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そうじきなかひがし。天才の作り出す世界で、遊び、食べる。
念願のなかひがしさん。毎月1日から翌月の予約受付が始まります。運良く予約が取れて、18時になっても暑さの残る、酷暑の葉月に初訪。
いやもう、想像の数倍を上いく素晴らしさ!ライブキッチンにも、そこから生み出されてくる料理にも、天才なかひがし氏の世界が出来上がっている。L字型のカウンターに座ってなかひがし氏を囲む私達は、彼の作り出すイマジネーション豊かな世界に引き込まれて、いっとき現実を忘れ、学び、食べ、笑い、酔う。
最高の食文化エンターテイメントでした。!
八寸
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最初は美しい八寸。
お盆にちなんだ意味がそれぞれに込められて、一品目から圧倒されます。例えば、ほおずきの上は灯籠にみたて、下は蓮池に。ジュレのようなものは蓮根。青い葉っぱは、水面に浮かぶ蓮の葉に見立てたもの。手前のさつまいもに見えるものは、大文字山に見立てた形。奥の小鉢は、畑に生える野草とか。
手前の鱒寿司は、実山椒の風味のアクセントと、極薄切りのきゅうりの食感のアクセントで、唸るバランス。
お凌ぎ
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江戸時代は、体が冷えるとして緑の熟れる前のきゅうりは食べず、大きくなって黄味がかったものを食べていたらしい。別名、イタチきゅうり。
そんなイタチきゅうりのあっさりした炊きものの上に、濃厚な香りとコクの胡桃どうふ、緑のきゅうりのムース、その上に、かわいいマイクロきゅうり。3つのきゅうりを重ねたこの一品が、お出汁と相まって悶えるほど美味しい。全て混ぜた時の食感と味と香りがすべて計算されていてしかも完璧!!ふたしなめでノックアウト状態です😳
お料理の真面目な解説の後、「きゅうり3種でサンキュー💕」と、ダジャレ絶好調ななかひがし翁ですが、美味しすぎて「なんだこれはー!」という驚きでいっぱいで、耳に入りません(笑)
お椀
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お椀は、お豆腐と、白味噌と赤味噌の合わせ味噌のお味噌汁。浮かぶ緑の丸い葉っぱは、摘み草だそう。少しの滑りがあって、お味噌と絡んでとても美味しい。
一見地味だけれども、味噌汁なのに雑味なくなめらかで、澄んだ印象の味わい。お味噌汁が、こんなふうに極まるのかーと、不思議な気持ちでいただきました。
焼き物
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大きく育ったあゆ。食べにくいからと、半分に切ってくださってます。蓼酢は、そうじきの名にふさわしく、酢を抑えて蓼のほろ苦さの効いたもの。
これだけ大きな鮎は、頭も骨も口に残ると思って、二つ割りの鮎を器用に骨抜きして完食。
そしたらば、なかひがし翁は、「骨がうまいのに〜」と。隣の常連らしきご夫婦も、「そんなことしてないでかぶりついたらいいのに〜と思ってみてたんだよ!頭までうまいんだから。」と、和気藹々の雰囲気。そんなやりとりを聞いたなかひがし翁から「骨だけも食べにくいやろから、炙りましょか?なんでもしまっせ〜🎵」と、炭火で炙ってくださいました。その骨煎餅が、頭からサクサク美味しかったこと〜💕
「これであゆも浮かばれます😌」という言葉からこのお店の哲学が伺えます。きゅうりも、そのあと出てくる品々も、よく見ると皮や内臓をうまく使って、ロスを出さないように設計されている。しかも、哲学先行ではなく、しっかりとお料理としても美味しいのです!
お造り
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キラキラ輝く水面の下を泳ぐ鯉。ジュレは、紫蘇酢の香りだかさが閉じ込められていて、真水の中で3ヶ月過ごさせた鯉は、鯉の臭みが探しても全くない。身の締まった味わい。黄色い花びらの上の大徳寺納豆みたいな粒は、陀羅尼助の原料となる植物の実。他に、茗荷などなど。これも混ぜていただくと、えもいわれぬ香りと爽やかな酸味とプリッした弾力。こんなお造り食べたことない!しかも輝くジュレが渓流の涼しさを運んでくれて、そこで泳ぐ元気のいい鯉を噛み締めて、脳内まで大満足。酷暑の中、一番印象に残った一品でした。
にえばなのこめ
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京都らしい、お茶席を思わせるにえばなのこめ。熱々で水分多めで、そして甘い!なかひがし翁自らよそってくださいます。
このタイミングに合わせて、釜に火を入れ、これまでの料理を進行させて出してこられたと思うと、結構すごい😳
ほねせんべい
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にえばなのこめを噛み締めている頃に、先ほどの鮎が。まぁ美味しいこと。毎回頭と骨お残しして、焼いてもらおっかなー、と、思ってしまいました(笑)
煮物碗
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鱸と夏の野菜、じゅんさいの食べ収め、うどの花。上に乗っけたうどは、お盆にちなんで極楽じょうどの駄洒落を込めて😇、だそう。お椀の蓋を開けた時は鰹節の香りはかなり淡く、あっさりしたお味を想像したら、一口飲んだ瞬間、想像とのギャップに目を見開くほどの力強い旨味。昆布でこんな旨味が出るのか?ちょっと衝撃でした。パプリカも、全体のバランスが取れるよう、通常よりも甘みを抑えてほろ苦さを立てている。素材選びか調理の妙か。どちらにしろすごい👏
箸休め
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鮎のわたのテリーヌ。印象、日の出🌅?最近フランスから帰ってきたので、なんとなくモネをイメージしてしまいました。意識してたのかな?
