信越五岳でペーサーした話【レース編】
2024年9月に開催された信越五岳トレイルランニングレース2024に110kmの部のペーサーとして参加してきました!
レース内容以外の会場へのアクセス方法や当日の過ごし方などは別記事にまとめています。
今更の公開ですがなんとか2024年中になんとか出せてよかった・・・
※レース中土砂降りなのもあり、写真ほとんど無しです。わかりづらいかもしれないですがご了承ください。
どうしてペーサーに??
今年はボランティアで参加するつもりだった。
私が初めて挑戦した、完走した100mileレースであるMt.FUJI100が数週間後に迫っている2024年4月の初旬。
こちらも国内人気レースである信越五岳トレイルランニングレース(以下信越五岳)のエントリーが始まりました。
まだMt.FUJI100が完走できるかもわからない状態。
今、信越五岳にエントリーするのは110km/100mileどちらの部門だとしても無謀だとわかっていましたので今年はボランティアで参加し、優先エントリー権を得て2025年の信越五岳に参加することを考えました。
信越五岳の選手のエントリーは先着順であり、クリック合戦であることは有名。
ボランティアについては応募多数の場合、早期締め切りおよび抽選となっていたのでまぁその日のうちにに応募すればいいだろ。と、甘々な考えでエントリー開始時にはのんきに会社の同僚と二郎系ラーメンを食べていたらまさかのエントリー締切。
優先エントリー権が貰えるとはいってもボラまでクリック合戦とは恐るべし信越五岳・・・・
まさかのお誘い
instagramのストーリーズにボラエントリーできなかった旨を投稿すると
友達のずーみんからDMがありペーサーを打診されました。
ずーみんは自分より走力があるし、なにより彼の周りに私なんかより速い仲間がたくさんいる。
そんな自分と一緒に走ったことも一度しかなかった彼が自分なんかにペーサーを頼んでくれたのか正直理解が出来来ませんでした。
(終わった今でもなんでなのって思い続けてる。)
その時は自信もないし、他にふさわしい人がいるだろうと回答を保留。
しかし数日後にこんな光栄なことはないと思い、
もしほかにやる人がいなくて本当に自分でよければとペーサーを承諾!
そんなこんなでまさかのペーサーでの参加となりました。
ペーサーを引き受け、Mt.Fujiの前泊中にエントリー。
その後なんとかMt.FUJI100も完走できました。
これでMt.FUJI100完走できなかったらずーみんに「ペーサー頼まなきゃよかったと~」と思われるかもとドキドキしていました。
ペーサーをするために
110kmのペーサーが走る笹ヶ峰エイドからハイランドホール飯縄までのコースプロファイルはおよそ50km 2000D±
自分のレースで完走目標であれば特に気負わないですが、今回は自分のためではなく人のためにペーサーとして走る。
しかもずーみんの実力は自分より上なのでついていけるのか非常に心配だったのでペーサー業務を遂行するために信越対策と位置付けて次のような練習をしました。
6月:”ROCKIN BEAR”妙高トレイルランニングレース
一部コースが信越のペーサー区間と被っている&コースプロファイルが似ていることから、本番の雰囲気が掴めるかなと思い、試走の意味も兼ねて参加。
レースとしては暑すぎて序盤からボロボロ。補給を大好きなANDO_だけに絞っていたのですが、暑すぎて甘さを受け付けなくなってしまい補給もままならない状態に。何とか完走はしましたが悲惨な結果となり、かなり自信がへし折られました。このままで大丈夫なのか・・・
7月その1:高松山グルグルクラブ+鍋割山&塔ノ岳
自分をペーサーに指名してくれたずーみんとは住んでる場所も遠く、普段は一緒に走る機会がないので予定を合わせて7月に彼が参加しているグルラン「高松山グルグルクラブ」に参加、グルラン終了後に丹沢エリアでも一緒に練習しました。
まず午前中の高松山グルグルクラブでボコボコにされます。強者揃いだとはもちろんわかっていましたが、ものの見事に洗礼を浴び、吐く寸前まで追い込まれました。。
そのあと丹沢に行きましたが、朝のグルランの疲労とまたまた猛烈な暑さでずーみんにペースを落としてもらって何とかついていけている状況。
最終的には完全に熱中症になってしまい動けなくなってしまったのですが
なんとか途中の山小屋でペプシを手に入れて復活。
ペーサー業務への不安がどんどん大きくなります。
(ほんとに不安だったのはずーみんのほうだと思いますが・・・)
7月その2:大会コース試走
100mileに参加する知人と一緒に試走に行き黒姫から大橋林道までのコースを走りました。黒姫から笹ヶ峰に関して110kmのペーサーは本番では走らないのですがこの区間が私にとってとてもきつく、本番で走らないで済むことを本当に良かったと心から思いました。
このときも土砂降りだったのでまさかの結果的には本番と同じような条件で走れたことになります(路面は本番ほどひどくはなかったですが・・・)
最後の最後で大橋林道の下りで滑ってこけてしまい両足が攣って試走は強制終了しました。本番への不安がここでも増します。
大会当日
そんなこんなで不安たっぷりで大会当日に。
スタートを見送り、ペーサー送迎バスにゆられながら待機場所へと向かいました。
笹ヶ峰待機(59km)
合流する笹ヶ峰エイドのひとつ前、黒姫エイドに予定の時間を過ぎてもずーみんが到着しない。
トレイルサーチを何度も更新しながら一つ前の黒姫エイド到着を確認。
その後笹ヶ峰前にある吊り橋で連絡をもらうことになりましたがなかなか連絡が来ません。
心配になりながらエイドをウロチョロしていると目の前に突然ずーみんが!
