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連載小説【DRANK】4/22
オリオンとアポロンは翌日の記者会見とラジオへの出演を控えている。
明日までには抽象的な笑顔をはりつけられるメンタルにしなければならない。ランニングを促すスタッフ、観光をすすめるスタッフ、事情がわからないからとにかく気晴らしになりそうなことを果てしなく進めていく。
音楽を作ることにしたよ。
アポロンは近くの音楽スタジオを借りた。
俺は観光でもしてくるよ、
オリオンは19世紀初頭の日本の小説を読むために英訳の本を取りよせてもらった。
音楽スタジオは、すごく狭かった。簡易的なものだったから素人のミュージシャンも集うような雑多なところだった。
隣の部屋から怒鳴り声が聞こえる。
トイレの帰りにそっと覗くと、そこにはかぐやと一緒にいた男がいた。細身の、自国であればいじめの標的にされるようなひょろっとした男。
怒鳴り合う声に英語が混ざっているからなんとなくニュアンスを掴むことができた。
男はあまりにも彼女のために音楽を作りすぎていることをマネジメント会社に叱責されているようだ。そしてこの間の新聞の記事といい、世間は君たちの音楽を買うことをやめてしまうぞと。もっともな言い分だ。
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