【最終章】NISEKO ADVENTURE RACE 2021 回想録
この物語は、2021年7月3日(土)~4日(日)に開催された『小鍛冶組プレゼンツ!ニセコアドベンチャーレース2021』に初参戦したteamKOKAJI JASOの軌跡であり、私の記憶と感想を綴ったものである。あまりに長くなったので、3部構成としている。最初から読んでいただけると嬉しい限りである。
そして、アドベンチャーレース初心者に向けての心得10か条を文中にちりばめながら、本稿の最後にまとめてみた(笑)。
アドベンチャーレースを志す者へ!あまり真剣に読んじゃいけない。
8.天国と地獄
CP13の"地獄の"オリエンテーリングを終了し、再びMTBで林道を駆ける。
1番手 NOTさん。余裕の表情!
2番手 USKさん。メッチャ楽しそう!
3番手 YMJさん。笑顔が素敵!
4番手 私(山中)。真面目か!?もうちょっと笑え!
こんな感じで、CP14、CP15と周り、CP16に到着。
この時
トップ LEGEND 午前5時40分着
2位 JASO 午前6時07分着(トップと27分差)
CP16に着くと、Eバイクが数台横たわっていた。そう、ここは噂のBUYオプションのあるチェックポイント。
「BUYオプションは、これかぁー」とつぶやいた。
実行委員長自ら、BUYオプションの営業を始める。
ガチ系の人は中々つかわないよねー。これ使う人がいるのだろうか?と一瞬思った。でもね。折角用意してくれているし、誰も使われないと何だか気の毒。ちょっと、スポンサー目線。
また、聞くところによると、ここから先は、かなりのヒルクライムが待ち受けている。
NOTさん、USKさんはいけると思うが、私は登りきる自信はなかったし、YMJさんも、正直、厳しいと思っていた。
そこで、BUYオプションを購入し、2台(私とYMJさんで)使用することにした。
Eバイクは最強でした。力を入れない方がしっかり進んでくれる(笑)
NOTさん、USKさんが悶絶しながら登っている道を、我々二人は涼しい顔で登ってしまう。
2人の苦しい顔を見ていると、思わず笑ってしまう(スミマセン)。
しかも、道を間違え、より険しい道を行ってしまったが、難なく登り、気づくとCP17。
ここでライブトラッキングを見るとLEGENDチームはCP18を通り過ぎて下りきってしまっていた。後に知ることになるが、この時LEGENDチームはCP18を見過ごしてしまっていた!
ここから、LEGENDチームは登りでCP18に向かい、我々は下りでCP18へ向かう。結果的に我々が数分先に到着することになった。
私は、パスポートに数字を書き込み、パンチでチェックを入れていると、「あれっ!1番に到着している!」
LEGENDチームがまだ来ていないことに気づいた。自分たちが何かロストしたのか?とも一瞬思ったが、次の瞬間、LEGENDチームが、悶絶しながら登り返してきた。
CP18到着時トップ JASO 午前7時08分着
2位 LEGEND 午前7時12分着(トップと4分差)
ついにトップがJASOに、、、CP1以来である。
この時、LEGENDチームの皆さんは驚いたのではないかと思います。これも、全てBUYオプションのおかげでした(笑)
ここから、私は若干、優勝しちゃうかも!?なんて考えがよぎりました。意気揚々と坂を下り、Eバイクを借りたCP16地点に戻り、Eバイクを返却。
ここからCP19を目指しました。この時、LEGENDチームは数100メートル後方を走っていたことを、後にライブトラッキングで知ることになり、それを想像すると、なかなかシビれます。
CP19へのルートは完全にNOTさんに任せており、ロードに出て、下から攻めようということで、そのルートを確認し、青いラインを進む予定でした。
そして、忘れもしない、運命の分かれ道(ここのポイント)。
「通行止めの標識を無視して真っ直ぐ」行くか?