驚きながらも、しんどすぎて吊り橋前の連絡忘れてたかな?と思い特に言及せず、エイドで休んでもらう。
(後ほどわかったことですが電波の影響で送信がうまくできてなかったみたいです)
黒姫までのところで調子悪くなってしまいペースダウンしたとのことですがエイドでは食欲もありそうで少し安心するも、「大丈夫」と言っているのがやせ我慢にも見えたのが本音です。
ここから自分のペーサーとしての仕事が始まりました。
笹ヶ峰-西登山道入り口(71km)
土砂降りだったのでエイドでレインを着用してしてスタート。
スタート直後雨が少し弱まったタイミングで一瞬脱ぎましたがずーみんに着とけと言われてすぐに着なおしていますw着ていて正解でした。
基本的にはペーサーである自分が先導する形で進みます。
エイドで本人は大丈夫とは言っていたが、やはり疲労は溜まっているようでわずかな傾斜でも走るのは辛そう。
この区間は試走していた場所でもあったので先のトレイルの状況とか自分が知っている情報を少しでも伝えることを意識しました。
一向に止む気配のない雨の中西登山道のウォーターエイドに到着。
雨に濡れてずーみんはとても寒そうだった。テントに入ってもらいお湯を飲んでもらう。日は暮れかけていたが、大橋林道までは大丈夫だろうとここではヘッドライトはつけずに先に進みました。
西登山道-大橋林道(77km)
ウォーターエイドからは距離は短いがガツンとした登りがあり、選手にとってはかなりきつい区間だと思う。ここも試走で走ったことがある場所だったので個人的には気が楽でした。ペーサーは精神的にも余裕があったほうがいいと思うので選手以上にペーサーは試走が必要かもしれない。
雨は止む気配なし。先導する形は変えずになるべく引っ張ることを意識しました。
なかなかずーみんにかける言葉のボキャブラリーがなく、ひたすら「ナイスラン」と声をかけていたと思う。
「頑張れ」はなるべく言わないように意識はしていました。
大橋林道のエイドまでライトはつけないつもりでしたが、
雨の影響でトレイルは川のようになっていてかなり滑りやすい状況。
大橋林道エイドまでは下り基調であるため比較的スピードもでているためこのままライト無で進むのは危険だと思うものの、選手の足を止めることはしたくなかったので私が走りながらザックのライトを取り出してずーみんに手渡し、それぞれ装着しました。
あたりはすっかり暗くなっていたが無事大橋林道エイドに到着。ずーみんは雨に濡れて相当冷えていたようで長袖のベースレイヤーに着替えていた。
大橋林道エイドで一度一緒に走らせてもらったことがある女性選手が既にエイドの椅子に座ってストーブにあたり、相当辛そうな顔をしていました。
話を聞くとこの場所でやめると言っており、こんなに強い人でもやめてしまうトレランの恐ろしさを目の当たりにし、一層気が引き締まりました。
大橋林道-戸隠スキー場(90km)
このタイミングでも完走に問題はなかったが、目標タイムからは遅れが出ている状況でした。
本人のモチベーションが下がってしまうかもとは思ったが、現状の状態を共有し、少しでも早く前に進むためにゴール時間の予想を伝えます。
この区間は高低図からも派手なのぼりはないことはわかっていました。
しかし大雨の影響でトレイルはますますズルズルに。
特に牧場横のトレイルは狭いうえに有刺鉄線の横を通るのでさながら電流デスマッチでした。
戸隠エイドにいくまで最後は普段ならなんともないようなロード混じりの緩やかなのぼり。
ずーみんに調子がどうか聞くも走れないとの返答。相当辛そうで返事の声も弱々しくなっていきました。
後に本人にも伝えたが、このとき私は戸隠エイドでリタイアを伝えられるかもしれないと思っています。
もしリタイアを言われたらどう言って気合を入れなおさせよう。
この天候の中で無理やり先に進むにもリスクがあるしどこまで説得しようか。
そんなことを考えながら少しでもプッシュしようと心を鬼にしてついてこれるギリギリのペースを意識してここでも先導。
歩きを挟みながらも無事戸隠エイドに到着しました。
