【第2章】NISEKO ADVENTURE RACE 2021 回想録
この物語は、2021年7月3日(土)~4日(日)に開催された『小鍛冶組プレゼンツ!ニセコアドベンチャーレース2021』に初参戦した。teamKOKAJI JASOの軌跡であり、私の記憶と感想を綴ったものである。あまりに長くなったので、3部構成としている。長いが最後まで読んでいただけると嬉しい限りである。
そして、アドベンチャーレース初心者に向けての心得10か条を文中にちりばめながら、最終章の最後にまとめてみた(笑)。
アドベンチャーレースを志す者へ!あまり真剣に読んじゃいけない。
3.緊急事態発生!
羊蹄山山頂(CP2)で5分程休憩しただろうか。
運営の方から次のミッションを聞く。
「下り三合目を地図上にプロットせよ!」との指令。
USKさんはとにかく私を回復させようとしてくれていた。
「ロードに出るまではザック持ちますよ!BUYオプションですけど(笑)」
私もその方がチームのスピードが上がると思ったので、そのまま持ってもらうことにした。もちろん、BUYオプションで(笑)
下りも私が先頭で進んだ。下りは力を使わないので、心拍も上がりづらい。
回復したとは言い難いが、通常ペースを取り戻そうと必死であった。
3合目に到着。USKさんの最新SUNTOの高度計を使用しビタっと決めた。
その後も軽快に下ることができたが、標高が下がってくると気温は徐々に上がってきた。何となく嫌な予感。。。
さて、CP3は道からそれるポイント。藪漕ぎかな???
近くまでいき、慎重に辺りを物色する。
「林道の屈曲点から攻めよう」と立ち止まるNOTさん。
私は「どこか他に入れそうなところが無いかちょっと先を見てきます」とちょっと先に進んでみた。
すると、何だか入れそうな沢道みたいなのを発見。
話合いの結果、ここから攻めることにした。藪の中を進み、NOTさん、USKさんが進む一方、YMJさんはペースが遅い、私は離れないように前を進んだ。すると後ろで転倒する音が・・・
「YMJさん!大丈夫!?」
振り返ると、前のめりに転倒していた。しかも、運悪く木の枝が突き出ているところに顔面をぶつけたようで、目を押さえている。
YMJさんは「目をぶつけた。ダメかもしれない・・・」と言いながら、普段の笑顔は消えていた。私も血の気が引いた。これはダメかもしれな。一瞬、脳裏をよぎった。
NOTさん、USKさんは先に行ってしまって、私は前の2名に緊急事態を知らせるため叫んだが返答はない・・・。仕方ない、とりあえず、応急処置だ。
YMJさんに腰を掛けられるところに座ってもらい上を向いてもらう。
「眼を開けられますか?」という私の問いに、眼を開けようとするが、苦痛でなかなか開くことができない。
YMJさんのソフトフラスクを使って、水をかけながら、表面の泥などを取り除き、少しずつ眼を開いてもらった。眼の中を見ると、木くずやら泥やら、白目は血が混じっていた。
眼の中を洗浄しているとNOTさんが戻ってきてくれ、目薬を出してくれた。とりあえずの応急処置で、CP3へ向かった。
2021年7月3日(土)午後5時10分。CP3に到着。
CP3羊蹄山京極付近の藪の中
トップ 蝦夷モモンガ 4時間39分
2位 LEGEND 4時間48分(トップと9分差)
3位 JASO 5時間10分(トップと31分差)
YMJさんの顔は沈んでいるように見えた。CP3の藪を抜け、少し進むと友人たちが応援に来てくれていた。しかも、水のタンクをもってくれていたので、再度、YMJさんの目を洗浄した。
あの時、YMJさんは相当動揺したのではないか?
レースを続けるモチベーションはかなり減退していた気がする。それでも、仲間が応援にきてくれて、話を聞いてくれて、すこし落着きを取り戻せたのではないだろうか?そして、レースへの復帰ができたのではないか?