お皿の地平線から日の出を表現しているそう。鮎のわたのテリーヌは、焼き物の大きな鮎からあらかじめ除かれていた内臓を、捨てずに使っているのだと思います。内臓の臭みはほとんどない。ほとんどなくてこれだけでも美味しいけれどもやはりゼロではない。そこで登場したのは、画面には映っていない、ショットグラスのようなおちょこに注がれたミュスカデの甘口ワイン。もう、このマリアージュが凄すぎる。この、ほろ苦い内臓の味に、なぜか甘〜いミュスカデのワインが絶妙に合う。合うどころか、内臓のわずかな臭みを完全に消し去って、素晴らしいマリアージュ。和食とワインは本質的に合わないと思っていて、今も意見は変わりませんが、これはちゃんとマリアージュしていて素晴らしい!本式の和食とワインがマリアージュしていると感じたのは、人生で2回目です。
炊き合わせ
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青磁のお皿がツボ。というのはさておき、上に載せられたものは、茄子の皮と山椒の葉を揚げたもの、食感と風味がまして、食事の後のほっこりする穏やかな味わいを単調に感じさせない。食品ロスも出さない!
強肴そのいち
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ここから有料オプションです。これは、北海道で野生のように走り回ってた経産牛の赤身。鮭節の出汁とお互い負けずにいい勝負してとても合う。ヨーロッパの美味しい赤身のような旨味だけれども、それとも少し違い、ほんの少し水分が少なく、馴染んで落ち着いた味わい。熟成牛かな?いい意味で予想外の、肉料理でした。
強肴そのに
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うなぎの蒲焼。添えてあるのは、わさびでも辛子でも生姜でもなく、みかんのジャム。皮の白い綿を多く使っているのか、柑橘の香りや甘さよりも、ほろ苦さが立つ仕上がり。確かにようあいます。
鰻丼したかったら、ご飯よそいましょか?の声がけに、迷わずお願いしました!あかん、何しても美味しい😋🤤そしてめっちゃ楽しい🥰
小鉢
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筒の花入のような器に出てきたのは、ジャガイモの極細切りを麺に見立てたものと、器の底にはとろろとお出汁。芥川の蜘蛛の糸に見立てて、その上にはうどの花。またしても極楽じょうど。お盆からの着想だそう。
麺よりも、満腹状態のお腹に優しく、シャキシャキと歯切れいいジャガイモが口の中をサッパリさせてくれる。
ご飯とメザシと香のもの
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塩気強目のメザシ、えんらいおいしい😳山椒油の香りとよく合うこと。これは中国からのインスピレーションかしら?とか思いながら食べてたらあっという間になくなってしまいました。
おくどさんで炊いたご飯も美味しい。先ほどのにえばなの甘さほどではないにしろ、米粒がしっかり立っている。
ここからのコメの楽しみ方がすごかった!白ごはんの後、おこげ、さらに大根と大葉をのせた湯漬け。ご希望に応じて追加料金でえらく手のかかった卵かけご飯。
それが、少しづつなので食べられてしまうから不思議!
盛り上がりと怒涛の勢いに、写真失念。
水菓子
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お抹茶の如く茶碗に注がれた京番茶とともに出されるのが、デザート。スイカと季節のフルーツとちぎり寒天のようなもの、上にはバジルのソルベ。ソルベまでよく混ぜると、あら不思議、スイカ汁の瓜っぽさが完全に消滅し、涼やかな甘さ控えめのフルーティーなデザートに。この、混ぜて味を完成させる品々は、どれも完成度が素晴らしい。まるで魔法を見ているようでした。
その後も、1ヶ月熟成させたコーヒー、蘇そと金平糖をいただき、大、大、大満足でお店を後にしました。
超予約困難店だけれども、夜はなんとか予約できます。
お酒をのぞけば、予算は2万5千円〜3万5千円程(強肴のオプションによる。でも、カウンターではほぼ全員食べてたので、なんとなく3万円から、という印象)。
高いんですが、もはや表現芸術という言葉が相応しい、イマジネーションが詰まった美しい料理、天才的な組み立ての美味しすぎる料理、全体に散りばめられた、見過ごされがちな野に咲く草花のお話し、そして何より、なかひがし翁の、気楽に楽しく美味しく食べさせてくださる明るいお人柄と、残さずいただくという哲学、の全てを考えると、3万円貯めてテーマパークやアーティストのライブに行くのと同じ気持ちで、ここにまたきたいな、とすごく思いました。
頑張ってまた仕事して、予約取ろうと思います‼️
ごちそうさまでした😋