「左にそれる道」を行くか???
今でも、何故、あんな判断をしてしまったのかよくわかりませんが、、、私が「左にそれる道」を選択してしまいました。
地図を逆さに見てしまっていたのか?
地図を見て、道が左にでていると勘違いしていました。
そして、自信満々に、林道を進んで行くと・・・
そこは行き止まり。背丈を超える藪が生い茂っていました。
何だかんだで結構、下ってきて、みんな戻る気力も若干うすれていた。私は、「登り返すより、下ろう!!車の音も聞こえるし、意外と近いんじゃない」とさらに勘違い。人間追い込まれると、自分に都合の良いように物事を解釈しちゃいますね(笑)
私はMTBと共に藪へ突っ込んで行った!
この時、チームメンバーをひどい大藪漕ぎに付き合わることになるとは、まったく想像もしていませんでした。
行けども行けども、藪はひどくなるばかり。倒木などもあり、MTBのペダルやチェーンに引っかかって、なかなか進まない。足元のもろくに見えないので、窪みに足を取られる。
もう、散々でした(トホホ...
MTBを普通には進めることができないので、担いでは、藪に投げ込み、藪を倒して、自分が進む。そんなことをどれくらいやったのだろうか。
ライブトラッキングを見ると約50分、藪の中でもがいていた(笑)
30分~40分を過ぎたくらいだろうか?私はまたしても、かなり消耗してしまった。頭痛と吐き気で進む気力も萎えてきた。あともうちょっとというところで、木にハマり動けなくなった。
この辺でNOTさんに先頭交代してもらい、みんなどうやら抜けたみたい。私も何とか気を取り直して、全集中の呼吸で何とか抜け出した。
マップホルダーのジョイント部分が緩んでグラグラ。また、自分は熱中症アゲイン状態で、もう、ヘロヘロ(笑)。
皆疲れ切っていた、コンビニで少し休憩しようということになり、ゆっくり向かった。
もはやレースどころではない。
私の頭に少しだけよぎった「優勝」の二文字は、いとも簡単に崩れ去り、「残念」の二文字に代わっていた。
セイコーマートで休憩するも、皆口数が少ない。
それでも、USKさんは、「15分後に出ましょう!」
NOTさん「時間を決めるのは大事です。」
私「では、それで!」
別に誰かを責め立てるわけでもなく、勝負へのこだわりでもなく、ただただ、最善を尽くす。この時は、そんなチーム状況だったのではと今は思います。
アドベンチャーレース初心者の心得(その9)
『思考が落ちる後半の地図読みは間違うものだと思うべし!』
9.まさかの結末
各自の補給を済ませて、いざレース再開。
CP19へ到着
トップ LEGEND 午前8時32分着
2位 JASO 午前9時38分着(トップと1時間6分差)
CP20へ向かう途中、急に眠気が来て、「事故る!」と私は思った。
皆が地図確認のため、止まったタイミングで、すかさず
「5分だけ寝かせて!」と懇願。
睡眠休憩をもらうことにした。今日はお願いしてばかりだ。
私はMTBから降りて、ザックを枕に速攻目をつむった。
5分後、USKさんが「山中さん、5分経ちました!」との声に目が覚めた。
5分であったが、眠気は飛んだ。眠気があるときは、寝るに限る。皆さんも是非、道端で寝てみて下さい(試してみて下さい)。
アドベンチャーレース初心者の心得(その10)
『眠い時は5分、寝るべし!』
そこからひたすらロードを走り、CP20を通過。そして、5号線から比羅夫の駅を越え、オーチャードニセコに戻ってきました。安堵。
7月4日(日)午前11時56分。何とか24時間以内にゴールしました。
Finishタイム
トップ LEGEND 22時間35分
2位 JASO 23時間56分(1時間21分差)
丸1日、24時間の中で、困難が次から次へと襲い掛かってくるなんて、ジャック・バウワーか我々かぐらいなものです(笑)
でも、それは全てとても楽しい経験になるのがアドベンチャーレースの良い所。そして、teamKOKAJIでワン・ツーフィニッシュができて最高の瞬間でした!
