
【10月29日ワールドミッションレポート:🇳🇬ナイジェリア「イスラム教のイマーム、キリスト教徒を襲撃者から匿う」】
もう数年前の話だが、2018年の6月、ナイジェリアのプラトー州にあるキリスト教徒の村が、約300人の武装した過激派フラニー族の牧畜民に襲撃された。過激派の一団は無差別に発砲し、多数のキリスト教徒を殺害し、人々の家や村の教会に火を放ったのだ。
一部のキリスト教徒家族らは武装集団から逃れ、近隣のイスラム教徒の村に避難した。すると村のイマーム(イスラムの宗教指導者)が、村に逃げきてきた262人のキリスト信者を保護し、女性や子供らを自宅に隠し、男たちはモスクで匿(かくま)った。
武装した襲撃者たちはキリスト教徒を追って村に侵入し、イマームと対峙して彼を脅迫して、家とモスクを焼き払うと凄んでみせた。このイマームは、勇敢にも武装集団がモスクに侵入するのを拒み、中にいるのは全員イスラム教徒だと主張したのだ。他の村人たちも一緒になって口裏を合わせて、フラニ族がその地域から立ち去るようにと懇願した。
当時このイマームは、BBCの取材に対しこう答えた。40年前、この地域のキリスト教徒たちは、イスラム教徒たちに対して寛容を示し、彼らがモスクを建てることを許可してくれたのだ。そのことを覚えていたイマームは、今度は自分たちが恩を返す番だと言わんばかりに、助けを求めてきたキリスト者たちを守りたいと思ったのだと語った。今回の襲撃のように、彼がこれほどまでに醜い事件を経験したのは、イスラム教徒がキリスト教徒の隣村に住むようになってからの長い年月で、これが初めてだという。
最初の襲撃のあった週の週末、11の村が襲撃され、約200人が死亡した。半遊牧民であるフラニ族は、キリスト教徒の村々を襲撃し、土地を奪い取るのだ。彼らは建物や家々に火を放ち、無差別に発砲するのである。
近年のナイジェリアは、キリスト教徒にとって最も殺伐とした国である。子供たちがベッドの中で殺されているケースもある。
暗い話しの一方で、イマームの示した隣人愛は、砂漠の中のオアシスのような慰めを与える。このような義なるイスラムの友人に福音の恵みが届くように祈らずには折れない。
このケースでは、キリスト者を殺すのがイスラム教徒であるなら、守るのもイスラム教徒だった。後者のようなイスラムが増えるなら、世界はもっと住みやすくなるのだろう。主が善良なイスラムを増やして、彼らを主イエスの福音による救いに導いてくださるよう、祈っていただきたい。
(イスラム45.1%, プロテスタント37.1%, カトリック12.1%, 土着の宗教3.3%,他)
※写真はBBCのインタビューに答えるイマーム。シェアはご自由にどうぞ。