ダブルマスターズ2022いしかじ杯in千葉を終えて
7/9(土)に千葉某所にて「ダブルマスターズ2022いしかじ杯in千葉」という草の根大会を主催、開催させていただきました。
今回イベントを開くにあたりどんな経緯があったかここに記録したいと思います。
普段文章を書かない為、読みづらい記事になってしまったら申し訳ないです。
また思い出しながら書いている為、時系列などに矛盾があるかもしれませんがご了承ください。
これからイベントを開きたいと思っている方の何かしら助けになれば嬉しいです。
遡ること2ヶ月前
マジックの通販事業を営む自分の元に「ダブルマスターズ2022」の発注案内が届いていた。
5月中旬の話である。この記事を書いている7月でこそ飛ぶように売れている今商品であるが、ろくに中身も公開されていない中で1パック1400円、コレクターブースターに関しては7500円、これらの商品についてある程度発注数を決めないといけないのである。正気の沙汰ではない。
しかしこの「マスターズシリーズ」という商品に関してWotC公式はとにかく力を入れており、一般消費者の夏のボーナス全てを奪い去りに来るのは確実なのである。ヴェリアナや神ジェイスの奥義の方がまだ手心があると言うものだろう。
つまりこのセットは「わかんないけどとりあえず発注しとけ」なセットなのである。なんだそりゃ。
補足なのだが筆者は定期的にマジックのイベントを開催している。平均参加人数は10〜20人未満でカジュアル色の強いイベントだ。
このダブルマスターズ2022でもリミテッドのイベントを予定していた。人気セットなので普段より多くの人が集まってくれる予想はあった。何よりリミテッド好きな自分としては楽しみで仕方がなかったのだ。
せっかくだし普段よりは大きなイベントにしたい!と思ったので早速奥さんに相談。(筆者は何かあるとすぐ奥さんに相談する癖がある)
すると「ゲストとか呼んでみたら?」と。
ふむゲストか。それはいいかも。目玉エキスパンションだしYouTuberとかなら動画のネタにもなってWin-Winかもしれん。
しかしYouTuberの知り合いなんておらんぞ。
YouTube初めたての登録者23人の友人ならいるが。
ふと、以前に数通だけDMのやり取りをしたことのあるYouTuberのともにゃんさんを思い出したので連絡してみることにした。
当たり前だがダメ元もダメ元である。開催場所である千葉はともにゃんさんの活動拠点である首都圏(多分)から電車で2時間ほどの距離があるし、そもそも参加人数も不明なのに来るメリットがあるのか怪しい。もし自分が呼ばれた立場であれば、断る上手い言い訳を必死で考えるだろう。
だがなんと、「もちろんどこでも行きますよ!良いイベントにしましょう!」と二つ返事でOK。YouTubeで見ていた天真爛漫で明るいともにゃんは本物だったのだ。演技じゃなかった。天使だった。一生推します。
そんなこんなでイベント詳細より先にゲストが決まるという奇異な状況でダブマスいしかじ杯は進み出すのだった。
ともにゃんさんが来るとなれば根本的なイベントの規模を再検討しなくてはいけない。
いつもの公共施設の小部屋に美女を放り込み、野郎どもが駄弁りながら卓を囲んでリミテッド、なんて事は当然許されない。ゲストを呼んだ以上はその宣伝に敵うだけの規模にしなくてはいけないのである。
大人数が収容可能な施設に関しては大体の目星を付けてあったので探すのには困らなかったが、とにかく料金が高い。え、いつものコミュニティセンターの20倍くらいするんだけど?やっぱやめていいすか?
さすがに諦めるのが早すぎたので採算の取れる参加費を考えてみることにした。そもそもダブルマスターズ2022のリミテッドと当たり前のように口にするが、1パック1500円のパックでシールドをやろうと思ったらそれだけで9000円かかるわけで。通常セットの2500円ですら安くはないと言うのにこれは最早悪い冗談である。
お祭りセットと言うがお祭りのかき氷やベビーカステラに9000円も使う人間を筆者は見たことがない。いい加減目を覚ませ。
その上クソ高い施設費を参加費に上乗せするというのだからもう意味がわからない。電卓を叩くのは嫌いではないが赤字の計算をするのは誰より嫌いである。
当然だが経費はこれだけではない。賞品代、人件費、必要雑費など見える経費と見えない経費がのしかかる。
これは主催のわがままだが、優勝者はダブルマスターズ2022のコレクターブースター2BOX、これだけは譲れなかった。イベントの賞品としてインパクトもあるし、何より賞品をダブルにしたかったのだ。この分は正直赤字でも構わないとすら思っていた。
それでもどうにかこうにか採算の取れそうな参加費を叩き出した。13000円である。
当然、これでも20人しか来なければ大赤字だし果たしてこの金額で本当に人が集まるのか甚だ疑問だった。
ゲストの影響力、宣伝力にはもちろん期待していたが、やはりこの参加費では厳しいのではないかという気持ちがあった。
イベントにさらに付加価値を付ける方法はないだろうか。とにかく考える。
そんな中で開かれた5月の定期開催イベント「いしかじ杯」。カジュアルモダンイベントである。
顔を見知った常連さんの中に「MTG専門店うるざや」さんの店主が参加者として来てくれたのだ。
業態はほぼ筆者と同じ。違うのはマジックの実力。
うるざやさんは数々のイベントでタイトルを獲るほどの手練れであり、事実その時のイベントでも見事優勝。
え?俺の上位互換なの??