YMJさんの芯の強さ、精神力の強さを垣間見た瞬間である。
アドベンチャーレース初心者の心得(その6)
『アクシデント発生したメンバーへは、積極的にポジティブな声をかけるべし!』(今回、私はあまりできなかった。応援に来てくれた方たちがしてくれた。)
ここからは、少しペースを落とし、林道を進む。途中、ちょっと迷ったが、何とか、ロードに出てきた。ホッとする瞬間である。
この辺からUSKさんが「歩きでは足が固まるので走ろう」と提案。
私もだいぶ回復したので、心拍上がらない程度ならいける。
YMJさんはどうだったか?
渋々OKな感じだった気がする(笑)
JASOは、ゆっくり、にょろにょろと夕日の中を走り始めた。
4.サンセットラフティング
2021年7月3日午後6時46分。CP4に到着。
LEGENDと蝦夷モモンガは、40分前に到着しており、その頃、ラフティングでデットヒートを繰り広げていた。
CP4羊蹄大橋付近の河原
トップ LEGEND 6時間5分
2位 蝦夷モモンガ 6時間6分(トップと1分差)
3位 JASO 6時間46分(トップと41分差)
今回NAR2021の目玉の一つ。Nightラフティング!
普段絶対体験できないことが、ここではできる。安全管理上、ガイド1名同乗させられるが、そこはご愛嬌。蝦夷モモンガは上手くガイド使っていたようである(笑)
救命胴衣を装着し、バドルをラフティングボートに差し込み、皆でボートを川辺に運んだ。そして、ラフティングスタート!
私が右前。YMJさんが左前。USKさんが右後ろ、NOTさんが左後ろでガイド役。プラス、本物ガイドが同乗。口数少ない方で、危険地帯回避の指示のみでした。
北海道の日は長い。7時でもまだまだ明るい。
ラフティングは西に向かって進んでいたので、大きな夕日がとても綺麗であった。
我々はNightラフティングならぬ、Sunsetラフティングであった。
馴れないパドリング。「1、2、1、2」掛け声をかけながらオールを水に入れては出し、出しては入れる。みんな全然休む気配がない。
自分はまた、心拍が上昇しはじめてきた。
ヤバイ、また気分が悪い。。。もう、今日という日は、本当に最悪だ。ちょっと下を向いて休んでいると、後ろから「山中さん、顔上げた方が良いですよ!!」とUSKさん。
いやぁ~、ちょっと無理なんだよなぁ・・・「顔を上げると気持ち悪いんですー」と返答。USKさんの苛立ちを若干背中で感じてました。
仕方ない、こりゃ、漕いでいるフリをしよう・・・。
腕に力を入れずに、漕ぐフリをしながら、声も適当に出したり、出さなかったり・・・。
それでも気持ち悪かったんです。本当に・・・。
CP5の岸辺に到着するころには辺りは暗くなっていた。
2021年7月3日(土)午後7時37分。CP5に到着。
パスポートを渡すなり、河原で横になった。数分、胸のムカつきが落ち着くまで目を閉じながら、ジェルをチュウチュウ補給した。
運営の方から、「おっ、グロッキーだねー」と一言。私はもはや苦笑いくらいしかできなかった。
CP5倶知安橋付近の河原
トップ 蝦夷モモンガ/LEGEND 6時間53分ほぼ同時
3位 JASO 7時間37分(トップと44分差)
トップ2のラフトのデットヒートは見ごたえあったのではないでしょうか?
