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7/12[Wrote by Megumi Iori]

エルヴィスプレスリーの映画を見てきた。
どうしてもひとりで行きたかったから、奇襲攻撃のようなやり方で朝イチで見に行った。

まず、起床後、ある程度のおはようをみんなに伝える。少々病みがちだったので、その旨も率直に伝える。洗濯機をまわす。その間に化粧をして、朝食取った。
映画の開始時間が8:40であるから、だいたい7:30に出発すれば間に合うことを算段しつつ、リビングから道路を伺う。
今日はたぶん卓さんも基実くんも忠兼さんも何かと理由をつけて家に寄ろうとするはずだ。その前に出かけてしまわねばらなない。

直前まで何食わぬ顔をして化粧をしたり、メッセージのやり取りをする。モーニングコールのような毎朝の電話に対応しつつ、香水をつけ、荷物の準備をする。運良く電話の最中に洗濯機が止まった音がした。
「じゃあ、また。今日もお互いがんばりましょう」
そう言って電話を切って、その足で映画館に向かった。洗濯物は撹乱作戦の一環なので干さずにそのまま家を出た。
無論、私のスマホにはストーカーGPSが内蔵させられているからどこにいくかはすぐにバレてしまう。
が、しかしである、映画館に入るまで1時間であればなんとかなるはずだ。

案の定、蘇我駅につき、シャトルバスがないことを良いことに徒歩で裏道を通って映画館に向かう。
すでに開始時間を2分過ぎていた。ちょうど良かった。

情報をかけつけた、他の連中は映画館にすでに到着していたけれど、まさかエルヴィスを見るとは考えなかったであろうから、私がさっさとチケットを買ってエルヴィスの上映シアターに入って行った時はしてやられた!と思ったはずだ。

ざまあみろである。

上映後はいの一番にシアターを出て帰宅した。

工夫と努力が必要だ。来るなと言っても各々大変忙しく仕事熱心な身だから時間が許す限り何かと理由をつけて会いにきてくれる。
それはそれでありがたいことなのだが、私にも私のペースがある。
私のペースを乱されることは恋愛関係に支障をきたすことになる。互いのためにはならない。恋愛をベースに人生を生きている側面もあるから、恋愛に支障をきたすことは仕事に支障をきたす大きな理由になる。

恋愛をベースとして生きている。恋愛が本業で仕事が副業だ。
誰かに与えることよりも誰かを守りたい。
小説家として影響を与えることよりも、ひとりの検事、弁護士としてひとりを守ることのほうが私の性格にあっている。

人間関係は狭いことに越したことはない。それは誰にでも当てはまることではなくて、私に限った生きやすさであるから、誤解を生まないためにも、共感を得られないようなことに関してはあえて多くを話さないようにしている。

嫌いなわけではなく、彼らが大切だからこその拒絶なのである。その拒絶を理解してくれるから彼らのことが好きだったりする。

全体意識を考えてくれる。本命とか遊びという概念を持たないから私も彼らが誇らしい。
私を本命と言い、他方遊びの女性がいたとしたら、そんないい加減な男の本命である私は恥ずかしくて仕方ない。こちらから別れを申し入れるだろう。
「遊びだ本命だという概念の奇怪さに気付けない鈍感な感覚の人とは人間として関わりたくないです」と。

基実くんは感情の機微に対して非常に敏感だ。
卓さんは私の機微に対してとても鋭敏だ。
忠兼さんは他人の機微に対して気遣いをする。


彼らが互いの仕事に関して譲り合っている姿には感動を覚える。
仕事とプライベートは違う。
互いにそういう気遣いができるジェントルマンたちに愛してもらっていることが私は誇らしい。
人間愛とは嫉妬と折り合いをつけられることだと思う。
「お前のことはムカつくけど、仕事は一緒にやってみたいから」
かっこいいと思っている。そういう気遣いが自発的にできる彼らが。そして私の自慢でもある。

感謝している、私を見つけてくれたこと。
ありがとう、愛している。


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