そんなうるざやのさかいさんに話を持ちかけてみた。
「イベントに出店しませんか?」と。
イベント参加者が本戦とは別に、買い物を楽しめたらそれは付加価値になるのではないかと考えたのだ。
うるざやさんの答えはその場では保留だったが、快くOKしてもらえた。移動にはかなりの時間がかかるはずだが本当にありがたい。存分に儲けてほしいと思った。
また少し交流のあったボードゲーム・カードゲームカフェ「カラハンタ」さんにも参加してもらえる事になった。後述するがこのカラハンタさんの協力がイベントの多大な助けとなる。
この時点で肉付けばかりが先行し骨組みができてないイベントになってしまっていた。具体的なタイムスケジュールや人員配置などを大急ぎで詰める中、カラハンタさんから連絡が入った。
「ミスティカルアーカイブ日本画"汚れた契約"の複製原画の展示と、アーティストプルーフオークションを実施させていただけないでしょうか?」
ン?ソレハナンデスカネ?
お恥ずかしいのだが筆者は原画やAPにこれまであまり関心がなく、これを言われてもイマイチピンと来なかった。
しかし当然断る理由もないので二つ返事でOKした。その後自分で調べたところ、めちゃくちゃ貴重な品ということがわかり自身の見識の無さを反省。カラハンタさんて何者?てかほんとによくうちのイベントを選んでくれたよ…。
さらにはカラハンタさんの売り子としてあの人気トークンイラストレーターのvoxさんまで来てくれるというのだ。トークンカワイイ
先述した付加価値に関しては申し分ないレベルに達していた。カラハンタさんはもちろんだが、たった一人でシングルカードやオリパ等を準備していたうるざやさんの負担は相当なものだったと思う。ホントアリガトウゴザイマシタ
ここまでやってもらって自分が失速するわけにはいかない。誇示することでもないが筆者のTwitterアカウントはそれなりのフォロワー数だ。参加者を集めるのは主に自分の仕事だと思った。やるしかない。タスケテ。
日時、場所、参加費、ゲスト、出店ブース
これだけの事を決めても決めてもまだまだイベントは出来上がらない。
やってみるとわかるのだが、イベント運営というのは細かい意思決定の連続である。
とにかく決める事が山ほどあり決めても決めても未定事項が出てくるのだ。
これはどうする?あれはどうする?の毎日。筆者のモチベーションは多くのプレーヤーがイベントを楽しむ姿を想像する事であった。
筆者はグランプリ(マジックフェスト)を心から愛しており、コロナ禍で中止になったことを本当に残念に思っていた。ショップを立ち上げた頃からの願いとしてグランプリの復活があったのである。
そんな中で偶然自分に舞い降りたグランプリの再現のチャンス。絶対に成功させる。その想いだけで動いていた。
5月末、いよいよ募集開始である。
参加者は順調に増え、なんと6月20日には開催まで3週間を残して満員の48人になっていた。
嬉しかったが、同時に見誤ったと感じた。
自分はゲストやショップブースイベント等を甘く見積りすぎていたのだ。箱が足りない。
何より満員では限界値がわからない。焦った。困った。
急いで増員の手配をした。施設費は2倍になるが現在の参加者でギリギリ採算は取れる。大丈夫だ。そして定員は100人まで増えた。当初の2倍以上である。
ところでこの間に「統率者レジェンズ:バルダーズゲートの戦い」がリリースされたはずなんだけどみんなやたら金あるな?
その後はカラハンタさんの力を借り、ウィザーズ公式さんから許可を得てMTGコンパニオンの使用が可能になった。
16人を超える規模の大会を個人主催するのに、現在のコンパニオンは使えないのだ。しかしカラハンタの小林さんがウィザーズに掛け合ってくれ、公認店のシステムの使用が叶うことになった。小林さんとウィザーズの担当者の方には本当に頭が上がらない。そして皆が宣伝に協力してくれた結果、開催前日には68名の参加表明が集まっていた。
運営スタッフとして友人や知り合い合計8人に声をかけた。皆二つ返事でOKしてくれた。ここまで人間関係ガチャSSRしか引いてない。
そして迎えた当日。
結果的に66名が会場に足を運んでくれた。ほぼ全員参加である。一番驚いたのは無断欠席者が一人もいなかったことだ。
設営には多くの方が協力してくれた。おかげで30分以上予定より早く終わった。あれ?君ら本戦参加者じゃないの?
