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配信だけじゃない! 日本の秋ドラマ紹介2024

皆さんは日本の"2024年のドラマ"と言ったら何を想像するだろうか。
ネトフリ配信の「地面師たち」「極悪女王」、エミー賞受賞でも話題になった真田広之の「SHOGUN」
この辺りだろうか。

いま、テレビのドラマはどんどん下火になっていると思う。良い作品はたくさんあるけれど、配信ドラマばかりが話題になり注目される機会が減っている。事実、制作費があまり下りていないんだろうな、とかただただ作ればいいという乱発状態になっていたりするのもあり、クオリティコントロールにも苦労しているのを感じる。
しかし、テレビドラマで育って未だに大好きな私は声を大にして言いたい。


日本の秋のテレビドラマ、最高だよ!


今回は2024年10月から始まったドラマ。どの作品も大体折り返し、または前半終わったくらいの今だからこそ、個人的なおすすめドラマを紹介、評価したい。



マイダイアリー

"私にとっての、いつでも帰れる人生の道標ってなんだろう。"
誰にでもそんな風に人生に立ち止まって悩む日があると思う。そんな等身大の私たちに向けた日常を丁寧に紡ぐ作品だと思う。
「マイダイアリー」を観た人は(私も含めて)、思わず"人生の日記"を見直したくなると思う。そしてその見直したくなる道標はそれぞれ違う。
この作品の中では、その"道標"は大学時代。それも、所謂キラキラした友人との日々を描くのではない。そこが、"友達がいたから大学が楽しかった"のように帰着する物語とこの物語が違う部分であり、魅力的な部分。
それぞれが抱える、「なんで私だけ...」という悩みや葛藤、孤独。それを、ある5人の大学生の繋がりを通して大袈裟にではなく、丁寧に紡ぐ。
出演は清原果耶、佐野勇斗、吉川愛、見上愛、望月歩という若手の実力派の方々。そこに言葉の丁寧さや、尊さがダントツの兵藤るりの脚本。
派手な仕掛け、伏線、考察。そうした作品も私は好きだ。それでも良いけれど、この作品の中にあるのは現代では希薄になりがちな人との繋がり。これまでの物語の中で、この作品は確かに誰にでも起こり得る、誰もが感情移入できる作品だと理解させられた。ここから、まだまだ登場人物の"人生の日記"が描かれる。その度に観ている私たちも自らの"人生の日記"を読み返そうと思わせてくれる。

毎週日曜日22時15分〜
Netflix、UNEXTでも配信中



海に眠るダイヤモンド

皆さんにとっての日曜劇場と言えば?
「半沢直樹」「VIVANT」「下剋上球児」「ノーサイドゲーム」この他にも、それぞれの日曜劇場があると思う。
今作「海に眠るダイヤモンド」も今後語られ続ける作品だと思う。
この作品は同じ日曜日の大河ドラマなのではないか、と錯覚してしまうほどに当時の端島(所謂、軍艦島)が再現されている。
物語は2パートから語られていき、現代パートではミステリーの雰囲気も醸している。逆に端島パートでは、一番この島が栄えていた時の当時の暮らしと、主人公周りの島の人間関係が描かれる。
一見混ざり合わなそうに見える両パートだが、むしろ飽きることなく私は楽しんでいる。
気概もさることながら、脚本に「ラストマイル」のヒットも記憶に新しい野木亜紀子を迎えた骨太な作品。ただのエモーショナルな時代劇とするのではなく、そこに現代劇が挟まれる。端島パートと現代パートで、ホストと炭鉱の職員を二役で演じ分ける神木隆之介の演技の幅に注目をしてしまうが、現代劇と過去で共通しているのは"家族"
現代劇の家族パートは劇中の言葉を借りると、「なんかイラッとする何かが欠けてる家族」
そして端島での家族は...この部分はまだ謎も多く、読み取れない部分もあるが私は「島全体が家族」のように感じる。
このように最近の日曜劇場の"考察"のような楽しみもありつつ、中心にあるのは家族や愛というのが近年の日曜劇場とは少し違う所。
日曜日の夜9時という放送時間帯を加味してかはわからないが、現代にここまで真っ直ぐに家族を描いている作品はあまり記憶にない。
出演は神木隆之介、斎藤工、池田エライザ、土屋太鳳、杉咲花、沢村一樹、清水尋也など。
端島の"栄えているんだけど、なにもない田舎の島"のように住んでいる若者を見せるのも巧み。ここから、現代、端島の家族愛がどう帰着していくのだろうか。


日曜日21時〜
UNEXTなどで配信中



下山メシ

私は食べるドラマが好きだ。
何より自分も食事は人生の中でも気を遣っているほうだし、人が食べている姿、というのも見ているだけで楽しい気持ちになる。
そんな私の需要を完全に理解したかのようにテレビ東京は所謂、食ドラマの先駆者的な人であり、作り続けている。
もちろん、大人気だし根強いファンが多数いる。
マンネリなんてものはない。これはもう文化だとすら、私は考えている。
そんな"文化"に対し、

