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連載コラム小説【罪状・否抗罪】

オメガバースは運命だ。理屈もへったくれもない。ただ抗えない罪であるのに、それは罪状として宇宙の律法に記されている。

否抗罪とは何か。生まれた時に背負った十字架である。ふたりは出会わないことが幸福なわけだが、そうはいかない。生まれながらに十字架にかかるユダヤ人の王イエスキリストのように復活さえも約束されていない、かわいそうな双子の宿命、それが否抗罪だ。

私たちが出会ったことを否抗罪だと知ったのは私が天国へ行く直前だった。あらゆることがうまくいかなかったことを死の間際に罪だと言われたこと、それは相応にして悲しいことだったけれど、でも、運命に理屈があることを知れたことは納得して旅立てる一因となった。

好きだった彼はすでに旅立っていた、たった一週間前に。私は彼を看取って、火葬をして、墓に納め、その日に倒れた。

彼は迎えに来てはくれない。今、ベッドの上で空を切るように彼を呼び寄せている。

意識がないという顔をしている。私にとって彼以外は人間ではないし、かかわりたい人ではないから、悲しむ面々の顔さえもどうでもよかった。愛しているという言葉を幾度伝えたかはわからない。でも足りなかった。言葉が足りなくて、セックスを重ねた。でもだめだった、溶け合いたいと思うこともあったけれど、体がそれを阻んだ。でも、でも、でも、だって、、、、言い訳が連なっていく。何一つ満たされないこの現状を憂いて、私はなんど自殺を試みたかわからない。でも死ねなかった。彼が生きていたからだ。

私が死ぬときは定められていた、この否抗罪という罪は終身刑だった。彼が死ぬまで私はこの地上に繋がれていた。この地上こそが牢獄で罰を受ける刑務所だったと知ったとき、甘美な日々を思い出せた。

彼といられたらどこでも天国だった。簡単な言葉であらゆることが表現できた。難しい説明はなにひとついらない。

否抗罪。

私はそのことを説明する。空を切り、彼を待っている間はどうせ時間がある。あなたがその否抗罪に定められているか見極める一助にして欲しい。

もしも、その罪に定められているのだとしたら、すべてを諦めて地上で刑を全うすることをじっと待っているしかない。それしかないのだ。


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