結果はどうあれ、このメンバーでこのニセコアドベンチャーレースを完走できたことは私にとって、かけがえのない経験となりました!
Thank you for your supporting!
さて、普通ならこの辺で話が終わるのでありますが・・・まだ続きがありまして・・・、もうちょっとお付き合いください。
2021年7月4日(日)午後5時。アワードパーティが始まった。参加チームみんなが集まり、ここで順位発表、表彰などがおこなわれました。
下位の順位が発表され、参加者が景品をもらっていきます。
第5位 モリシャンアドベンチャー
第4位 マウンテンワークス
3位 彷徨える子羊
3位まで発表され、、、残るはteamKOAJI。LEGENDチームなのか、JASOチームなのか?
運命の瞬間である。「優勝は・・・」
「teamKOKAJI。。。JASO!!」
正直、驚いた。あの大藪漕ぎで優勝は諦めていたので、素直に嬉しかった。
後日談であるが、LEGENDチームはCP18のところでパスポートを紛失したとのことで、120分のペナルティが課されてしまった。その結果、JASOがペナルティ加算後のタイムで上回った。
2位 teamKOKAJI LEGEND 最終タイム 27時間5分
優勝 teamKOKAJI JASO 最終タイム 25時間56分
こんなことあるんだろうか?ドッキリか??運営の忖度がはたらいたのか???真相は藪の中。。。
何はともあれ、初出場のアドベンチャーレースで「優勝」という栄誉に輝いてしまいすっかり経験者ヅラしています(笑)
ホントにまさかね。
スタート前のインタビューで冗談でこんなこと言っていた。
「気づいたら優勝しているんじゃないかなぁ・・・」が現実になるとは!?
10.感謝
皆様、ここまでお読みいただきありがとうございました!
最後に、小鍛冶組プレゼンツ!ニセコアドベンチャーレース、優勝チームであるteamKOKAJI JASOのリーダー山中から、これからアドベンチャーレースを志す者へ、アドベンチャーレース初心者の心得10か条を授けたいと思います(笑)
<アドベンチャーレース初心者の心得10か条>
その1『ブリーフィング開始の1時間前くらいから準備すべし!』
その2『地図はしっかり防水対策すべし(特にナビゲーター)!』
その3『最も遅いメンバーがチームスピードを支配する。遅いメンバーの荷物は全力で軽くし、その人を先頭(又は2番手)にすべし!』
その4『レースも大切だが、ハイカーさんとの会話も楽しむべし』
その5『体調を回復させるために、食欲が無くても食べろ!メンバーが急いでいても休め!そして自身の回復を信じるべし!』
その6『アクシデント発生したメンバーへは、積極的にポジティブな声をかけるべし!』
その7『オーバーナイトがあるなら、ヘッドライトを消して、空を見上げろ!』
その8『時間のかかるチームチャレンジは、積極的にペナルティを取りにいけ!』
その9『思考が落ちる後半の地図読みは間違うものだと思うべし!』
その10『眠い時は5分、寝るべし!』
とまぁ、冗談はさておき(上の10か条は冗談ではないのですが)
アウトドアスポーツの総決算の「ニセコアドベンチャーレース」。こんな面白い大会を企画・運営してくれたニセコアドベンチャーレース実行委員の皆様、道外からわざわざ来て、ただただ、ボロボロになる物好きな参加者の皆様、そしてこの大会を応援し、盛り上げてくれた皆様に「ありがとう」を伝えたい。
そして、また来年もニセコの地でお会いできるのを楽しみにしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。記事が気に入っていただいた方は「いいね」。また、投げ銭やサポートいただけると励みになります。
なお、これより下に記事はありません。