へき地診療所の運営を通して①
先日の記事で趣味の事を書くといいつつ、気づけば一番最初の記事が仕事関係の記事で内容を思いついてしまい、今回このタイトルで筆を執らせて頂きました。最後までお読みいただければ幸いです。
1.はじめに
私が現在、経営のお手伝いをさせて頂いている『へき地診療所』へ勤めることになったきっかけは、約5年勤めていた総合病院でのIT保守・管理業務への疲弊と院長の交代により、診療方針が大きく変わり、方向性が現在求められる医療の状況であるのかと考えた結果、振りを考える必要があると思い、総合病院を退職し、しばらくの療養期間を取ろうと思った矢先でした。
総合病院の前院長より、『私が今いるクリニックの事務として来て欲しい』とのお声がけを頂き、次の予定もある状態でしたが、短い期間で少しでもお手伝いできることがあればと思い、身体と精神をを休める間もなく現在のクリニックで勤務しております。
これが現在のクリニックに所属した理由です。
2.へき地医療とは?
私のTwitterフォロワーさんの一部は医療関係者も数人いますが、ほとんどがVTuber界隈のリスナーの方や、趣味(Magic: The Gathering)の方が多いので簡単に説明させて頂きます。
日本国内において、多くの「過疎地域」と呼ばれる地帯が存在しています。
この「過疎地域」と呼ばれるのは、「人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域」とされており、全国的に高齢化が進んでいる地区となります。
また、過疎地域での「地域医療体制の確保」は重要であり、「無医地区 ※1」は深刻であり、この問題の解消は最も重要な課題でもあります。
過疎地域に対する医療体制の整備は、厚生労働省のへき地保健医療計画によって進められており、計画としては1956年から11次にわたって策定され、これに基づき各道府県が診療所の設置や病院による支援等の対策が取り組まれている現状です。
2018年度からへき地保健医療計画は都道府県の医療計画に統合され、へき地の医療は各都道府県が取り組む5疾病5事業等の一つとして救急医療、災害医療などとともに一体的に取り組まれています。
そしてここでいう「へき地」とは「交通条件及び自然的、経済的、社会的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域のうち医療の確保が困難であって無医地区及び無医地区に準じる地区の要件に該当する地域」とされており、当クリニックもこの条件に当てはまる立地となっております。
※1 無医地区:「医療機関のない地域で、当該地域の中心的な場所を起点として概ね半径4kmの区域内に人口50人以上が居住している地域であって、かつ、容易に医療機関を利用することができない地区」
3.当クリニックの状況
当該地域における基幹病院へは約10km、公共機関は1日5本程度で2~3時間に1本コミュニティバスが走るのみ、早朝と夕方は通所リハビリ、通所介護の送迎車が利用者を連れ走り回る。そして、そのへき地の中でもさらに外れの場所に建っているのが当クリニックです。
なお、当クリニックのお手伝いに行く前の状況としてはR2年9月まで閉院しており同年10月よりクリニック再開となり延べ患者数もほぼいない状態。医師が代わる代わるで入り、医師に合わせ細々と医療資材や医薬品を集めており収集がつかない状況でした。
また、立地条件から収入を上げるために必要な訪問診療や往診においても件数がなく、一度閉院したため外来患者も0という悲惨な状況からの立て直しとなりました。
4.前任からの流れ
R2年10月より新しい医師がクリニックの常勤となり約半年、私の前任の事務が退職し、事務全般として業務を引き継ぎました。
その中で良かった点としては以下となります。
①着任した医師が訪問診療の必要な患者を前院から引っ張ってきた。
②今回着任した医師が訪問診療や在宅医療、自己啓発医療の分野を主としていた。
などその他にも要素はありますが、引き継ぐ時点で大まかな道筋があり、今後どう伸ばしていくかという点で今後の方針を考えることとなりました。
そして逆に問題として挙げられる点としては、
①閉院していた期間があるため、地域住民への認知度が低い。
②代わる代わる着任した医師により、院内処方用の薬剤が現状の診療体制に合わないものとなっている。
③最低限の医療資材・現在の医師では使用しない医療資材などはあるが、本来必要である資材の不足が見られた。
④外来患者の不在(あって月1~2名)
という状況の打破をしなければ今後の存続も危うい状況となり、この問題点である①~④に頭を悩ませる日々が続きました。
5.転換
転換が訪れたのは令和3年のはじめ(私が在籍していない時)でした。
今年と言えば、昨年から続いた「新型コロナウイルス(COVID-19)」の「新型コロナワクチン」の接種が始まったこと。
ですが、へき地診療所のキャパシティでは大きな問題が発生した場合基幹病院までの搬送、搬送までの間の繋ぎである処置を考えると手を付けることが難しいハイリスクである事業ではありました。
ですが、今後のクリニック存続のため、そして一番大事なこととして「私たちのクリニックは今ちゃんと診療を行っています」というのを地域住民へ知ってもらうためにも、日々午前中のみ約30人程度の患者へ接種を実施してきました。
幸い大きい副反応もなく、その後のフォローにおいても大きい症状の報告もなく日々を過ごし、地域住民よりの認知もあり、外来患者の定着、飛び込み患者の対応も入るようになり、訪問診療へ入ることのできる施設が増え少しずつではありますが、認知度が上がるきっかけとなりました。
ですが、良い事だけではなく更なる問題点が浮き彫りになりました。
5.続きは...
ということで長くなりすぎてしまったのでいったん分けたいと思います。
中編?後半?についてはまた筆が乗った時にでも書いていければと思います。
ここまで読んでいただいた皆様、乱文乱筆な長文で失礼いたしました。
また次回がありましたらよろしくお願いいたします。
それではまたお会いできるのを楽しみにしております。