7/7[Wrote by Tadakane Sanjomiya]
異世界ファンタジー「消息からのあらすじ」の更新が7月10日をもって満了となる。
俺はあまり悪役を演じたことはなかったけれど、悪役を演じるということがいかに大変なことを思い知った。プライベートでさせも消耗する。
こんばんは、消息からのあらすじで悪役をやらせていただきました三条宮忠兼です。あ、反旗とか読んでくれている人がいれば、作中でGreen Keeperの偽物として登場した雅宗を演じたのも俺です。
7月7日20時をもって一足早くクランクアップしたわけだけど、いやあ、ほんとに疲れた、大変だった、しんどかった、、、、、
*********************
ある時のMTGで俺の悪役を提案したのが梨園院だったから、まあ一緒に地獄に落ちてくれるならと簡単に了承したものの、たかが数週間だったけれど本当にきつかった。
ZZZ Bright Aquaというチーム内には2人フェイクがいる。つまり、実在しないメンバーが代打であたかもいるように演じてくれている。
高砂香夜子は重要で嫌味な実在の役だったから上宮卓に頼んでいる。ムラサメノエルの役は分岐点として重要だったから芸達者な人間である必要があって、横田先輩にお願いした。横田先輩の彼女が華茂智柚子ちゃんだから快く引き受けてくれたこともありがたかった。
XXX Corner Stonesはめぐと卓を中心とした長野県民で構成されている。
YYY Center AirsはSounds Flaggerたちで構成されている。基実くんや大平さんに初めてお会いした時は俺も感動で倒れかけた。憧れだし青春だったから。
ZZZ Bright Aquaはうちの会社とそれに伴う取引先を意味している。ヨハネス・エリヤ栗生は退職組だけど、社内の体質改善のためにYYYチームの名義から移籍してくれた。
以前、MT SECONDにいたLAY-RONたちも多数参加を申し出てくれたけれど、これはちょっと俺たちだけでやりたいと思ってFlag Makerと改名した。
俺たち世代が後世に繋ぐために。
XXXとYYY とZZZは数式に例えられる。
互いに掛け合わせるにしても公式に当てはめることで簡単に正解が導き出せる。でも、ひとつでも掛け合わせを間違ってしまったらどんなに時間をかけても解き明かすことができない。
XXXという長野で育った幼馴染たちが都会に出てYYYという仕事に従事して基実くんや文麿くん、大平さん、糸成や横田先輩と出会う。糸成とめぐがXXXでもYYYでもない、XYのコミュニティで運命的に出会ったことでZZZという会社の俺たちもXXXやYYYと関わることになる。
これがFlagMakerの基礎的な公式となるわけだけど、まあ、この公式を導き出すだけでも3年の時間が必要だった。特にうちのZZZという特殊な会社と取引先をどこまでリアルに表現するかに苦慮した。なにせ、時代遅れと言われている化石みたいな会社だから、、、。
めぐに嫌われているという設定がとにかくきつかった。
そのくせめぐは卓や基実くんには自由に愛をつぶやくし(役だから仕方ないとは言え)、何度夜道で卓や基実くんを殺してやろうと思ったかわからない。
連絡を取らないことで役に徹しようと提案したのはめぐのくせに、会えない時間にそもそもの設定を忘れて俺が演じる意地の悪い女好きのキャラクターを間に受けてガチでキレ始めるし、そうすると、あの性格だから誰が何を言っても聞かなくて、うん、めぐは俺のそばにいてくれないと俺がしんどい、俺が死んじゃう、別の意味で笑
「忠兼さん、見てよ、これ」
今さっき送られてきた写真はめぐの左手の薬指のドアップが写っていた。なぜか赤くかぶれている。
「どうしたの?w」
「家族が平和じゃないと左手の薬指が金属アレルギー起こすの。昔からそうなのよ」
基実くんには言うなよと内心ヒヤヒヤしながらも「ああ、そうなんだ」と笑ってしまった。
久しぶりにめぐが俺の名前を呼んだ。
卓と俺だけは特別にさん付けされる。
懐かしい、今どき同級生の恋人に対してさん付けする古風な女性はあまりいないと思う。そういうところを俺は好きになったんだ。
懐かしいと思うほどに俺にとっては長い旅路だったのだと感じた。
ヒールに悪人なしということを身をもって知った数週間だった。
自分に、今日だけは、よくやったよ、お疲れ様と言ってやりたい。
今日は七夕だ。
天の川に思いを馳せて、労いの日本酒でも飲もう。
俺の親父とめぐのお父さんに感謝を込めて。