ひとまずここに来れたことに一安心。残すはラスボス瑪瑙山。
想定外のFINISH
ずーみんは寒さは堪えているようだが食欲もあり、戸隠につけた安心感もあったのか、元気を取り戻しているのを感じました。
リタイアを宣言されたらどうしようかと考えていたがそんな必要はなかったようでした。
そんな中ずーみんのLINEに大雨の影響で戸隠で完走扱いとする。との情報が入ります。
このとき僕ら2人は戸隠でやめても完走扱いだけど行ける人は先に行っていいという意味だと思っていたので、
「ここまで来たんだからここで終わらないよ。」「最後まで行くでしょ」とお互いの意思を確認していたし、むしろ気合を入れ直していました。
タイム的にも完走は間違いなかったです。
ラストスパートに備えてフラスクの準備などをしていたがどうもエイドにいる選手達やボランティアの方々の様子がおかしい。
ボランティアの方に確認したところ自分たちの認識は間違いで戸隠より先には進めないことを知りました。
ここで信越五岳が終了。
ここまで規定の時間内に到着できた選手たちのラスボスの瑪瑙山を越えてフィニッシュテープを切ることができなかった気持ちはペーサーとして少しだけお供しただけの自分の気持ちとは比べるまでもなく複雑だったろうと思います。
あれ・・?
悔しい結果でレースが終わってしまい、あとはバスで帰るだけでしたが、
戸隠エイドに入るときから気になっていたことがありました。
それは戸隠エイドに入る際の分岐誘導が選手側に背を向けてコースのほうを見ておらず、ここまでの大会のホスピタリティが素晴らしかった反動もあり「ちゃんと誘導しろよ」と思ったこと。
そしてタイム計測のマットもどこにあるかわからず、ここって計測ないんだっけ?と思ったことの2つです。
レースが唐突に終わってしまい放心状態でしたが、ふと僕らが戸隠エイドに入ってきた場所とは別の位置からに戸隠エイドに選手が入ってきているのに気が付きます。
おや?おかしいぞと思いボランティアさんをつかまえて話を聞くと私たちはエイドの入り口を間違えていたことが発覚。
ちゃんと計測が出来ていないのでこのままだと完走扱いにもならなくなってしまう。
どこでロストしたのか全く分からなったのでボランティアの方に案内してもらったのですがエイドまで残り100メートル足らずのところで道を間違えていました。
自分がちゃんと分岐誘導をしろと思っていた人は分岐誘導ではなく駐車場の案内係だと判明。コース上でもないしそりゃ選手のほう見ませんわ。
その後正規の入り口からエイドに入り無事計測。
そのタイミングでレースプロデューサーの石川さんからの大会終了の説明を改めて受けて本当にこの大会が終わりました。
ペーサーとして先導していたのは完全に自分だったのでまさかの場所でロストしてしまったこと、それによってフィニッシュタイムが約30分くらい伸びてしまったことがとても申し訳なかったです。
気づけたからよかったものの、もしレースが進んでいたら失格の可能性もあったと思うとぞっとします。疑問に思ったタイミングで確認すべきでした。最後の最後で一番の反省点です。
ペーサーやってみて
トレイルランニングに出会い、最初にペーサーという制度を知った時、どうして自分のために走らないのにエントリー費まで出して走るんだろうと正直思っていました。
しかしトレイルランニングという競技、文化に浸かっていくうちに不思議なもので、どんどんペーサーがやりたくなっていき、今回タイミングよく素晴らしい経験をさせて頂いて本当に良かったです。
初めてのペーサーで自分が役に立ったのかわかりません。
一番意識したことはペーサーが辛い姿を見せないこと。
なるべく明るくはいようと思っていましたがずーみんからはずっとテンションが高い言われました。元気すぎてウザかったかな笑
今回ペーサーの経験を活かして信越はもちろん他の大会でもペーサーやりたいなという気持ちが強まりました。
ペーサーを頼んでもらうためにもまずは自分の走力が無いとなのでこれからも精進します。
改めてずーみん、ペーサーに選んでくれてありがとう!