を呼んだんだろう。
「最近の矢野啓太はおかしい」と風の噂で聞いてはいたがここまでだったとは…。


すると店内が突然暗闇に。



「おめでとうございまぁ〜す!!!!!」



パチパチと暗闇に灯を照らす花火。

女性店員さんが大きなお皿でお祝いのケーキを運んできてくれました。


「そういうことすか…。」


全てを悟った私は一気に恥ずかしくなりました。



2日後の2月25日は私の誕生日。


まさか矢野さんからのサプライズやったとは。
矢野さんがおかしくなったとか失礼なこと思ってすみません。

やはり矢野さんは昔から変わらず優しさの塊でした。

赤面する私の前にお皿が置かれます。
こういうのに慣れてないからどうしていいのかわからない。

とりあえず記念にケーキの写真を撮っておこうかな。

そう思って携帯カメラを構えた先のお皿にはチョコレートのデコレーションでこう書かれていました。




『2014.2.25   矢野啓太さん プロレスデビュー7周年おめでとうございます』



2月25日は矢野さんのデビュー記念日でもありました。

私は構えていた携帯をそっとポケットにしまいました。

聞くと矢野さんが店にお願いしたそうです。

普通自分でせぇへんやろと思いながら、滞在時間わずか3〜40分程で矢野さんと別れ、高田馬場を後にしました。

あの夜は一体なんだったのか、今も矢野さんと話すと度々この話題になるんですが、未だに納得できる答えが返ってきたことはありません。

あの事件以降、毎年2月25日にはおめでとうLINEを送り合っています。


他にも『ワラビー鹿鳴館大会主催者矢野啓太が来ない事件』や『矢野啓太私の代わりに突然の電流爆破事件』などなど語りたい話は山ほどありますけど、それはまたの機会に。

出会って15年ぐらい。

矢野さんが輝いてる時も苦しんでる時も、私は見てきました。

矢野さんが輝いてる時も苦しんでる時も、私に優しくしてくれました。


矢野さんには沢山感謝してますし、いま矢野さんが輝いてるのが私もすごく嬉しいです。

矢野さんもまた、阿部とは違うタイプのこいつなにしよんねやろな…というワクワク感を持ってますよね。

この2人の初シングルが私のプロデュース興行で行われる。

心の底から2人に感謝です。

絶対見てくれ!!!


2021年10月16日(土)
TTTプロレスリング
『ON THE ROAD 2021~TORUプロデュース興行~』
会場:東京・王子BASEMENT MONSTER
開場:12時30分
開始:13時00分

・チケット(当日500円増)
スーパーシート…6,000円
指定席…5,000円
※別途ドリンク代500円


・全対戦カード

▼メインイベント
TORUデビュー13周年記念試合
シングルマッチ30分一本勝負
TORU vs TiiiDA

▼第3試合
シングルマッチ20分一本勝負
矢野啓太 vs 阿部史典

▼第2試合
ストリートファイトマッチ20分一本勝負
ガッツ石島 vs 佐野直

▼第1試合
タッグマッチ20分一本勝負
マスクドミステリー&瀧澤晃頼vsドングリー藤江&後藤哲也


・ご協賛

10,000円…当日ツイキャス配信無料ご招待、TORUvsTiiiDA対戦カードポートレート(両選手サイン入り)、全選手集合写真

20,000円…当日ツイキャス配信無料ご招待、TORUvsTiiiDA対戦カードポートレート&パネル(両選手サイン入り、パネルは会場販売なし)、全選手集合写真、大会DVD


チケットは私、もしくは参戦選手まで。
協賛のお問い合わせは私、もしくはこちらまで。

よろしくお願い致します。

いいなと思ったら応援しよう!