倶知安橋付近のラフトエリアのCP5からCP6、そしてCP7(スタート地点)まではRUNセクション。
途中、NOTさん、USKさんはコンビニでお買い物。その間に私とYMJさんはゆっくり先に進んだ。
う~ん。今日は本当に辛い。なかなか回復しない。
回復したかと思うと、心拍上がる動きで、すぐ、気持ち悪くなってしまう・・・。
RUNも比羅夫付近にきて、途中50mくらい私だけ置いていかれる。でもこれ以上心拍はあげられない。そのギリギリを考えながら、つかず離れず走った。そして、下りで差を詰める。
2021年7月3日(土)午後9時4分。CP7のオーチャードニセコに到着。
LEGENDチームが出発の準備していた。何だかピリピリした雰囲気。まぁ、アドベンチャーレースだ。そんなこともある。
5.チームリーダー権限発動!
スタート/ゴール地点のオーチャードニセコ。ここでは30分のトランジションが課せられる。この間に食事をとって休憩しながら、MTBセクションへの準備をする。
普通は、急いで食事をして、準備をする。が、、、私はそれどころではなかった。
食事がなかなか喉を通らない。しかし、ここでしっかり食べておかないと先が持たない。チームメンバーには、ハナから「60分休憩を宣言」。
USKさんやNOTさんからは「おい。おい。何言っているんだ!」との心の声が聞こえましたが、私はお構いなし。
口にカレーをほお張り、アスファルトのところに横になってモグモグする。
カラダを横するとラクになるんです。
これは私だけなのだろうか?
こうして少しでも回復を図った。
横になりながら、ふと空を見上げると、そこには満点の星空が広がっていた。とても綺麗である。他の皆にもこの星空をみてもらいたい(これはカメラだからこんな風には見えないけどね!)
アドベンチャーレース初心者の心得(その7)
『オーバーナイトがあるなら、ヘッドライトを消して、空を見上げるべし!』そこには、満点の星空が広がっています。
結局、なんだかんだで、1時間10分程休憩した。
おかげで、カレー、スープ、果物、ジンジャービア、お茶、全て食べることができて、吐き気もだいぶ治まった。
2021年7月3日(土)午後10時13分。
荷物チェックを受けて、MTBセクションをスタート。
横になっていたので、ルートの確認は完全にNOTさん任せ。この点は本当に申し訳なかった。
NOTさんから、当面のルートを確認し、私が先頭でスタートした。
ここまでの前半戦は、以下のとおり(MTBスタート時間)。
トップ 蝦夷モモンガ 午後8時53分
2位 LEGEND 午後9時16分(トップと23分差)
3位 JASO 午後10時13分(トップと1時間20分差)
正直、私の熱中症による休憩とペースダウンが大きな要因であったのは間違いない。チームメンバーとしては、もうちょっと気持ちよく進みたいところだったろうが、それができず、本当に申し訳なかった。
ただ、この時私は、そんなことよりも、自分のことで精一杯であった。
6.闇と藪を切り裂くMTB
MTBセクションは比羅夫から倶知安方面へ行き、尻別川を京極方面へむかう羊蹄山を北側からぐるっと時計回りに回るコース。
CP8とCP9は、地図上の緑の線上のどこかにあるとのことで、注意深く行かないと見過ごす可能性がある。
また、暗い夜道で地図を見ながら走るというのは、なかなか難しい。
我々は、途中コースロストしてしまった。
そして、急に暗闇の中で藪地帯に突入したりする。
それでも何とかCP8とCP9を探し当て、CP10の京極のふきだし公園へ。
ここではチームチャレンジの利き水。京極と言えば湧き水が有名。ここの湧き水と同じ水はどれか?という3択クイズ。
私は、A or Bでしたが、皆がAを飲んだ瞬間、「これじゃない!」と自信満々で、「Bしかない!」みたいな反応だったので、一切口は出さず。お任せしました。おかげで正解し、ペナルティなし。
このチームチャレンジは、なかなか面白いと思った。土地柄をしっかりアピールできているし、知力、体力以外の能力も問われるという意味ではゲーム性もあって面白い。