「"孤独のグルメ"だけじゃないの?」
「ただ、食べてるのを観て、なにが楽しいの?」

という意見がよくある。
そんな印象を持っている人にこそ、おすすめしたいのが「下山メシ」。
これまでは主人公は男が多く、男飯という言葉に強い違和感を持っていたりしたのだが、今作はタイトルの通り、登山した帰りに主人公の登山好きの女性が食事をする。それ以上でも以下でもない物語だ。それでも、"食事を美味しく食べる"ことは一番幸せなことのひとつだと思うし、そこに特化して色んなジャンルの食ドラマが作られることは真理だと思うのだ。
実際に山にはロケで行っていると思うのだが、その山の絶景や登山の道中のシーンをそこそこに"食事"をメインに尺も存分に使うドラマ。出演は志田未来なのだが、そんな志田未来が揚げ物を求めて定食屋に駆け込むドラマなんて世界でもこれだけだ。
しかし、そんな中でも物語では登山中に出会った人数をメモしたり、食べたものをイラストにしてSNSにアップして微笑んだりする。
ソロ飯はソロ飯だが、食事の延長線上には1人ではない。きっとこの主人公にとっての登山や下山メシは話すボリュームを間違えたり、人と関わることが不得意であろう自分自身が、少しでも自分らしくいれるものなのかもしれない。
そうした何気ないシーンが、食べるだけのドラマに留まらせない魅力を生む。

木曜24時半〜
Netflixで配信中



ザ・トラベルナース

私たちは疲れすぎているのかもしれない。病気じゃなくても、癒しが欲しい時がある。そんな方にピッタリなのが「ザ・トラベルナース」
医療ドラマはこの世に数多く存在するが、男性ナース2人が主人公のこのドラマ。テレ朝お決まりのシリーズロングラン作品に乗っかりそうな作品ではあるが、このドラマはそうしたロングランシリーズとは一線を画すものになっている。
このドラマには印象的なセリフがある。

「医師は病気を見て病気を治す。ナースは人を見て、人を治すことができる。」

この作品には派手な手術シーンなどはあまりない。このセリフに象徴されるようにほとんどがナースの仕事内で解決する。病気ではなく、人、あるいはその心を対話しながら、時にはそれ以外の手段で。
主演の岡田将生、中井貴一のまるで映画「デッドプール&ウルヴァリン」並の喧嘩掛け合いがドラマにリズムや笑いを生みながら、絶妙な塩梅で現代の社会のトレンドも取り入れる。
特に主演2人の掛け合いは、このドラマを支える強みの部分だと言っていい。所謂バディドラマとして、コメディ的な部分も担いながら、最後には2人で問題解決に向かう。お決まりではあるが、2人のやり取りのコミカルさ、実は良いバディな部分が毎回違った顔を見せるので飽きがこない。
確かに医療ドラマという括りではあるけれど、あまり見たことがないジャンル。その理由は、物語は現代の医療現場で働いていない私達にも刺さるように社会で起きているカスハラ問題や働き方改革に切り込んでいく。むしろこれは私達の物語なのではないだろうか、全く違う現場であれど人と関わる中で大事なことを教えられるような気持ちになる。
私も見ながら笑いつつ、しかし、あまりに直球すぎて笑えない時もあるほどに物事を切る2人のナースから目が離せなくなっている。


木曜21時〜
TELASAにて配信中



おわりに

以上がまだまだ紹介したりないが、秋ドラマの私的なおすすめだ。

テレビドラマは、私達の暮らしに一番密接に関わっているエンタテインメントだと私は考えている。なぜなら、ほとんどの方が持っていて幼い頃から身近なテレビ。いまでも電源を入れると何らかのコンテンツが放送されている。
そんな身近なテレビだからこそ、疲れた時、なにかエンタテインメントを摂取したい時に気軽に観れるコンテンツがドラマだと思っている。
"ながら"の視聴ではなく、配信のようにお金を発生させず物語を楽しむ。こうした経験は当たり前のようでいて、かけがえのないものだ。
配信ドラマには配信ドラマの魅力がある。しかし、流行りに乗るためではなく、あくまで気軽に自分が"好きだ"と思えるコンテンツを純粋に楽しんでみて欲しいと切実に願っている。

"テレビドラマなんて"

そんな風に思っているのなら、今すぐテレビをつけて。
きっとお気に入りの物語が見つかるはず。
配信のお金などのハードルなどはない。身近に手軽に楽しめるエンタテインメント。派手さはないかもしれないけれど、心の琴線を丁寧に振るわせるような作品、言葉のやり取り、心の動き。そうした部分をじっくり描いた私たちの生活に直結するような作品がたくさんある。その心のやり取りを描いた作品がこれだけ作られている今、すごく幸せだと感じている。

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