保育セミナー「初心連続講座2024」に寄せて05〜保育の初心と柴田愛子さん
2024年5月から順次開催される、保育セミナー「初心連続講座2024」。
それに寄せて書いています。
柴田愛子さんの中にみる初心
前回くねくね書きすぎたので、今回はなるべくシンプルに。
柴田愛子さんがこれだけの保育者を惹きつけてやまないのは、みんなが愛子さんの中に保育の初心を見ているから。
保育の初心は、子どもと共にいて、日々新たになる驚きです。
子どもという存在に出会い、その出会っている自分に出会い、共にいる人に出会うこと。
りんごの木誕生のストーリー
それはりんごの木という場所がどのように生まれたのかということとも関係しています。
りんごの木の誕生ストーリーは、すでに愛子さんによっていろいろな場所で語られていますが、ここでは簡単に、このテーマに関わる部分だけお伝えします。
りんごの木を始める前、愛子さんはたくさんの研究会を掛け持ちしていた。研究会にはそれぞれ主張があり、そのどれもが深く納得できるものだった。だからこそ、その納得で若き日の愛子さんの頭はいっぱいになってしまった。
でも、ふと、「これは、大人がどう育てたいかであって、肝心の子どもはどう思っているんだろう。そうだ、子どもに聞いてみよう」と思い立った。
それで、りんごの木を始めた時に、とりあえず子どもの言うがままにしてみよう、というところからスタートした。
初心
前回のnoteを読んでいただいた方は、このりんごの木の誕生そのものがアートであり、初心と深く結びついていることに気づくでしょう。
なんという転換、なんという思いきり、しかし、まあなんという正確無比な問いでしょうか。
そこから数十年経った今でも、りんごの木はこの初心とアートを体現し続けています。それは保育が生まれてくるその瞬間を常に手放さない、ということなのです。
愛子さんと保育をすると
慌てて、補足しなければいけません。ここまでだと、講演会で聞かされているりんごの木のイメージと同じですから。
愛子さんと保育をするということがどういうことか。それを説明する必要があります。
そうすれば、よりくっきりと保育の初心が見えてくるような気がしています。
愛子さんと保育をすると、とても大きな喜びを覚えるとともに、とても大きな試練にも立たされます。
愛子さんは保育の中での言葉遣いや、振る舞いにとても厳しい。
厳しいというのは、厳密だということです。
たとえば、子どもが大きなザリガニを釣り上げた時に、「でかい!」と保育者が言ったとする。
「「大きい」の方がいいんじゃないの。子どもには少しでも美しい言葉を使いたいじゃない」と、コメントされます。
初心は、感動でありながら、感動に溺れることではない。むしろ実践の中ではとても精妙なアートとして現れる。
そのことがこの短いエピソードでも伝わるのではないでしょうか。
でも同時に、愛子さんと保育をするのはとても楽しい。愛子さんは保育中に、自分が見つけ、出会った子どもの姿を語ってくれます。本人がいちばん驚きながら。
「さっき、〜ちゃんがこんなことしてて、それで気づいたんだけど、今まで私が思ってたのって違ったかも」というような具合に。
講演会では主にこの後者の部分だけが語られますが、この驚きと厳密さは実は一体なのです。愛子さん本人が、常にアートであり、初心を体現しようとしているから。
スキルは単に積めばいい。一があって、二があって、おそらくその次は三です。
でもアートは瞬間の創造です。子どもと出会うという初心を見ているから。それは自分の創造でもあります。今ここ、で子どもに出会えるような自分であるだろうか。
初心はそのように問いかけてきます。
なんてさわやかで、苛烈。しかしこの道を進む人は少ないのです。みんなファンで、感動していた方が楽なのです。
この辺りのことも、講座で触れられたらと思っています。
保育の初心連続講座2024 5月から順次開催です!
保育の初心(しょしん)を問い、確かめる連続講座です。
講師には、溝口義朗さん、岩田恵子さん、そして柴田愛子さん。
個人での講座ごとの単発参加、通し参加、団体参加、いずれも可能です。
詳細、お申し込みはこちら!
https://syoshin2024.peatix.com/