対戦テーブルを並べてみると改めて会場の広さに驚いた。ほんとにこの席人で埋まるの?まじ?
実際会場を目の前にしても半信半疑だったが設営準備は進んでいく。
指示が回らないところはスタッフが自分で考え、より良い形でイベントを作ってくれた。主催、ここまで特に良いところなし。
ショップブースさんやゲストも到着し、参加者の方々も次々と到着。受付を済ませていく。
中には名古屋や長崎、沖縄といった遠方から来てくれた方もいて本当に恐縮だった。
そして当たり前だが席が埋まってくる。あのだだっ広い会場の席がほぼ満席になろうかと言うくらい埋まってくるのだ。
一応主催なので挨拶やら諸注意やら話すのだが、もう緊張しすぎて何喋ったか覚えてない。
ヘッドジャッジに目配せしながら(なんか忘れてることある...?)と目で訴えかけるのが精一杯だ。
それでも会場は暖かい拍手で自分に応えてくれた。この時点で込み上げるものがあった。さすがにまだ泣くには早いから我慢したけど。
デッキ構築が終わりいよいよ一回戦。
夢にまで見た瞬間だ。いろいろあったけどやっと大会が始まる。
そうそうこれこれ。忘れてた。
お祭りなんだけど皆真剣なこの感じ。
この光景が6回戦も見れるなんてそれだけで幸せだ。
なんて言ってたらあっという間に最終ラウンドに。
15:00にはサイドイベント(フライト式構築)も始まりそちらも賑わいを見せていた。
少し前までフリプ会3人だった会とは思えないよマジで(カンジ&殴打頭蓋&いしかじ)
ああ...終わってほしくない
しかし無情にも時間は過ぎていく。
最終ラウンドが終了しトップ8が発表された。
尊いスイスラウンドが終わってしまったものの、この強者達によるブースタードラフトを見れるというのだからテンションも上がる。
自分のショップブースの対応もしながら見ていたが、本当に見応えのある戦いだった。
自分でもよくわからないのだが、この時に涙腺が崩壊し涙が出てきた。
参加者が真剣にピックする様子がおそらく何かに触れたのだろう。
さっきから泣いてばっかりだなこのオッサン
ピックが終わりシングルエリミネーションが始まった。
シールドよりもデッキの完成度が増すドラフトはかなり見応えがあった。
スイスラウンドとはまた違った空気感。これもどこか懐かしい。
そして迎えた決勝戦
セレズニアの山口選手とスゥルタイの福島選手
どちらも完成度の高いデッキでお互いの良さが出ていた。
名勝負をしてくれた二人には感謝してもしきれない。本当にありがとうございました。
山口選手は実は筆者が初めて主催した大会の優勝者。
間違いなく千葉の強豪プレイヤーである。本当におめでとうございます。
夢のような時間もいよいよ終わりの時がやってきた
終わってほしくない。31歳児は許されるなら駄々をこねていただろう。
まぁそんなこと許されるはずもなく、最後は残った皆で記念写真撮影
この後は皆で談笑やちょっとした反省会をしながらフリープレイに付き合ってもらったりした。すっげーマジックしたかったからさ?
大体の人が部屋から退室し、撤収作業が終わった部屋を見ると達成感や寂しさで複雑な気持ちになった。
まぁ正直この日は疲労困憊過ぎて「大型イベントはしばらくいいや...」と思ってたけど次の日には次回開催のことばかり考えてた。おわり。
-最後に-
拙い主催で大変ご迷惑をおかけしたにも関わらずスムーズな進行にご協力いただいた参加者の皆様には本当に感謝です。
進行がスムーズだったのは一重にスタッフのおかげ。主催はマジで何もしてないです。
ともにゃんさんありがとうございます。最初にOKいただいてなかったらそもそもこの規模ではなかったです。
カラハンタさんありがとうございます。おかげさまで他のイベントには無い付加価値が生まれました。打ち合わせややり取りもとてもスムーズで今後もお付き合いさせていただきたいです。
うるざやさんありがとうございます。正直ショップあるあるみたいな話ができるだけで凄い癒されます。tropical islandありがとうございます(笑)
そしていつも身勝手な自分を支えてくれる家族には本当に感謝しています。奥さんいつもありがとう。
スタッフの皆さんありがとうございます。「謝礼までもらっちゃってすみません!」って言ってた方へ
私の認識が正しければ「すみません」という言葉は何か申し訳ない時に使う言葉であって長時間拘束された人間が使う言葉ではないです。奉仕の化身かな?
次回は是非"美味しいバイト"になるくらいのイベントにしたいなぁ。
次回大会についてはまだなんにも考えてないですが、パウパーとか良さそうだなぁ。
まずは資金確保が必要なのでよかったら通販サイトで何か買ってください(笑)
ではまたお会いしましょう!
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