7/13【JCT事故多発】
XXX Corner Stoneはプライベート、YYY Center Airはオフィシャル、ZZZ Bright Airは同業者という話によって田中糸成とヨハネス・エリヤ栗生の誤認が広がっている。
なりすましやすい、安易なキャラクターとして利用されていると聞く。
Flag Makerの存在と影響力の大きさを感じて我々も少々面食らっている。
「特別言及する必要もないんじゃないの?俺、そういうの慣れてるし」
と誰よりも冷静なのが糸成とヨハネス本人だった。
忠兼も卓も基実も冷静に、というよりも冷ややかな感覚でなりすまし案件をみつめているが、彼らもまた自分のことでは「対処の必要なし」と明言するだろうことを思うことによって、物事の悪質さが他のメンバーにはよくよく伝わってきた。
女子高生が流した噂によってひとつの銀行が潰れた実話をご存知だろうか。
なんとなく話した内容に尾鰭がついて町中に広まり、銀行が潰れることを恐れた預金者が銀行に殺到して銀行の経営が破綻した事案である。
悪意のないとされた女子高生とはちがい、件のなりすましには明確な意志があった。その意志は別段国家転覆とか思想信条の相違とか、クーデターとかそんな大それたものではない。ちょっと意地悪してやろうという子供じみたものでもなくて、ことの本質は「セーターは売れる!なにせ俺が考えた企画なんだから」というようなある種の妄想癖の類である。
妄想癖に加担させられた人間はいない。詰まるところ共犯者は存在しない。うるさいから仕方なく従っていただけである。諭すことも諌めることも面倒だった。私たちには生活があるからだ。利他的であっても利己的ではない。しかし、最低限の利己のために戦うほどに利他的には生きていない。
糸成は誰であるか?ヨハネスは誰であるか?
FlagMakerがMT SECONDから改名し、登場人物も細分化してきた過程にはこのようななりすましによる間違った情報を阻止する目的があった。
単純に人員が増えたからという理由以上に、深刻な嫌がらせ、フェイクニュース、なりすましによる我々の人生と仕事への嫌がらせを一掃するためでもあった。
見えない噂という存在が私たちの中に寄生虫のように入り込み、棲みつき、内部から体を壊していく。
胃腸炎で済めば御の字で、本当に人生を壊されたものもいた。
死が真実を伝えてくれるその悲劇を目の当たりにしても寄生虫は微笑む術を知っている。
あだ名には良い側面がある。
卓や恵というようなありふれた名前は固有名詞と言えない場面が出てくる。
固有名詞にするために、棲み分けが必要で、そのためにあだ名が用いられる。
身内で呼び合うあだ名にいじめの色味を感じたら、悪いことは言わない、そこは要るべき場所ではないし輝くべき場所ではないから早急に撤退すべきである。
自分の居場所はそこだけではないことを知ればきっと仲間がいる居場所に辿り着く。
糸成との絆は卓を介して恵に渡された。
ヨハネスとの絆は恵みを介して基実に渡された。
どちらも卓や恵を仲介しなければ恵や基実には到達しない。
糸成ありきでもなければ、ヨハネスありきでもない。またこのふたりが中間パイプの役割を担っているわけでもない。
最後に反旗に登場するGrayRouler航朔についてであるが、彼は上宮明一に相当する。つまり、2021年11月18日にすでに死んでいるのだ。