CP10ふきだし公園
トップ 蝦夷モモンガ 午後10時23分
2位 LEGEND 午後10時49分(トップと26分差)
3位 JASO 午前0時13分(トップと1時間50分差)
蝦夷モモンガの独走状態が築かれつつあった。京極ふきだし公園から今度は喜茂別方面へ。丘陵地帯へ向かう。
途中、なかなかの藪道を進んだり、急坂を登らせたり、なかなかハードなコースであった。
2021年7月4日(日)午前2時28分。CP13に到着した。
ここでは運営委員長の上野さんが待ってくれていた。そして、補給食や飲み物、そして、テントサウナが用意されていた。
ここで少し休憩をして、チームチャレンジ「地獄の」オリエンテーリングへ向かうことにした。
7.“地獄の”オリエンテーリング
オリエンテーリングの地点まで意外と遠くて、また、アップダウンもあり、かなり険しい。
皆ブーブー言っていた(笑)
オリエンテーリングのスタート地点行くと、ルールの説明を受けた。
3つのオリエンテーリングの地図が用意されており、1つの地図で8個のチェックポイントが用意されており、チェックポイントを1つロストする毎に15分のペナルティとのことであった。
1つ目の地図を選び、とりあえず、チームチャレンジをスタートさせた。
ここは旧ゴルフ場で、草がかなりぼうぼうと生えており、水を含んでいたので、歩いて進むだけで、もうびしょ濡れ。
私はレインウェアを履いていたので良かったが、USKさんやNOTさんは短パンだったので、かなりキツかったと思う。若干キレ気味(笑)
1つ目の地図のCP6くらいまで回ったところである。
「これ、あと2つやらないといけないのー?」とか
「このチームチャレンジ、単体でもお腹いっぱいだよねー」とか
「ペナルティって何分でしたっけ?」とか
徐々に、みな、このオリエンテーリングに対するモチベーションがだだ下がりし始めました。
ここまで約1時間半かかっている。
これを全部真面目に回ったら、何時間かかるんだろう?と考えた。
皆も、モチベーション下がっているし、ペナルティ覚悟でスキップした方が得策ではと思い始めた。
このチームチャレンジをスキップすることを決定的にさせたのは、蝦夷モモンガのKさんがマンホールに落ちて負傷リタイアしたとの知らせを耳にしたことが大きい。これにより、この場所に滞在することへのリスクも高まり、完全に戦意喪失。
体力的にも辛いし、ここは早く抜け出した方が良いと、皆のそう思ったに違いない。
そこで、2つ目、3つ目の地図は近場だけを回って終わりにしようと・・・
結局1つ終わらせるのに1時間45分くらいかかったので、のこり2枚を真面目にやると5時間半~6時間くらいかかると思った。
であれば、近場の4つくらのポイントだけ回って終わらせれば、トータル1時間くらい。
残り8個のポイントを捨てても2時間のペナルティだから、トータルで考えるとほぼ同じか、捨てた方が速い。
結果的には、CP13に午前2時28分に到着し、オリエン終了が午前5時17分だったので、2時間49分で終了。
8個のポイントをスキップしたので、120分のペナルティ。トータルでは4時間49分の滞在でした。結果論ですが、この戦略はなかなかうまくいったと思っています。
アドベンチャーレース参加の心得(その8)
『時間のかかるチームチャレンジは、積極的にペナルティを取りにいけ!』
さて、オリエン終了し、蝦夷モモンガが1人欠員により不運にもリタイアとなった今、メインスポンサーの小鍛冶組の2チーム、LEGENDとJASOでワン・ツー状態。
他のチームの不運もあってなので、複雑ではあるが、嬉しかった。
また、CP13到着時に1時間44分あったLEGENDとの差は、オリエン終了時に27分まで縮まっていた。戦略が完全にハマった。
そして、ここからJASOの追い上げが始まる。。。はずだった・・・。
次回、最終章。まさかの結末!
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なお、これより先に記事はありません。