7/24【About Weak from 伊織惠】
小説を描いて、仕事に没頭していると卓さんたちを失いそうで怖かった。ひとりで暮らしたいと言ったのはあたしだけれど、小説を描いていると最高だけれど、でも一方でこうして小説に向き合っている時間は卓さんたちに対して不誠実なんじゃないかと恐れていた。
あたしの愛について、、、
一緒に暮らしたい人はいすぎるほどにいる。だからあえて一人暮らしを選んでいる。誰も彼もが大切だし、その誰も彼もが仕事を持っている。生きるために、楽しむために、何かを成し得るために。
あたしも同じ考えだし、そういう彼らがかっこいいと思っていたし、ずっとみていたいと心から願っている。
一緒にやることはあるけれど、大体の時間はこうしてPCにのみ向き合っている。週に一回のMTGだってオンラインであるし、疲れやすい身体を鑑みて健康第一にシェアオフィスに行くこともできなくなった。
その代わりこの小さくて快適なおうちでのんびりのびのびと過ごすことができている。
共同の職場ではいつでも会えた。大切な人すべてに。
でもこの小さく快適なおうちはあたしのもので、決して共同にはできない。
世間様の目もあるし、ご近所への配慮という意味もある。
小説を描いている時間が不誠実に感じる。どうして彼らを愛していないのか?と自分を責めてしまう時がある。かといって小説を描いていない自分は自尊心が削がれていく。
愛と小説を両立できない。人間に配られた1日は24時間。小説を描くついでに愛せるような軽い気持ちではないし、愛しながら小説を描くほど器用でもない。
困ってしまったし、悩んでいる。リビングで描く物語のあらゆる出所は卓さんや基実くんだというのに、それなのに、このリビングを立ち入り禁止にしないと小説が書けない。
仕事と家庭の両立で悩むタイプなのかもしれない。
在宅ワークは課題に最も寄せた、ギリギリのワークスタイルなのだと感じる。
ぎりぎりまで家庭に幅寄せしている。
悩んでいる。けれど、何か解決策がないかと模索している。
悩んでも道は開かない。
折り合うのか折り合わないのか。
進むのか後退するのか。
やるのかやらないのか。
あたしは不誠実な愛のゆえに悩んでいる。
基実くんたちは勘違いしている。
あたしは片手間で休憩程度であなたたちを愛しているわけではない。
すべてを捧げて、命も時間もすべてを捧げて愛したい。日々闘っている。
敵は人じゃない、嫉妬している対象は女でも男でもない、ただ限られてしか与えられない時間と空間だ。